
地震保険の気になるQ&A
地震保険は大震災が起こる懸念がされていて注目している方が多いと思います。
日本では地震がどこでも起こる可能性がありますし、地震後に発生する可能性のある津波などの危険性も高いです。
そのため、地震保険に加入したほうがいいかなと思う人が増えてきています。
しかし、どんな時に全損と判定されるのかや、地震保険っていつでも加入できるのかなど地震保険について詳しく知らない人が大半だと思います。

FP
いつ起こるかわからない地震に対し、起こった後にしっかり補償を受け取れるように理解しておきたい内容をまとめていますので、一読していただければと思います。
地震保険の気になるQ&A
Q1. 地震によって建物が傾いてしまったら?
「地震で家が傾いてしまいました...。この場合、損害程度は何に認定されますか?」

FP
建物の損害程度は「全損」「半損」「一部損」の3段階の中で認定されます。
損害の程度については、地震補償の範囲とは?で詳しくご紹介しています。
地震によって建物が傾いてしまった時の損害の程度は、建物全体の傾斜角や沈下量を調査して認定されます。
「全損」と認定されるのは?
・木造建物の場合 基礎が沈下して傾いていて、傾斜が3度以上の時
・鉄筋コンクリート造建物の場合 建物全体の沈下が100cm超える場合か傾斜が約1.2度を超えた時
主要構造部に損害がある場合...
傾斜や沈下の損害の程度が小さくても、主要構造部に損害があれば、その主要構造部の損害割合と沈下または傾斜による損害割合を合算して全体的な損害割合を求めてから、損害認定されます。
Q2. 津波で家が流されてしまったら?
「津波で家が流されてしまって、家財もなくなってしまいました...。家財の損害認定ってどうなりますか?」

FP
家財の損害認定は見た目で明らかに全損であれば、全損と認定されます。
東日本大震災などの大規模な災害の場合、航空写真や衛星写真から被災地域の状況が確認され壊滅的な被災を受けた地域は「全損地域」として認定され、その地域にある地震保険契約は全て「全損」と認定されます。
「全損地域」と認定できない地域については、通常の損害認定と同様、現地調査をして損害程度を認定されます。
Q3. 大規模地震がおきってしまったら?
「大規模な震災が起きたら、保険会社はすぐに対応してくれるのでしょうか?」

FP
震災対策室や臨時事故受付センターは各保険会社が配置してくれ、何百人という体制で対応してくれます。
震災対策室や臨時事故受付センターでは、地震保険金の支払いだけでなく、火災保険が全損の場合失効するのでその解約返戻金の支払いなどいろいろな手続きに対応してくれます。
また大震災の場合、保険会社だけでは対応が難しいため、保険会社の事業団体である「社団法人日本損害保険協会」が全面的に支援してくれます。
つまり、大規模な震災が起きても、保険会社は保険金の早期支払いなどの対応をしてくれるということです。
Q4. 大都市で大規模な地震が発生してしまったら?
「東京などの大都市で大地震が起きたら混乱しそうです。
保険金の支払いってどのくらいでされるのでしょうか?」

FP
地震保険では保険金の請求書や必要書類の提出日から原則30日以内に保険金は支払われることが決まっています。
例外
警察、検察、消防などの公の機関による捜査・調査結果の照会や専門機関による鑑定等の結果の照会、災害救助法が適用された災害の被災地域における確認・調査が不可欠な場合は、保険金請求日から365日を越えないと保険金が支払われないということもあるそうです。
Q5. 地震保険に入っていないことに気が付いた...。
「地震保険に入っていないことに最近気が付きました。
これから入ることはできるのでしょうか?

FP
火災保険と保険期間を合わせる必要がありますが、すでに加入している火災保険に地震保険をつけることで加入することが可能です。
しかし、すでに地震で損害を受けている個所がある場合は、その損害部分は地震保険の支払い対象外となりますので、地震で損害を受ける前に加入しておく必要があります。
注意!
大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言が発令された時は、「地震保険に関する法律」に定める一定期間、警戒宣言に関する地域内に家がある場合、建物・家財ともに地震保険の新規契約、中途付帯または保険金額の増額契約をすることはできません。
Q6. 地震保険の保険金を増やしたい!
「地震保険の保険金額をもっと増やしたいけれど、他の保険会社の保険にも追加で入れますか?」

FP
地震保険の保険金を増額する場合は、加入している主契約の火災保険で地震保険への補償額を上乗せさせる特約を付けて増額させることしかできません。
特約をつけず地震保険のみの場合、火災保険金額の50%が限度となるため、これ以上の増額をすることはできません。
地震保険の保険金を増額できる火災保険の特約
- ソニー損保「新ネット火災保険」 地震上乗せ特約
- 損保ジャパン「THE すまいの保険」 地震危険等上乗せ特約
地震保険の保険金額を増額させるために、火災保険の保険金額を実際よりも高く設定していることがありますが、損害を受けた際、保険金がしっかり支払われなかったり、不適切な契約となる可能性があるので、適切な保険金額を設定するようにして下さい。
Q7. 地震保険の保険料を安くしたい!
「地震保険の保険料を安くすることはできませんか?」

FP
地震保険の割引を適用されるためには、建築された年が昭和56年6月以降であることが条件となります。
地震保険の割引には4種類あり、建物の免震・耐震性能に応じて保険料の割引率が変わります。
- 免震建築物割引・・・割引率50%
- 耐震等級割引・・・割引率10~50%
- 耐震診断割引・・・割引率10%
- 建築年割引・・・割引率10%
免震建築物割引、耐震等級割引を利用するには、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定する長期優良住宅の認定を受けた建物および収容家財が割引の対象となります。
それぞれの割引制度を利用するためには、確認済証や登記簿謄本、建設住宅性能評価書といった確認資料の提出が必要になります。
Q8. マンションの損害認定はどうなる?
「マンションに住んでいます。
マンションの場合、共用部分と専有部分がありますが、損害認定はどのようになるのですか?」

FP
マンションは、ドア・エントランスなどの共用部分と自分の部屋である専有部分に分かれています。
地震保険をかけるのは、専有部分のみとなり、共用部分にはマンションの管理会社が保険をかけていることが一般的です。
共用部分に管理会社が地震保険をかけていた場合
共用部分が「一部損」と認定されたら専有部分も「一部損」と認定され、同じ損害認定をされます。
もし、専有部分の損害が共用部分よりも大きければ、専有部分の主要構造部分から改めて損害程度を認定されることになります。
※マンションの専有部分の主要構造部・・・専有部分を構成する床、天井、内壁、間仕切壁など
共用部分に地震保険がかけられていない場合
マンションの共用部分の損害認定は行われず、地震保険がかけられている専有部分のみ個別に損害認定が行われます。
共用部分に損害が生じていても、専有部分に損害が発生していない場合は保険金が支払われない可能性がありますが、共用部分の損害程度に応じて専有部分に保険金が適用されるので、請求漏れに気を付けましょう。
地震保険の気になるQ&Aはいかがでしたでしょうか。
地震保険だけでなく、火災保険でも同じですが補償を受けるための損害認定基準は住んでいる家によって変わってきます。
マンションの場合、専有部分と共用部分の境目がわかりにくかったり気を付けたいところが沢山あります。
ただ、地震保険に入っているだけでなく、もし損害を生じた場合に請求漏れや補償をしっかり受けるためにも今回ご紹介した8つのQ&Aを理解していてほしいと思います。