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相続土地国庫帰属制度とは?負担金20万円〜と10の要件をチェック

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相続したものの使い道のない土地が、ずっと手元に残ったまま…。そんな状態に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日に施行された新しい制度で、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる仕組みです。売れない、貸せない、使い道がないといった処分困難な土地の、最後の出口の一つとして機能しています。

制度を利用するには、審査手数料14,000円と負担金(原則20万円〜)を支払い、建物がない更地で境界が明確であるなど、引き取れない土地として定められた10の要件(却下要件5つ+不承認要件5つ)に当てはまらないことが条件です。申請から国庫帰属まで半年〜1年ほどかかりますが、引き取りが認められれば、その後は固定資産税や管理義務から解放されます。

目次

相続土地国庫帰属制度で不要な土地を国に引き取ってもらえる条件

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を国に引き渡せる、法律にもとづいた仕組みです。2023年4月27日に施行され、相続したものの使い道がない、管理しきれないといった土地の新たな出口として位置づけられています。

項目 内容
制度名 相続土地国庫帰属制度
施行日 2023年4月27日
申請先 土地が所在する都道府県を管轄する法務局・地方法務局
審査手数料 土地1筆あたり14,000円

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

申請できるのは、相続または遺贈で土地を取得した個人に限られます。売買で購入した土地や、法人が所有する土地は対象外です。共有名義の土地は、共有者全員で申請する必要があります。なお、制度開始前に相続した土地でも申請できます。

申請できない土地の10の要件。却下要件5つと不承認要件5つ

法務省は、引き取れない土地の要件を大きく2つに分けています。申請の時点で直ちに却下される「却下要件」が5つと、審査の結果として認められない「不承認要件」が5つで、あわせて10の類型に整理されます。

申請の段階で却下される却下要件は、次の5つです。

  • 建物が存在する土地:解体して更地にする必要があります
  • 担保権・使用収益権が設定されている土地:抵当権や地上権などがある場合
  • 他人の利用が予定されている土地:通路などとして使われている土地など
  • 土壌汚染がある土地:特定有害物質が基準値を超える場合
  • 境界が明らかでない土地:隣地との境界線が未確定の場合や、所有権の範囲に争いがある場合

審査を経て認められない不承認要件は、次の5つです。

  • 崖がある土地で、管理に過分な費用・労力がかかるもの
  • 管理・処分を阻害する工作物・車両・樹木などが地上にある土地
  • 除去が必要な有体物が地下にある土地(廃棄物・埋設物など)
  • 隣接する土地の所有者などと争訟が必要な土地
  • その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地

実務上とくに引っかかりやすいのは、建物の存在・境界不明・土壌汚染の3つです。建物がある場合は解体して更地にする必要があり、木造住宅でも100万〜200万円程度の費用がかかります。費用対効果を事前に見積もっておきたいところです。

事前相談で要件に該当するか確認する方法

申請の前に、法務局の事前相談制度(無料・予約制)を利用してみてはいかがでしょうか。相談時に持参したい書類は次のとおりです。

  • 登記事項証明書:法務局またはオンラインで取得(480〜600円程度)
  • 公図:法務局で取得(450円程度)
  • 地積測量図:存在する場合のみ
  • 現地写真:土地全体と境界付近が分かるもの
  • 固定資産税の課税明細書:土地の評価額確認用

ポイント
・事前相談は予約制のため、管轄の法務局へ電話で予約しておく
・相談で申請できそうと判断されても、正式審査で認められない可能性は残る
・要件に該当しそうな場合は、対処方法についてもアドバイスを受けられる

申請から国庫帰属までの手続きの流れと所要期間

国庫帰属までの手続きは、大きく4つの段階で進みます。標準処理期間は8か月程度とされていますが、現地調査の状況などによって半年〜1年ほど幅があります。

  • 法務局への事前相談:任意ですが、要件への該当を確認できるため利用しておきたいところです
  • 申請書類の作成と提出:審査手数料14,000円を収入印紙で納付します
  • 法務局による審査:書面審査と現地調査が行われます
  • 承認後の負担金納付と所有権移転:承認通知の翌日から30日以内に負担金を納付すると、国庫に帰属します

承認通知が届いた翌日から30日以内に負担金を納付しないと、承認の効力が失われます。分割払いの制度はないため、金額を事前に確認し、資金を準備しておきたいところです。

