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遺産分割協議書の書き方|相続登記で却下されない不動産の記入例

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親や配偶者が亡くなり、相続人が複数いる――そんなとき、「誰がどの財産を引き継ぐのか」を全員の合意として残す書類が遺産分割協議書です。

2024年4月からは相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められるようになり、その前提となる協議書を正しく作る重要性が増しています。
特に実家などの不動産がある場合は、相続登記(名義変更)の添付書類になるため、登記事項証明書どおりに物件を正確に記載することが前提になります。

書式に法律上の決まった様式はありませんが、被相続人の特定・財産の明記・相続人全員の実印と印鑑証明書がそろって初めて効力を持つのが一般的です。ここでは、コピーして使えるテンプレートと、相続登記で却下されないための記載精度を中心にお伝えしていきます。

目次

遺産分割協議書は相続登記を進めるための合意の証明書

遺産分割協議書には、大きく2つの役割があります。1つは相続登記など名義変更の添付書類としての役割、もう1つは「誰が何を相続するか」の合意を残し、後の「言った・言わない」の争いを防ぐ合意の証としての役割です。法定相続分と異なる分け方をする場合、この協議書がなければ登記官は誰に名義を移してよいか判断できないため、相続登記を進められないのが一般的です。

遺産をめぐる話し合いは、決して他人事ではありません。まとまらずに家庭裁判所へ持ち込まれる遺産分割事件は増加傾向が続き、令和6年は19,550件にのぼります。さらに、解決まで1年を超えた事件が全体の約3割(32.5%)を占め、長期化も珍しくありません。

遺産分割事件の状況 件数・割合
新受件数(令和元年・調停+審判) 15,842件
新受件数(令和6年・調停+審判) 19,550件
令和6年に終結した事件のうち解決まで1年を超えた割合 32.5%

出典:最高裁判所事務総局「令和6年司法統計年報 家事編」(令和7年6月公表) 第2表(新受件数)・第45表(審理期間別既済件数)

だからこそ、合意した内容を正確な協議書として残しておくことが、相続登記をスムーズに進め、将来のトラブルを避ける備えになります。

前述のとおり相続登記は3年以内の申請が義務づけられているため、協議書の作成は、その期限を守るための前提作業にあたると考えられます。

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協議書の作成で見落とされがちなのが、財産の全体像を確定してから着手するという順序です。預貯金や保険を後から追加するために相続人全員へ再署名を依頼する場合、遠方の方がいると郵送往復だけで数週間かかることもあります。金融機関への残高照会や生命保険の確認を先に済ませ、財産目録を作ってから協議書に着手すると、後戻りを防げます。

協議書が必要になるケースと不要なケース

遺産分割協議書が必要になるかどうかは、相続の状況によって変わります。

  • 必要になるのが一般的なケース:相続人が複数いて、法定相続分と異なる分け方をする場合
  • 不要なケースが多い場合:有効な遺言書があり、そのとおりに分ける場合/相続人が1人だけの場合/法定相続分どおりに登記する場合

法定相続分どおりに登記する場合は協議書なしで申請できることもありますが、その後の売却や他の相続人との関係で問題が生じることがあります。分け方に少しでも調整がある場合は、協議書を作成しておく判断が一般的です。

相続登記の義務化や費用の全体像は、こちらの記事で詳しく確認できます。
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不動産がある場合の遺産分割協議書テンプレートと記入例

まず実務に直結する書式から見ていきましょう。協議書は、タイトル・被相続人情報・分割内容・署名押印欄という4つのブロックで構成するのが基本です。

不動産あり版で最も重要なのは、物件を登記事項証明書(登記簿)の記載どおりに転記する点です。普段使っている住所表記(住居表示)ではなく、所在・地番といった登記上の表記で記載しないと、相続登記で物件を特定できず却下される原因になります。

東京都〇〇区〇〇1丁目2番3号のような住居表示で書くのは誤りです。土地は所在・地番、建物は家屋番号で特定するため、登記事項証明書を取り寄せて、そのとおりに転記しましょう。

コピーして使える遺産分割協議書のテンプレート(不動産あり版)

