
災害時は住宅ローンどうなる?被災した時気になるお金問題
災害にあった時でも、気にしなくてはいけないのが「お金」ですよね。
災害にあって命の危険にさらされて、仕事も失ってしまった時でも、もし住宅ローンを借りていたら支払いをしなければなりません。
「そんな大変な時に、ローンなんて支払っている余裕なんてない。。」
と思われるかもしれません。
このように、災害時でも気にしなければいけない「お金」について、どのように対処すればいいのかをご紹介していきます。

FP
災害に合った時にでも、しっかり対応できるように今から知識を蓄えておきましょう。
災害時の住宅ローンの支払いどうなる?
被災し、住宅ローンが支払えなくなってしまうこともあります。
また、家が災害で壊れてしまった場合、新しい家を建てるためにさらにお金を借りなければならなくなることも・・・。
そんな時に、どうすればいいのかについてご紹介していきます。
災害で家が全壊した場合の住宅ローンの支払い
「被災した後、家が全壊してもローンの支払いは続くのでしょうか?」

FP
災害時は生活再建のためにお金が必要なので、住宅ローンの返済まで手が回らないこともありますよね。
通常は、住宅ローンの返済が滞ると延滞となりますが、災害時の場合は金融機関が被災者とわかれば、その後延滞を取り消してくれます。
金融機関への手続きは、被災後すぐでなくても大丈夫ですので、ひと段落ついたら金融機関に連絡しましょう。
延滞を取り消すことができても、支払いができなかったらどうなる?

FP
大震災であれば、住宅金融支援機構や金融機関がり災割合によって元金据置期間の延長や元金据置期間の金利の引き下げ、利息分の支払い繰り延べなどの対応をしてくれます。
災害で収入が減少してしまった場合、住宅ローン返済を見直す
災害によって収入が減少してしまった場合には、住宅ローンの返済を見直し、返済額の引き下げ、返済の据え置きなどを行えます。
返済額を引き下げる場合
返済期間を延長し、毎月の返済額を引き下げることができます。
返済期間を延長するため、総返済額は多くなりますが、毎月の返済額を引き下げてもらい、生活再建できた後に再度返済額を引き上げることもできますので、災害時は生活することを優先させ住宅ローンについては柔軟に考えることができます。
元金返済を据え置く(返済しない)場合
返済額をしばらくの間少なくする方法として、金融機関に相談すると元金返済を据え置くことが可能になります。
元金返済を据え置く間は、利息のみの支払いとなります。
「利息の支払いさえ、厳しい…。」
という方には、住宅金融支援機構であれば、据置期間中の利息分を将来の返済に繰り延べる方法を取ることもできます。
つまり、据置期間中の返済額はゼロということです。
住宅金融支援機構の場合、災害によって家に損害を受けた時だけでなく、収入が著しく減少した時、債務者本人や家族が死亡して返済が難しくなった時などでも対応してくれます。
民間記入機関においては、個別対応となってしまいますが、相談体制が整っていますので、まずは相談するようにしてみてください。
家を再建するために借り入れをする
災害時に、家を再建するためにお金を借り入れる方法として、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資、民間金融機関の災害復旧のためのローンがあります。
住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」
災害によって被害にあった家の所有者・居住者で、地方公共団体から『り災証明書』の発行を受けた場合に一般の住宅ローンよりも低金利で利用できる融資です。
『り災証明書』とは?
災害時の公的支援制度や保険金の請求、住宅ローン関係の手続きなど受けるために必要な書類です。
り災証明書の発行は、各地方自治体が行っています。
り災証明書を発行してもらうためには、申請書に被害状況のわかる写真を添付して提出します。
申請書提出後に、調査員が建物の被害認定調査を行って、り災証明書を発行してくれます。
建設・購入資金の融資を受ける場合
家が全壊した認定をされた「り災証明書」が発行された人が利用できます。
全壊と認定されなくても、大規模半壊、半壊で家の修復が不可能・困難な場合は利用できることもあります。
新築なのか、中古なのか等によって融資限度額や最長返済期間は異なってきます。
補修資金の融資を受ける場合
家の被災を認定された「り災証明書」を発行された人が利用できます。
家自体に被害がなくても、よう壁の損壊でも補修資金を利用することができる場合もあります。
※建設・購入資金、補修資金どちらの融資を受けるとしても、60歳以上の親のために借り入れする「親孝行ローン」としても利用することができます。
民間金融機関の「災害復旧のためのローン」
民間金融機関の場合、店頭金利から一定の金利を引き下げて、災害復旧のためのローンとして低い金利での融資が可能です。
また、元金据え置きが3年間可能だったりするなど、負担が少なく利用できるものになっています。
二重ローン問題について
住宅ローンが残っている家が災害によって壊れてしまった場合、新しい住宅を購入したり、被災した家の修復をするために、さらに借り入れをすることができるとお話しました。
しかし、家が災害によって全壊したからと言って住宅ローンはなくならないともお話しました。

