
火災保険はボールが飛んできて窓ガラスが割れてしまった時、補償してくれる?
ファイナンシャルプランナー 牧野 章吾
【経歴】 新卒で証券会社に入社。2年目に本社マーケット部門に異動になり、都内上場法人を担当する。2021年より、キャリア・資格の総合メディア「My Option」を運営。証券アナリスト、ファイナンシャル・プランナー資格保有。
今回は、火災保険の補償の中にある「物体の落下・衝突」について事例を紹介していきます。
何かが家の中に落下してくるイメージができないからと、必要な補償なのか疑問に思う方もいるかもしれません。

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火災保険の「物体の落下・衝突」「破損」などで補償される事例
火災保険には「物体の落下・衝突」などの補償が用意されています。
各火災保険によって名称は異なりますが、今回は、外部からの物体の落下、飛来、衝突によって損害があった場合に補償される事例についてご紹介します。
「物体の落下・衝突」で補償される事例
- 子どもが庭でキャッチボールをしていた時に、ボールが窓ガラスに当たって割れてしまった(建物)
- 車庫入れの時に失敗して車庫や自宅の一部を壊してしまった(建物)
- トラックが運転を誤って敷地内に突っ込み、壁を壊されてしまった(建物)
- 取材中のヘリコプターから物が落ちてきて屋根に衝突してしまった(建物)
- 野球のボールが飛んできて、窓ガラスが割れてしまった(建物)
- 道路を走る車の飛び石で壁に穴が開いてしまった(建物)
- 隕石が落ちてきて家がつぶれてしまった(建物)
- 他人が操縦するドローンが落下してきて屋根が壊れてしまった(建物)
- 近隣から飛んできたボールが敷地内にある外灯を壊してしまった(建物)
家に物が落下・衝突してくるイメージをあまり持っていない方もいらっしゃるかもしれませんが、ご紹介したようにいろいろな場合で「物体の落下・衝突」補償を付けておくと、保険金を受け取ることができます。

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特に戸建住宅の場合は、ボールが飛んできたり、車が突っ込んできたりなどの損害を被ることが考えられます。
自動車の飛び込みや飛び石、いたずらによる投石、ボールが飛んでくるなど、家屋に損害を与えるリスクが多くあります。
自動車だけでなく、原動機付自転車・オートバイ・スクーター・自転車・荷車などの衝突による損害も保険金の支払い対象となりますので、「物体の落下・衝突」補償について付けるか、付けないのかよく検討してみてください。
火災保険で窓ガラスの割れを補償されるためには【建物】に補償を付けておくこと!
火災保険の保険対象には大きく分けて2つあり、
- 建物
- 家財
に分かれますが、窓ガラスは建物を保険対象として契約している場合に、補償されます。
火災保険を家財のみに契約している場合は、外からボールが飛んできて窓ガラスが割れてしまったとしても補償されません。
火災保険の保険対象を建物と設定していても「物体の落下・衝突」「破損」補償を付けていなければ補償されませんのでご注意ください。
賃貸の場合は・・・
賃貸物件では入居者は家財にのみ火災保険を契約しています。
賃貸で外からボールが飛んできて窓ガラスが割れてしまったなどの場合には、管理会社や大家さんが加入している火災保険で補償されますので、まずは管理会社に連絡しましょう。
窓ガラスが割れてしまった時は、加入している火災保険の保険対象と契約している補償内容をまず確認しましょう。
各火災保険の「物体の落下・衝突」補償はこちら
先ほど、各火災保険によって「物体の落下・衝突」補償の名称は異なるとご紹介しました。
補償を付けたい場合でも、なんという補償なのかわからなければ付けられないですよね。

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14社の火災保険の「物体の落下・衝突」の名称を紹介
火災保険会社 | 「物体の落下・衝突」補償の名称 |
---|---|
チャブ損害保険「すまいのプロテクト」 | 物体の落下・水濡れ・暴力行為 |
AIG損保「ホームプロテクト総合保険」 | 物体の落下・飛来・衝突等、水濡れ、労働争議に伴う破壊行為など |
SBI損保 | 水濡れ、物体の落下、飛来、騒擾 |
共栄火災「安心あっとホーム」 | 建物外部からの物体落下、飛来、衝突 |
損保ジャパン「THE すまいの保険」 | 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突 |
楽天損保「ホームアシスト」 | 建物の外部からの物体の衝突等 |
あいおいニッセイ同和損保「タフ・住まいの保険」 | 破損、汚損等 |
三井住友海上「GK すまいの保険」 | 破損、汚損等 |
セコム損保「セコム安心マイホーム保険」 | 建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突等 |
東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」 | 盗難・水濡れ等リスク 盗難・水濡れ・建物の外部からの物体の衝突・労働争議等に伴う破壊行為 等 |
日新火災「お家ドクター火災保険(旧:住自在)」 | 破損・汚損等危険補償特約 |
NIA「住宅総合保険」 | 物体の落下、飛来、衝突等 |
セゾン自動車火災保険 「じぶんでえらべる火災保険」 | 水濡れ・衝突・騒擾 |
ソニー損保「新ネット火災保険」 | 水濡れ、外部からの物体の衝突など |
共栄火災などは、建物外部からの物体の落下、飛来、衝突という名称となっており、先ほどご紹介した「物体の落下・衝突」での事例が補償対象となります。
AIG損保やSBI損保などは、水濡れ、物体の落下、飛来、騒擾という名称となっており、「物体の落下・衝突」の補償だけでなく、水濡れの補償もセットになっています。
この場合、水濡れと物体の落下・衝突の補償はセットで加入することとなります。
三井住友海上と日新火災、あいおいニッセイ同和損保については、破損、汚損という名称となっています。
この場合、「物体の落下・衝突」でご紹介した事例だけでなく、液晶テレビをテレビ台から誤って落として壊してしまったなどの場合でも補償されます。
「物体の落下・衝突」の補償を付けたいと思っても、それだけを選択できる火災保険と、他の補償もセットで選択する火災保険があります。
補償の付け方でも火災保険を比較してみてください。