空き家解体の補助金はいくら?上限30〜100万円の相場と申請方法
空き家を解体したいけれど、費用がネックでなかなか踏み出せない…。そんなときに活用したいのが、自治体の解体補助金(助成金)です。多くの自治体が、解体工事費の3分の1〜2分の1(上限30〜100万円程度)を補助する制度を設けています。
ただし、補助金は工事の着工前に申請するのが原則です。すでに工事を始めてしまうと対象外になることが多いため、まずはお住まいの自治体に制度があるか、どんな条件かを確認することから始めてみてください。全国の市区町村の88%にあたる1,541市区町村が空家等対策計画を策定しており、計画に基づく除却の支援も各地で進められています。
空き家解体の補助金は30〜100万円が相場。自治体ごとの支給条件をチェック
空き家解体の補助金とは、自治体が老朽化した空き家の解体(除却)工事費の一部を負担してくれる制度のことです。金額は自治体によって異なりますが、工事費の3分の1〜2分の1を補助し、上限30〜100万円程度という設定が多く見られます。財源には国土交通省の空き家対策総合支援事業を活用しているケースが多く、国と自治体が費用を分担する仕組みになっています。
制度が広がっている背景には、全国の自治体で空き家対策の取り組みが進んでいる状況があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 空家等対策計画を策定済みの市区町村 | 1,541市区町村(全1,741市区町村の88%) |
| 市区町村の空き家対策の取組により除却・修繕等がなされた空き家 | 189,029件(累計) |
| 空家法の措置により除却・修繕等がなされた特定空家等 | 27,244件(累計) |
出典:国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」(令和7年3月31日時点)
補助対象になる空き家には要件があり、1981年(昭和56年)5月31日以前の旧耐震基準で建てられた住宅、一定期間以上空き家になっている住宅などの条件が設けられているのが一般的です。木造に限定している自治体もあるため、事前の確認が欠かせません。
東京都23区の補助金制度。上限額と対象条件の例
東京23区では区によって補助金額に差があり、区や対象地域によって上限額に幅があります。とくに木造住宅密集地域(いわゆる木密地域)では、防災対策として除却助成が手厚く設定されている傾向があります。
公表されている制度の一例として、次のようなものがあります。
- 墨田区:不燃化特区内の老朽建築物の除却助成
- 足立区:老朽家屋等の解体工事費の助成
- 品川区:不燃化特区支援事業による老朽建築物の解体除却費用助成
不燃化特区制度の対象建築物では、除却費用が手厚く助成される場合もあります。ご自身の空き家が対象地域にあたるかどうかは、区役所の都市計画課や建築課に問い合わせてみると確認できます。
補助金の金額・要件・受付期間は年度ごとに見直されます。本記事で挙げた自治体の例は制度の傾向をつかむためのものなので、実際に申請する際は、お住まいの自治体の最新の公式情報で金額と条件を確認してみてください。
大阪市・地方都市の補助金事例。地域差を把握する
政令市や地方都市でも、旧耐震基準の住宅や一定期間以上の空き家を対象に、工事費の2分の1前後を補助する制度が見られます。過疎が進む地域や危険な空き家が多い地域では、補助率や上限額が高めに設定されている傾向があります。
公表されている制度の例として、大阪市の狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度や防災空地活用型除却費補助制度、新潟市・北九州市・秋田市などの危険・老朽空き家の除却助成があります。特定空家等に該当する場合は、上限額が引き上げられる自治体もあります。
ポイント
・補助金額は自治体ごとに30〜160万円程度まで幅がある
・木密地域や過疎地域では補助率が高い傾向がある
・自治体の予算には限りがあり、年度の途中で受付終了になることがある
補助金申請の流れと必要書類。着工前の申請が原則
解体補助金で気をつけたいのは、着工前に申請して交付決定を受けてから工事を始めるという順序です。この順番を間違えると、補助金を受け取れなくなってしまいます。
申請から交付決定までは1〜2ヶ月ほどかかるのが一般的です。自治体の予算には上限があるため、年度の後半になると受付が終わっていることもあります。解体を考えているなら、早めに動いておきたいところです。
申請に必要な書類一覧と取得先
必要書類は自治体によって異なりますが、一般的には次のような書類が求められます。
- 登記事項証明書:法務局で取得(オンライン申請も可能)
- 固定資産税納税証明書:市区町村の税務課で取得
- 解体工事の見積書:複数の業者から取得しておくと安心です
- 建物の現況写真:外観と内部を撮影(撮影日がわかるように)
- 空き家であることがわかる資料:水道・電気の使用停止がわかる書類など
相続登記が済んでいない場合は、相続人全員の同意書や戸籍謄本などの追加書類が必要になることがあります。相続登記は2024年4月から義務化されているので、名義が被相続人のままになっている場合は、先に登記を進めておくことも検討してみてください。
申請から補助金受け取りまでのスケジュール
補助金の申請から受け取りまでは、次のような流れで進みます。
- 申請書の提出:必要書類をそろえて自治体の窓口へ
- 審査・現地調査:担当者が書類審査と現地確認を実施(2〜4週間ほど)
- 交付決定の通知:補助金の交付が正式に決まる
- 工事の着工・完了:交付決定を受けてから工事を始め、年度内に完了させる
- 完了報告書の提出:工事完了後に写真と領収書を提出
- 補助金の振込:完了報告の審査後、1〜2ヶ月ほどで振り込まれる