FP
また、住んでいた家の借り入れ額が大きい場合には、新たな借り入れが困難なことも。
このような問題を「二重ローン問題」として取り上げられています。
ご紹介したように、住宅ローンの元金返済の据え置きもできますが、それ以外にも金融機関と調整して借入額の減額や免除をしてもらえる『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』というものがあります。
『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』
対象者
- 個人や個人事業主
- 災害発生以前にきちんと返済していた人
- 災害の影響によって、住宅ローンや事業性ローンの返済ができない、また近い将来に返済ができなくなると確実に見込まれる人
メリット
- 新たな借り入れが可能になる
- 弁護士などの登録支援専門家によって無料の手続き支援を受けることができる
- 財産の一部をローン返済に充てず手元に残せる
手続きの流れ
一番多く借り入れをしている金融機関に、『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』による債務整理の手続きの着手希望を申し出る。
↓
地元弁護士会などを通じて、全国銀行協会に対して、「登録支援専門家」による手続き支援を依頼する。
↓
金融機関に債務整理を申し出て、必要書類を提出する。
申し出後、債務の返済や督促は一時停止される。
↓
債務整理の内容(調停条項案)を登録支援専門家の支援を受けながら作成して、金融機関に提出し説明をする。
↓
借り入れ先全てから同意を得ることができたら、簡易裁判所へ特定調停を申し立てる。
特定調停手続きにより調停条項が確定すれば債務整理は成立する。
借入金が返済できない場合には「自己破産」や「民事再生」などの法的整理の方法もあります。
被災した場合は金融機関に相談して、住宅ローンの返済ばかりに気をとられることなく、生活の再建を優先できるようにしましょう。
災害時には公的支援制度も使用する
災害時に使える公的支援制度にどんな制度があるか知っていますか?
多くの人がその制度について知らないのですが、いろいろな公的支援制度があります。
公的支援制度
- 経済・生活面の支援
- 住まい確保・再建のための支援
- 中小企業・自営業者への支援
- 安全な地域づくりへの支援
支援方法
- 給付・・・現金を受け取れる
- 貸付・融資・・・無利子、低利でお金を借りられる
- 現物支給・・・家の応急修理や公営住宅への入居、葬儀の実施などを受けられる
- 軽減・免除・・・税金や授業料を軽減免除される
- 猶予・・・納税を猶予してもらえる
- 延長・・・税務申告を延長させてくれる
申請窓口は大抵市区町村ですが、支援制度によっては健康保険組合、住宅金融支援機構、社会福祉協議会など、窓口が異なります。
亡くなったり、ケガした時の生活支援
災害弔慰金・災害障害見舞金
災害によって死亡した人の遺族に対し、災害弔慰金が支払われる制度となっています。
災害時の死亡保障や障害保障にプラスすることができます。
生活費の支援
災害援護資金・雇用保険の失業給付・未払賃金立替払制度
- 災害援護資金・・・ 災害によってケガをした場合や住居や家財に損害を受けた場合に、所得の制限はありますが、生活再建に必要な資金を借りることのできる制度です。
据置期間中(3年または5年)は、無利子で借りることができます。 - 雇用保険の失業給付・・・ 休職を余儀なくされたり、勤め先が倒産してしまった場合に雇用保険の失業給付を利用することができます。
- 未払賃金立替払制度・・・ 賃金の支払いがないまま退職させられてしまった人には、労働者健康福祉機構が未払金の一部を立て替えてくれる「未払賃金立替払制度」を利用できます。
生活再建の支援
被災者生活再建支援制度
災害によって家が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金を給付する制度です。
給付金ですので、災害時の保険金として使うことができます。
ご紹介した公的支援制度は一部です。
それぞれの公的支援制度には、利用できる基準が決められていますので、市町村窓口で確認してみると良いでしょう。
災害時には生活の再建や生きていくことを考えたくても、住宅ローンなどのお金の問題がのしかかってきます。
しかし、そんな時でもご紹介した内容を知っておけば、金融機関や市区町村窓口に相談していろいろな支援を受けることが可能なのです。
お金よりも生活再建を優先できるように、災害に合う前に保険をかけていることに安心せず、知識も身につけておくことが大切です。