まずは全体像をつかめるよう、不動産あり版の基本的なひな形を掲載します。【 】の部分を自分の情報に置き換える形で使い、不動産の表示は次の見出しで説明する登記事項証明書どおりの記載に差し替えてください。

遺産分割協議書

被相続人 【氏名】(最後の本籍 【 】/最後の住所 【 】/生年月日 【 】/死亡年月日 【 】)の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、次のとおり分割することに合意した。

1.相続人 【氏名】 は、次の不動産を取得する。
 (土地)所在 【 】/地番 【 】/地目 【 】/地積 【 】㎡
 (建物)所在 【 】/家屋番号 【 】/種類 【 】/構造 【 】/床面積 【 】㎡

2.相続人 【氏名】 は、次の預貯金を取得する。
 【金融機関名・支店名】 【預金種別】 口座番号 【 】

3.本協議書に記載のない遺産が後日判明した場合は、相続人 【氏名】 が取得する。

以上のとおり協議が成立したので、これを証するため本協議書を 【 】 通作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各自1通を保有する。

 令和 【 】 年 【 】 月 【 】 日

 相続人 住所 【 】 氏名 【 】  実印
 相続人 住所 【 】 氏名 【 】  実印

※書式に法律上の決まった様式はなく、手書き・パソコンのどちらでも有効です。区分建物(マンション)の場合は、土地・建物の記載に代えて、次の見出しの一棟の建物の表示・専有部分・敷地権を転記してください。

不動産部分の記載例(土地・建物)

土地と建物では記載すべき項目が異なります。登記事項証明書から、以下の項目をそのまま書き写すのが基本です。

対象 記載する項目 記載例
土地 所在・地番・地目・地積 所在 〇〇区〇〇/地番 〇番〇/地目 宅地/地積 120.50㎡
建物 所在・家屋番号・種類・構造・床面積 所在 〇〇区〇〇/家屋番号 〇番〇/種類 居宅/構造 木造瓦葺2階建/床面積 1階60.00㎡ 2階50.00㎡
区分建物
(マンション)
一棟の建物の表示・専有部分の建物の表示・敷地権の表示 専有部分の家屋番号、建物の名称、敷地権の種類・割合を転記

マンションなどの区分建物は、一棟全体の表示・専有部分・敷地権の3つを記載する必要があり、戸建てより項目が多くなります。記載漏れがあると却下されやすいため、登記事項証明書の表題部を1行ずつ確認しながら転記すると安全です。協議書や申請書の具体的な記載方法は、法務局「不動産登記の申請書様式について」(相続・遺産分割の申請書様式・記載例)でも確認できます。

預貯金・有価証券など不動産以外の記載例

不動産以外の財産も、できるだけ特定できる形で記載します。

  • 預貯金:金融機関名・支店名・預金種別・口座番号を記載(例:〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号1234567)
  • 有価証券:証券会社名・支店・銘柄・口座番号を記載
  • その他:自動車(車台番号)、出資金などは名称と特定情報を記載

あわせて、「本協議書に記載のない財産が新たに判明した場合は、相続人〇〇が取得する」といった一文を入れておくと安心です。この条項は登記上の効力に直接影響するものではありませんが、後から見つかった財産のたびに全員の再署名を求められる事態を防げるため、トラブル予防として実務上よく用いられます。

協議書に必ず記載すべき5つの項目

テンプレートを使う際に、抜けると効力や登記に影響しやすい必須要素が5つあります。

  • 1. 被相続人の特定:氏名・最後の住所・本籍・死亡年月日
  • 2. 相続財産の明記:不動産・預貯金などを特定できる形で記載
  • 3. 取得者の明示:誰が何を取得するかを一義的に記載
  • 4. 作成日付:協議が成立した日
  • 5. 相続人全員の住所・氏名・実印:全員の合意を示す署名押印

被相続人の特定と相続財産の明記

被相続人の氏名だけでは同姓同名と区別できないため、最後の住所・本籍・死亡日まで記載するのが一般的です。これにより、戸籍や住民票の除票と照合でき、登記の場面でも被相続人を一意に特定できます。

