地震で子どもが下敷きに──寝ている間の安全を守る部屋づくり
深夜の地震。
突き上げるような揺れが起こり、子ども部屋のタンスが大きく傾き、ベッドの端に倒れ込むことがあるかもしれません。
もしその下に、子どもが寝ていたら...と想像すると怖いですよね。
地震による家具転倒事故は、決して他人事ではありません。
行政資料では、住宅内の地震負傷の30〜50%が「家具や家電の転倒・落下・移動」によるとされています。特に夜間は、睡眠中に身動きが取れず、逃げ遅れるケースが少なくありません。
今回は、子どもが寝ている間の安全を守るために、「家具とベッドの位置関係」「ドアや窓との距離」「固定の方法」など、具体的な配置と対策を解説します。
この記事に書かれていること
- 地震時に子ども部屋で危険になりやすい室内レイアウトの特徴
- ベッド・家具・ドアの位置関係を踏まえた安全な配置の考え方
- 賃貸でもできる家具固定の方法と、三段構えで支える工夫
- 夜間の揺れに備える枕元の備えと、暗闇でケガを減らすポイント
- 地域や建物の条件による揺れやすさの違いと、リスクを把握する方法
【統計でみる】地震による室内被害 どこが危ない?
行政資料のデータによると
- 負傷原因の約3〜5割が「家具の転倒・落下・移動」:東京消防庁の調査・ハンドブックで、屋内負傷の主因として家具転倒が繰り返し指摘されています。避難路を塞ぐ危険性も強調されています。
- 熊本地震(2016年)でも室内受傷の主要要因は「家具・家電の転倒」:戸建・マンションを対象とした実態調査で、転倒・落下・移動による被害が多かったことが報告されています。
- 南海トラフ想定では、家具転倒防止の普及で屋内の転倒・落下による死者を約66%減:内閣府の最大クラス地震の被害想定(冬・深夜等の条件下)で、家具固定などの対策が人的被害軽減に有効と分析されています。
【参考データ・出典】
安全な子ども部屋づくりの大原則

地震時に子ども部屋で最も危険なのは、次の2つです。
- 倒れた家具の下敷きになること
- 家具が倒れてドアがふさがり、脱出できなくなること
この2つを避けるための大原則は、倒れる家具を寝ている人とドアの間に置かないことです。
「ベッドをどの向きに置くか」よりも、家具・ベッド・ドアの位置関係を整理することが何より重要です。
家具とベッドの位置関係を見直す
タンスや本棚などの家具は、できるだけ壁際に配置しましょう。
家具は揺れによって部屋の中央に向かって倒れるため、壁際に寄せることで倒れる方向を限定できます。
ベッドは、家具のある壁とは反対側の壁に寄せて設置します。
家具とベッドの間には30〜50cm程度の間隔をあけるのが理想です。この逃げ代があることで、家具が倒れてもベッドに直接当たらず、命を守る空間が生まれます。
また、背の高い家具ほど転倒の危険が高いため、子ども部屋には低い収納を選ぶことも大切です。
FP
ドア・窓・クローゼットとの関係も要チェック
- 背の高い家具をドアの前やすぐ横に置くのはNG。倒れた家具が避難経路をふさぎます。
- クローゼットの前もスペースを空けておきましょう。枠が歪むと開かなくなり、内部の物が飛び出してケガの危険も。
- ベッドの頭側を窓方向に向けないのもポイント。ガラス片の落下や飛散を避け、頭はできるだけ壁側へ。
- 背の高い収納棚は出入口の対角線上の壁に配置し、人の動線を塞がないようにします。
家具の固定はできる範囲で。でも十分効果的
「持ち家じゃないと家具を固定できない」と思う方もいますが、賃貸でも工夫は可能です。
- L字金具固定:最も確実。壁にねじ止めできる住宅なら最有力。
- 突っ張り棒+耐震ストッパー:石膏ボード壁や賃貸でも上部で支え、転倒を防ぐ。
- 滑り止めマット:底面のずれ・転倒を軽減。
- 引き出し・扉用ストッパー:飛び出し散乱の二次被害を抑制。
三段構えが理想:上(突っ張り)、中(ストラップ・バンド)、下(滑り止め)で支えると効果が安定します。
小型家電も落下しやすいため、テレビはストラップ固定、電子レンジは耐震マット併用を。