申請に必要な書類と取得先一覧

申請書類の作成には、次の書類を準備します。

必要書類 取得先 費用目安
承認申請書 法務局ホームページ 無料(様式をダウンロード)
登記事項証明書 法務局窓口・オンライン 480〜600円
公図・地積測量図 法務局窓口 各450円程度
土地の位置・形状を示す図面 申請者が作成 申請者作成のため費用なし
土地・周辺の写真 申請者が撮影 申請者撮影のため費用なし
相続を証明する戸籍謄本など 市区町村役場 450〜750円/通

書類取得にかかる費用は、合計2,000〜5,000円程度が目安です。境界確定が必要な場合は、土地家屋調査士への依頼費用(30万〜80万円程度)が別途かかることもあります。

FP

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意外と見落とされがちなのが、現地調査への立会いです。審査では法務局の職員が現地を訪れますが、遠方の土地だと立会いの交通費が数万円かかることもあります。申請の前に、現地へのアクセス方法と費用も確認しておくと、想定外の出費を防ぎやすくなります。

国庫帰属にかかる費用。審査手数料と負担金の考え方

国庫帰属には、審査手数料負担金の2種類の費用がかかります。

  • 審査手数料:土地1筆あたり14,000円(申請時に収入印紙で納付。却下・不承認・取下げでも返金されません)
  • 負担金:承認後に納付する、10年分の土地管理費用に相当する額。宅地・田畑・森林・その他のいずれも原則20万円です

負担金は宅地・農地などで原則20万円ですが、一部の土地では面積に応じた算定式が使われます。原則20万円となるケースと、面積比例になるケースを整理すると、次のとおりです。なお森林は宅地・農地と扱いが異なり、区域にかかわらず常に面積に応じて算定されます。

土地の種類 原則(20万円) 面積比例の算定式となるケース
宅地 原則20万円 市街化区域・用途地域内にある宅地は面積に応じた算定式
田・畑(農地) 原則20万円 市街化区域・用途地域内、農用地区域内などの農地は面積に応じた算定式
森林 対象外(20万円の適用なし) 区域を問わず常に面積に応じた算定式(面積が大きいほど単価は下がる)
その他(雑種地・原野など) 一律20万円

つまり、住宅地のなかでも市街化区域の宅地や、市街化区域内の農地などでは、20万円を超える負担金になることがあります。自分の土地がどちらに当たるかは、法務局の事前相談で確認できます。正確な金額は、法務省が公開している負担金の自動計算シートでも試算できます。

負担金で押さえておきたい点
同じ種目の土地が2筆以上隣接している場合は、申し出をして法務大臣の承認を得ると、まとめて1筆分の負担金として算定できる特例があります。

費用を払っても国庫帰属を検討する価値があるケース

国庫帰属の費用対効果を考えるときは、10年間の維持費用との比較が一つの目安になります。

例えば、固定資産税が年間3万円、草刈りなどの管理費用が年間2万円かかる土地の場合、10年間の維持費用は約50万円です。負担金20万円で手放せるなら、長い目で見れば経済的な負担が軽くなる計算になります。

判断材料
・固定資産税+管理費用×10年が負担金を上回るなら、国庫帰属が選択肢になりやすい
・将来の相続で子どもに負担を残さない点も、判断材料の一つになります
・売却できる可能性がある土地は、先に不動産業者へ査定を依頼してみるのも一つの方法です

相続放棄との違い。どちらを選ぶかの判断ポイント

不要な土地を手放す方法として相続放棄もありますが、国庫帰属制度とは大きく異なります。両者を並べて見ると、性格の違いが分かりやすくなります。

項目 相続土地国庫帰属 相続放棄
対象財産 土地だけを選んで手放せる 全財産を放棄(土地だけの放棄は不可)
期限 期限なし 相続開始を知った日から3か月以内
費用 14,000円+負担金20万円〜 家庭裁判所への申述費用(数千円程度)
管理義務 国庫帰属後は消滅 次の相続人が管理を始めるまで継続

