
地震補償の範囲とは?地震保険を解説!
地震への対策として、防災グッズを準備しておくだけでなく、地震保険へ加入することも大切です。
そこで、今回は地震保険の補償範囲についてご紹介したいと思います。
地震保険に加入しておくことで、地震が起きて損害が発生した際には保険金がもらえることは知っている方が多いと思います。
しかし、地震が起きれば何でも補償されるわけではないので、地震保険の補償範囲について学んでいきましょう。
地震保険の保険金について

FP
地震で建物や家財に損害が出た場合、受け取れる保険金の金額は、地震保険の保険金額の「100%」「50%」「5%」「0%」のいずれかとなっています。
火災保険では復旧費用全額を補償してくれますが、地震保険では損害を受けた建物や家財の損害の程度によって、支払われる保険金が決まっています。
損害の程度は、「全損」「半損」「一部損」の3段階に分かれています。
支払われる保険金額
【建物】
・全損(建物の時価50%以上の損害):建物の地震保険金額の100%
・半損(建物の時価20%以上50%未満の損害):建物の地震保険金額の50%
・一部損(建物の時価3%以上20%未満の損害):建物の地震保険金額の5%
【家財】
・全損(家財の損害額が家財の時価80%以上の場合):家財の地震保険金額の100%
・半損(家財の損害額が家財の時価30~80%未満の場合):家財の地震保険金額の50%
・一部損(家財の損害額が家財の時価10~30%未満の場合):家財の地震保険金額の5%
地震によって損害を受けたとしても、「一部損」にも該当しない場合、保険金が支払われることはありません。
これは、大地震が発生した場合でも短期間に大量の損害調査を行い、迅速かつ公正に保険金を支払う必要があるためと言われています。

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ここからは具体的な事例をもとに紹介していきます。
地震保険で保険金が支払われる事例
地震で地盤の液状化が起き、家が傾いてしまった場合・・・

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この場合、建物の傾斜や沈下の程度によって保険金の支払いの対象になります。
建物に大きな損害がない場合でも、地盤の液状化現象により建物自体が傾いたり沈下したりしたときは、保険金の支払い対象になる場合もあります。
例えば
木造建物(在来軸組工法や枠組壁工法(2×4住宅等))と鉄骨造建物(共同住宅を除く)なら、傾斜が1度を超える場合や建物の沈下が30cmを超えた時に全損と認定され、保険金額の100%が支払われます。
津波で現金が流されてしまった場合・・・

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地震保険で家財として保険の対象には含まれないもの
- 通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手、自動車
- 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、宝玉、書画、骨董、彫刻品その他の美術品
- 商品、営業用什器・備品その他これらに類する物
- 稿本、設計書、図案、証書、帳簿その他これらに類するもの など
なお、工場や事務所専用の建物など住居として使用されない建物およびその建物に収容される動産は対象となりません。
初めの地震では一部損と認定されたが、そのあとの余震で被害が拡大した場合・・・

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余震で被害が拡大した場合、改めて被害状況を調査してもらうことになります。
新しく判定された損害の程度が初めに判定されていた損害の程度を超えた場合は、保険金が追加して支払われます。
72時間以内に生じた2つ以上の地震については、これらの地震を一括して1回の地震とみなすことになっています。
地震で隣の家が倒れてきて、自分の家に損害が出た場合・・・

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建物を保険の対象とする地震保険は、在来軸組工法や枠組壁工法(2×4住宅など)の場合、軸組、基礎、屋根、外壁、内壁といった建物の主要構造部に地震による損害が生じていたとしても、その損害額が建物の時価の3%以上となった時に、はじめて保険金が支払われます。
また、建物全体の主要構造部の損害割合に応じて保険金が支払われるため、建物の玄関扉やガラスといった特定の材料や製品そのものの損害や復旧費用を補償するわけではありません。
そのため、隣の家が倒れてきて建物に損害を受けた場合は、損害額が建物の時価の3%以上であれば保険金は支払われます。
地震でパソコンが落ちて壊れた場合・・・

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家財を保険の対象とする地震保険では、地震によって家財が損害を受けたとしても、その損害額が家財の時価の10%以下の場合は保険金が支払われません。
10%以上の損害額となった時にはじめて保険金が支払われます。
また、パソコンやテレビなどの特定の家財そのものの損害を補償するわけではなく、家財全体の損害割合に応じて保険金は支払われます。
そのため、パソコンが落ちて壊れたとしても、家財の時価の10%以上の損害がない限り地震保険から保険金は支払われません。
地震で車が損害を受けた場合・・・

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車両保険に加入していても、残念ながら地震や噴火、津波での損害は補償の対象外になっています。
車両保険には、 一般車両保険(オールリスクタイプ、フルカバータイプ)と限定車両保険(エコノミータイプ)の2種類があり、どちらも火災、爆発や台風、洪水、高潮の自然災害は補償の対象となっていますが、地震や噴火、津波は対象外です。
一部の保険会社では、特約を付けることにより地震や噴火、津波を補償の対象とすることもできます。
【番外編】こんな時は保険金どうなるのか?
地震でケガをした場合は傷害保険は支払われるの?

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「傷害保険」は日常のリスクを想定して、つくられている保険のため安価で手頃ですが、地震、噴火、津波による事故は補償の対象外となります。
しかし、医療保険や入院特約の約款では、前提として支払い対象外となっていますが、状況に応じて全額支払いもしくは削減支払いとしています。
また、保険会社によっては「天災危険担保特約」を付帯することで、地震、噴火、津波による事故も補償することができます。
地震で亡くなった場合は生命保険は支払われるの?

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ただし、終身保険や定期保険、収入保障保険、定期付終身保険、特定疾病定期保険などの死亡した場合に支払われる保険はすべて対象です。
生命保険に付帯される「災害割増特約」「傷害特約」は、不慮の事故や感染症により死亡または高度障害になったとき、死亡保険金とは別に支払われるものですが、地震・噴火・津波による死亡については、保険金の減額もしくは支払いを行わない場合があると約款で定められています。
地震が起きてどこの保険会社で加入していたかわからない場合・・・

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生命保険では、「災害地域生保契約照会制度」が設けられて、地震保険については「地震保険契約会社照会センター」が設置されています。
地震で家財がすべてなくなってしまった場合に、保険金を請求する場合は本人あるいは受取人であることが確認できるもの(免許証や健康保険証など)があれば手続きをしてもらうことができます。
また、生命保険については、両親や親権者の人全員を亡くした未成年者に、生命保険金を適切に支払いできるように、生命保険各社や弁護士会などが連携して「未成年者生保支援ネットワーク」が創設されています。
生命保険金に必要な手続きをはじめ、震災孤児への支援についての相談先の紹介などをしてくれます。
行方不明になってしまった場合に死亡保険金は請求できるの?

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死亡が確認されない津波などの「行方不明者」は1年以上たたないと死亡が認められません。
そのため、保険金の請求は死亡が認められなければ効力が生じないため、それまでは保険料を払い続ける必要があります。
しかし平成23年6月に発表された特例措置により、その他遺族年金給付や相続に関する手続きについても迅速に進めることができるよう、行方不明者の遺族が死亡届けの手続きが簡素化できるようになりました。