誰が何を取得するかを明確にする書き方

「相続人〇〇(続柄・氏名)は、次の不動産を取得する」というように、取得者と対象財産が一義的に読める表現にします。複数の解釈ができる書き方は、登記でも相続人同士の認識でもトラブルの原因になります。

代償分割(一人が不動産を取得し、他の相続人に金銭を支払う方法)や、換価分割(不動産を売却して代金を分ける方法)を行う場合は、その旨と金額・割合を明記しておくと、後の手続きや税務上の整理がスムーズになります。

日付・住所・氏名と相続人全員の合意表示

署名押印欄には、相続人全員の住所・氏名を記載し、それぞれが実印を押します。一人でも欠けると協議は成立せず、登記も受理されません。前述のとおり、後日判明財産の取扱い条項を入れておくと安心です。

全員の実印と印鑑証明書がそろって初めて効力を持つ

協議書の内容が正しくても、押印や印鑑証明書に不備があると相続登記で却下されやすくなります。記載精度と同じくらい、押印関連の整合性が重要です。

実印と印鑑証明書はセットで考える
協議書には相続人全員が実印を押し、その実印を証明する印鑑証明書を添付するのが基本です。認印や、印鑑証明書のない押印では、相続登記の添付書類として認められないのが一般的です。

実印・印鑑証明書の取り扱いについては、日本司法書士会連合会などの相続関連情報も参考になります。

印鑑証明書の有効期限と取得方法

印鑑証明書は、市区町村の窓口やコンビニ(マイナンバーカード利用)で取得できます。相続登記に添付する印鑑証明書には期限の制限がないのが一般的な扱いです。一方、金融機関での預貯金の解約手続きでは発行から3か月以内などの期限を求められることが多く、扱いが異なる点に注意が必要です。

相続人が遠方・海外にいる場合の対応

相続人が遠方にいる場合は、協議書を郵送で順番に回して署名押印してもらう持ち回り方式が一般的です。海外在住で印鑑証明書を取得できない場合は、現地の日本大使館・領事館で発行されるサイン証明(署名証明)で代替する方法があります。

認知症の相続人・未成年者がいる場合の注意点

相続人に判断能力が十分でない方(認知症など)がいる場合は、そのままでは有効に協議へ参加できない可能性があります。家庭裁判所で成年後見人を選任する必要が生じることがあります。また、未成年者と親権者がともに相続人である場合は利益が相反するため、特別代理人の選任が必要になるケースがあります。

後見人や特別代理人が関わる手続きは複雑で、誤った進め方をすると協議の効力に影響するおそれがあります。該当する場合は、まず家庭裁判所や司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

よくある記載ミスと司法書士に依頼する場合の費用目安

協議書の不備は、相続登記の段階で初めて指摘されることがあり、修正のために相続人全員へ再度署名押印を依頼する手間が生じます。事前にミスの傾向を知っておくことが、二度手間の回避につながります。

相続登記が却下されやすい記載ミス

却下を防ぐチェックポイント
・住居表示(〇番〇号)ではなく、登記簿どおりの地番・家屋番号で記載しているか
・土地の地積・建物の床面積を登記事項証明書と一致させているか
・相続人の住所が、印鑑証明書の住所と一字一句一致しているか
・被相続人の氏名・本籍・死亡日に誤記がないか
・相続人全員の署名押印(実印)がそろっているか

登記申請時に指摘されやすいのが、地番と住居表示の混同、床面積の誤記、相続人の住所表記の相違です。住所は〇丁目〇番〇号と〇丁目〇番地〇のような表記揺れでも指摘されることがあるため、印鑑証明書の表記に合わせるのが安全です。

司法書士に依頼する場合の費用相場

協議書の作成や相続登記を司法書士に依頼する場合の費用は、報酬と実費に分かれます。2024年時点の一般的な目安は以下のとおりですが、不動産の数や相続人の人数によって変動します。

項目 費用目安(2024年時点) 区分
遺産分割協議書の作成 約3万〜10万円 司法書士報酬
相続登記の申請代行 約5万〜10万円 司法書士報酬
登録免許税 固定資産評価額の0.4% 実費
戸籍・登記事項証明書などの取得 数千円〜 実費