相続放棄を選ぶと、預貯金や自宅など他の財産も含めて、すべて放棄することになります。土地だけを手放したいという場合は、国庫帰属制度のほうが向いていると言えます。

相続放棄をしても、管理義務がすぐに消えるわけではありません。次順位の相続人が管理を始めるまで、または相続財産清算人が選任されるまでは、放棄した人にも管理責任が残る点に注意が必要です。

国庫帰属が認められなかった場合の代替手段4つ

審査で認められなかった場合や、要件に該当して申請できない場合は、次の代替手段が考えられます。

  • 買取業者への売却:訳あり物件に対応する業者であれば、境界未確定や再建築不可の土地でも買い取ってもらえる可能性があります
  • 自治体への寄付:公共利用が見込める土地に限り、受け入れられるケースがあります(審査は厳しめです)
  • 隣地所有者への譲渡交渉:隣地と一体で使える場合、無償または低額で引き取ってもらえることがあります
  • 管理を続けながら売却機会を待つ:将来の開発計画や需要の変化を待つ選択肢です

実際の統計でも、申請後に有効活用の見込みが生じて取下げに至るケースが少なくありません。法務省が公開している運用状況の統計を見ると、取下げの理由として、自治体や隣接地所有者による引き受けが決まった例も挙げられています。

項目 件数
申請件数(累計) 5,421件
帰属件数(累計) 2,681件
却下・不承認件数(累計) 却下80件・不承認82件
取下げ件数(累計) 1,005件(うち「有効活用の見込みが生じた」542件)

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(令和8年4月30日現在・速報値)

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買取業者への売却を検討する場合は、複数社に査定を依頼して比較してみるとよいでしょう。境界未確定や再建築不可といった条件があっても、対応できる業者は存在します。

専門家に相談したいポイント。司法書士・行政書士の役割

申請書類の作成を自分で行うのが難しい場合は、司法書士または行政書士に代行を依頼できます。費用の目安は10万〜30万円程度です。

境界確定が必要な場合は、土地家屋調査士との連携が必要になり、測量費用として30万〜80万円程度が追加でかかることもあります。これらの費用はあくまで目安で、建物の規模・地域・土地の条件によって大きく変わります。土地や権利関係の判断に迷うときは、早めに専門家へ相談してみるのも一つの方法です。

FP

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意外と知られていないのが、フルの測量図がなくても審査を通過できる場合があることです。境界杭がそろっていなくても、隣地所有者への確認などで境界に争いがないと判断されれば、確定測量まで求められないこともあります。本格的な測量に進む前に、手元の資料でどこまで対応できそうか、法務局の事前相談で個別に確認してみる価値はあります。

よくある質問

相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日に施行された制度で、相続した土地を審査手数料14,000円と負担金20万円〜を支払って国に引き渡せる仕組みです。建物がない更地で境界が明確であるなど、法令の定める要件を満たす必要があります。

Q1:共有名義の土地でも国庫帰属できますか?

はい、共有名義の土地でも申請できます。ただし、共有者全員が共同で申請する必要があります。一部の共有者だけで申請することはできません。共有者の中に行方不明の方がいる場合は、不在者財産管理人の選任などの手続きが必要になります。

Q2:建物を解体してから申請すれば受け付けてもらえますか?

建物が存在する土地は却下要件に当たりますが、解体して更地にすれば申請できます。ただし、解体費用は木造住宅で100万〜200万円程度かかるため、負担金と合わせた総費用で考えたいところです。解体後の建物滅失登記も忘れずに行ってください。

Q3:農地や山林も国庫帰属の対象ですか?

農地・山林ともに対象です。ただし、負担金の扱いが異なります。森林は面積に応じた算定式で計算され、農地は原則20万円ですが、市街化区域内などの農地は面積比例になります。農地の場合は、農業委員会への届出などの手続きも確認しておくとよいでしょう。

Q4:申請が却下された場合、審査手数料は返金されますか?

審査手数料14,000円は返金されません。申請が却下された場合も、取り下げた場合も同様です。そのため、事前相談で申請の見込みを確認してから正式申請に進むことをおすすめします。

Q5:相続登記が済んでいない土地でも申請できますか?

いいえ、相続登記を完了してから申請する必要があります。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、取得を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象となります。国庫帰属の申請の前に、まず相続登記を済ませておきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続税・法律判断は税理士・弁護士など専門家にご相談ください。制度の最新情報は法務省の公式サイトをご確認ください。

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