全体では3〜4ヶ月ほどを見込んでおくと安心です。年度末に近い時期に申請すると、工事の完了が翌年度にずれ込んで補助金を受け取れなくなることもあるため、スケジュールには余裕を持たせておきたいところです。
FP
補助金が出ない5つの条件。申請前に確認したいポイント
申請の基本要件を満たしていても、次のような条件にあてはまると補助の対象外になることがあります。せっかくの制度を使えなかった…ということがないよう、申請前に確認してみてください。
- すでに工事を着工・完了している:交付決定前の着工は対象外
- 申請者と所有者が異なる:相続登記が未了で名義が被相続人のままの場合は要注意
- 税金の滞納がある:固定資産税や住民税の滞納があると申請できないことが多い
- 解体業者が要件を満たさない:建設業許可や自治体の指定業者などの条件がある場合
- 建物の用途が対象外:店舗・事務所専用の建物は住宅向け補助の対象外になることがある
相続した空き家で登記が被相続人名義のままの場合、申請が認められないことがあります。先に相続登記を済ませるか、相続人全員の同意書の提出を求められるケースが一般的です。
特定空家になると補助率が上がるケースがある
倒壊の危険性が高い空き家は、自治体から特定空家等に指定されることがあります。指定後は補助率や上限額が引き上げられる自治体もあり、通常50万円の上限が100万円に増えるといったケースもあります。
ただし、特定空家の指定を待つべきかどうかは慎重に考えたいところです。
- 指定を待つメリット:補助金額が増える可能性がある
- 指定を待つデメリット:勧告を受けると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れ、土地の税額が上がる(小規模住宅用地は最大6倍、200㎡を超える部分は最大3倍)
特定空家等は、助言・指導のあとに勧告を受けた時点で、土地の固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が外れます。補助金の増額分と税負担の増加分を比べて、どちらが有利かを見極めることが大切になります。

解体補助金と併用できる税制優遇と支援制度
空き家の解体補助金は、一定の税制優遇と併用できます。とくに相続した空き家を解体して土地を売る場合は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例(相続空き家の3,000万円特別控除)が使える可能性があります。
この特例の利用は年々広がっており、確認書の交付件数は累計93,897件(平成28〜令和6年度)、令和6年度だけでも16,755件にのぼります(国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」令和7年3月31日時点)。
併用できる主な制度と条件
・相続空き家の3,000万円特別控除:被相続人が一人で住んでいた家屋を相続し、解体後の土地を売る場合などに適用
・低未利用土地等の特別控除(100万円):譲渡価格が500万円以下の場合などに適用
・解体補助金との併用:上記の税制優遇と解体補助金は併用が可能
相続税の取得費加算の特例と3,000万円特別控除は併用できません。相続税を納めた場合は、どちらの特例を使うかを税理士に相談してみることをおすすめします。
専門家に相談したいポイント。税理士・司法書士の役割
補助金の申請手続き自体は自分でも進められますが、次のようなケースでは専門家への相談を検討してみてください。
- 税理士:3,000万円特別控除や取得費加算の特例を使う場合の税務判断
- 司法書士:相続登記が済んでいない場合の登記手続き
- 行政書士:補助金申請書類の作成代行(自治体によっては対応)
とくに税制優遇の選び方は、売却価格や相続税の有無によって有利な方法が変わってきます。解体と売却をあわせて考えている場合は、早めに税理士に相談しておくと安心です。
FP
よくある質問
Q1:空き家の解体補助金は誰でも申請できますか?
空き家の所有者または相続人であれば申請できるのが一般的です。ただし、旧耐震基準の建物であること、一定期間空き家であることなど、自治体ごとに要件が設けられています。税金の滞納がある場合は申請できないことが多いです。
Q2:補助金の申請から振り込みまでどれくらいかかりますか?
申請から交付決定まで1〜2ヶ月、工事完了後の振込まで1〜2ヶ月かかるのが一般的です。全体で3〜4ヶ月ほどを見込んでスケジュールを立ててみてください。
Q3:解体業者は自分で選べますか、それとも指定業者ですか?
自治体によって異なります。自由に選べる自治体が多いですが、建設業許可を持つ業者に限定されていたり、地元業者がすすめられていたりすることもあります。申請前に自治体の窓口で確認してみてください。
Q4:補助金を使って解体した土地を売却しても問題ありませんか?
補助金を使って解体した土地を売ること自体は可能なケースがほとんどです。自治体によっては一定期間の転売制限を設けている場合もあるため、交付決定の条件をあわせて確認しておくと安心です。
Q5:来年度まで待てば補助金額が増える可能性はありますか?
補助金額の増減は自治体の予算編成によって変わるため、確実なことは言えません。むしろ予算が削減されたり、来年度の予算枠が早く埋まったりするリスクもあります。今の時点で要件を満たしているなら、早めに申請しておくことをおすすめします。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定のサービスへの加入や契約を推奨するものではありません。補助金の金額・要件は自治体や年度によって異なります。実際のお手続きやご判断は、各自治体の公式情報をご確認のうえ、ご自身の判断でお願いいたします。