司法書士報酬は自由化されており、金額は事務所ごとに設定されています。そのため、複数の事務所で見積もりを比較するのが一般的です。

自分で作るか専門家に任せるかの判断

どちらを選ぶかは、相続の複雑さで判断するのが現実的です。

  • 自作を検討しやすいケース:相続人が少なく関係も良好で、財産が不動産1件と預貯金程度のシンプルな構成
  • 専門家への依頼を検討しやすいケース:相続人が多い、不動産が複数ある、遠方・海外の相続人がいる、トラブルの懸念がある
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相続税の申告が必要なケースでは、協議書の分け方が税額に直接影響することがあります。たとえば配偶者の税額軽減(配偶者が取得した財産が法定相続分または1億6,000万円以下なら相続税がかからない)を活用するには、配偶者が実際に財産を取得している内容の協議書が必要です。税理士と連携せずに分け方を決めてしまうと、本来使えた控除が適用できなくなる場合があるため、相続税が発生しそうな場合は税理士への相談を先に行うことをお勧めします。

相続税が絡むかどうかの判断や、相続全体の手続きをまとめて相談したい場合は、適切な相談先を選ぶことが第一歩になります。相続した実家の扱いも含めて検討したい方は、以下の記事も参考になります。

相続した不動産の今後の選択肢を整理したい方はこちらの記事で詳しく確認できます。
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よくある質問

遺産分割協議書は、不動産がある場合は登記事項証明書どおりに物件を記載し、被相続人と取得者を一義的に特定したうえで、相続人全員の実印と印鑑証明書を添えるのが基本です。住居表示と地番の混同や床面積の誤記が却下の原因になりやすいため、登記簿との照合が重要になります。

Q1. 遺産分割協議書は何通作成すればよいですか

相続人の人数分を作成し、各自が1通ずつ保管する方法が一般的です。全員の実印を押した同一内容の書類を複数用意するか、1通を作成して各相続人の手元には写しを残す方法があります。手続き先(法務局・金融機関)に提出する分も考慮して用意します。

Q2. 協議書に決まった様式や用紙のサイズはありますか

法律上、決まった様式や用紙サイズの定めはありません。手書き・パソコンのどちらでも有効です。ただし、内容が明確で、必要事項と相続人全員の実印がそろっていることが前提になります。

Q3. 相続人が一人増えたり財産が後から見つかった場合はどうなりますか

協議に参加すべき相続人が漏れていた場合、その協議の効力に影響する可能性があります。財産が後から見つかった場合は、その財産について改めて協議が必要になるのが一般的です。あらかじめ記載のない財産は〇〇が取得するなどの条項を入れておくと、再協議の手間を抑えられます。詳細は司法書士や弁護士にご確認ください。

Q4. 印鑑証明書はコピーでも相続登記に使えますか

相続登記に添付する印鑑証明書は、原本が必要になるのが一般的です。コピーでは認められないことが多いため、市区町村で発行された原本を用意してください。

Q5. 協議書が複数枚になる場合の契印(割印)は必要ですか

協議書が複数枚にわたる場合は、ページのつながりを示すために相続人全員の実印で契印(ページの綴じ目に押す印)を行うのが一般的です。これにより、後からの差し替えを防ぐ意味があります。

Q6. 相続人同士が遠方でも一枚の書類にまとめないといけませんか

遠方の相続人がいる場合は、同一内容の協議書を相続人ごとに用意して各自が署名押印する方法(協議書を分けて作る方式)も認められるのが一般的です。1通を郵送で順番に回す持ち回り方式と、状況に応じて使い分けられます。

遺産分割協議書は、書式そのものより記載の正確さと相続人全員の合意がそろっているかが問われる書類です。不動産がある場合は特に登記簿との整合が重要になるため、判断に迷う点があれば、司法書士・弁護士・税理士など適切な専門家に早めに相談しながら進めると安心です。

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この記事を書いた人
ウィズマネ編集部 ファイナンシャルプランナー
ウィズマネ編集部 ファイナンシャルプランナー

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