夜間の地震に備える「枕元の備え」

深夜に地震が発生した場合、最も怖いのは暗闇とガラス片です。
停電で照明が落ちると周囲が見えなくなり、割れた窓ガラスや倒れた家具を踏んでケガをするケースが多発します。
枕元にあらかじめ備えを整えておくことで、暗い中でも落ち着いて動けるようになります。
- 足元ライト:懐中電灯やヘッドライトを手の届く位置に。停電で自動点灯する足元灯も有効です。
- スリッパ・靴:散乱したガラス片から足裏を守ります(厚底タイプが安心です)。
- 笛(ホイッスル):万一閉じ込められた場合の合図として有効です。
東日本大震災(2011年3月11日)では、震源が三陸沖の海底で深く、最初の小さな揺れ(初期微動)から最大の揺れ(主要動)が到達するまでに地点によって数十秒の時間差がありました。例として、茨城県日立市では震度3到達から震度6強に至るまで79秒の時間差が記録されています(防災科学技術研究所の分析)。
こうした時間差があったことで、家具が倒れても身を守る体勢を取れた人が多く、転倒による致命傷を避けられたと考えられています。
夜間の初動では「明かりの確保」と「足裏の保護」が行動のしやすさを大きく左右します。窓まわりのガラス対策(飛散防止フィルム・就寝時はカーテンを閉める)も併せて検討すると安心です。
要点まとめ
- 東日本大震災では、場所によって初期の揺れから大きな揺れに至るまで数十秒の時間差があり、身を守る行動を取れたケースが報告されています。
- 夜間は停電やガラス片での負傷リスクが高く、枕元の明かり・靴・笛などの備えが初動行動を左右します。
【参考データ・出典】
家具配置の実例で考える 安全なレイアウトとは?
- ドアの反対側の壁にベッド
- 家具はドアと同じ壁、または隣の壁に配置(倒れてもドアをふさがない向き)
- 家具とベッドの間に50cm前後の空間を確保
- クローゼットや窓の前には何も置かない
こうすることで、家具・ベッド・ドアが一直線に並ばず、どの方向に倒れても「人」と「出口」が直接重なりにくくなります。
結果として倒れても閉じ込められない安全な間取りに近づきます。
地域・建物によって揺れやすさは異なる
同じ地域でも地盤や地形で揺れ方は変わり、構造(木造・鉄骨造など)や築年数でもリスクは異なります。まずは自宅のリスクを知り、「配置」「固定」「備え」の優先順位を決めましょう。
FP
よくある質問
Q. 子ども部屋では、まず何から見直せばいいですか?
A. 家具とベッド、ドアの位置関係を整理することです。倒れる家具を就寝位置とドアの間に置かないこと、背の高い家具をドア付近に置かないこと、ベッドと家具の間は30〜50cm程度あけることが基本です。
Q. 賃貸でもできる固定はありますか?
A. 突っ張り棒、耐震ストッパー、滑り止めマット、開き戸ストッパーなど、壁に穴を開けない器具の組み合わせで効果が見込めます。
Q. どのくらい効果がありますか?
A. 内閣府の推計では、家具等の転倒・落下防止対策の普及により、屋内の転倒・落下に伴う死者数を約66%減らせるケースが示されています(前提条件あり)。
Q. 2段ベッドでも同じ考え方ですか?
A. はい。倒れる家具とドアから距離を取り、上段は壁側・頭部は窓から離す配置が基本です。固定(壁・天井)と落下防止柵の状態も確認しましょう。
Q. タンスと本棚、どちらを残すべき?
A. 重心が高く背が高い方がリスクです。撤去や別室移動、低い収納への置き換えを優先し、残す家具は三段構えで固定します。
Q. 見直しの頻度は?
A. 模様替えや成長に伴う家具追加のタイミング、あるいは半年〜1年に一度の点検をおすすめします(固定の緩み・劣化も要確認)。
今日からできる「寝ている間の防災」
家具の配置や固定、枕元の備えを見直すだけで、夜間のリスクは確実に下がります。
まずは「ベッドと家具の距離」「ドアと家具の位置関係」から。
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