火災保険はいくらかけるといいの?火災保険の基本
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ファイナンシャルプランナー 水上克朗 https://mizukatsu.com/
【経歴】 慶応義塾大学卒業後、大手金融機関に入社。50代での人生の転機に、FPの知識を活かし老後1憶円資産の捻出方法を確立する。現在、ライフプラン、資産運用、保険の見直しなどの観点からアドバイスを行う。また、執筆・監修・相談業務や講演活動などを積極的に行い、新聞、雑誌、Webの大手媒体で数多く取り上げられている。著書に「50代から老後の2000万円を貯める方法」(アチーブメント出版)がある。
火災保険は何にいくらかけるのがいいのか?
今回は、何に保険をかけたらいいのか?そしていくらかけたらいいのか?について紹介します。
この記事に書かれていること
- 火災保険は何にいくらかけたらいいのか?について
- 火災保険で補償されるものについて
- 地震保険の保険料について
- マンションの火災・地震保険の選び方について
この記事はこんな人向け
- 火災保険の契約をしようとしている方
- 地震保険についても興味がある方
- 分譲マンションに住もうとしている・住んでいる方
火災保険とは?火災保険は何にかけるのか?
火災保険とは、家の保険のことです。
火災保険と聞くと、火災に対する補償の保険だと考えている方が多いですが、火災だけでなく自然災害などによる損害も補償してくれる保険となります。
FP
例えば一般的な住宅を想像してみましょう。今住んでいるところを想像してみてください。
建物と建物の中にある家財道具がありますよね。
つまり、火災保険を何にかけるのかというとこの2点です。
- 建物
- 家財(家具)
店舗併用住宅の場合・・・
店舗併用住宅のように、店舗と住まいが一緒の場合、家財だけでなく商売道具(設備什器)にも火災保険をかけることができます。
また、そこで売っている商品にも火災保険をかけることができます。
※個人向け火災保険では設備什器の補償は対象外になることがあります。
設備什器の補償をしてもらいたい場合は、一般物件用火災保険を検討しましょう。
火災保険はいくらかければいいの?
次に建物・家財にいくら補償・保険をかければいいのか?についてご紹介します。
火災保険はもう一度同じものを買う時に必要な額をかけてください。
この金額を再調達価額と言います。
再調達価額は保険会社が決める金額ではありません。
中には保険会社に言われるがままに
「いや~お客様の家族にはこのくらいの人数がいるのであれば、家財道具にはこのくらいの金額が必要ですよ。」
「このくらいかけておかないとダメですよ。」
と言われるケースが非常に多くあります。
しかし、全く違います!!
保険金額は自分自身で決めましょう。
家財にかける火災保険の保険金額の設定額はいくらでも自由です。
必要以上の保険金額を設定してしまうと、その分保険料は高額になりますのでご注意ください。
建物の保険金額は注意が必要!
家財の保険金額は好きな金額を設定できますが、建物の保険金額は法外にかけることはできません。
新築の場合は、建物金額以上の金額をかけることはできません。
新築でない場合の保険金額は、今同じ建物を建てた場合にいくら必要なのか(再度購入できる金額)で設定する必要があります。
例えば、今同じ広さの木造家屋の建物を建てると2,000万かかる場合は、保険金額は2,000万円で設定することになります。
家の広さ、木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなのかによって適正保険金額は変わってきますので、保険会社や保険代理店に聞いてみてください。
家財も建物も、再度購入できる金額(再調達価額)で保険金額を設定することで適正な保険料となります。
損害が発生し保険金を受け取る時も、再度同等のものを購入できるだけの保険金を受け取ることができるので安心です。
火災保険に入らない危険性について
家を購入する際や持ち家の火災保険更新時に入らなくてもいいのでは? 今まで火災が起きたことないし、気を付けるし・・・と思う人がいるかもしれません。
しかし、火災保険は火災だけを補償してくれる保険ではありません。
また、どんなに火災を引き起こさないように注意をしていても隣家からの延焼で家が燃えてしまうこともあるかもしれません。
※失火責任法により隣家からの火災の燃え広がりで自宅が燃えてしまった場合は、出火元に重大な過失がない限り賠償請求は行えず、自宅の火災保険で修理をすると法律で決められています。
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他にも、大型台風によって屋根がとばされてしまったり、何かが飛んできて窓ガラスが割れてしまった時でも火災保険で補償してくれます。(加入しているプランによります)
火災保険料がもったいない。と火災保険に加入せず、購入後すぐに大雨が降って損害を受けたとしても、だれも補償してくれませんし、住宅ローンの支払いプラス修理費用も自費で出す必要があります。
家がなくなるということは、家族を路頭に迷わせてしまうことになりかねません。
新築住宅であれば火災保険料が安くなる割引制度を用意している火災保険会社もあります。
家族のために、火災保険料をケチらず火災保険に加入することをおすすめします。
家財に火災保険をかけるのは必要か?
火災保険は通常、家財と建物を別々に保険契約を結びます。
火災保険の建物と家財の区分とは?
- 建物・・・門、塀、テレビアンテナ、付属のインターフォン、屋根、壁などが保険の対象
- 家財・・・家具、電化製品だけでなく、茶わん、衣類、小物など移動が可能な物について全て保険の対象 ※ただし、ミニバイク、原付自転車以外の自動車、通貨、切手などは火災保険の対象外
この中で、通貨、切手、預貯金証書などは盗難の補償をつけることで火災保険の対象となります。
また、家財の場合は1個一組が30万円以上のものを明記物件として別途登録することにより、事故の際の補償を確実にすることができます。
なぜ火災保険において家財補償が必要なのか?
実際に屋内での出火の際、消火活動によって大量の水が使われることになりますが、水浸しになった家財はすべて使い物になりません。
そのため、実際に復旧に当たっては衣類や小物、電化製品、箪笥その他ダイニングテーブルなど、全て一から買いそろえる必要があるわけです。
ボヤでおさまった場合でも、家財の被害は大変大きなものになります。
他にも、台風によって窓ガラスが割れて家の中に雨が吹き込んできてしまい、電化製品が雨に濡れて壊れてしまうかもしれません。
このような場合でも、家財に火災保険をかけていれば補償してもらうことができます。
このように、家財に火災保険をかけることが大変重要なのです。
家財保険はいくらかける?
家財の火災保険へかける保険金額は、先程自由に設定できるとお伝えしましたが、自宅にある家財の総額を保険金として設定することをおすすめします。
しかし、家財の総額を把握している人はあまりいませんよね。
そこで、世帯主の年齢と家族構成から簡易的に家財にかける金額を知ることができる簡易評価表が各火災保険会社に用意されています。
この表を参考に自宅の家財が全て無くなってしまった際に、再度購入する時に必要となる金額がどのくらいになりそうかを決めましょう。
家財にかける保険金額が300万円だと少ないかな?というのは、人によって異なります。
大体一人当たり100万円~200万円は家財を持っているとされていて、2人以上であれば300万円以上の家財が入っていると言われていますが、同じ世帯主の年齢と家族構成でもシンプルな暮らしをしている家庭と物が多い家庭では異なるものです。
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火災保険は火事以外にも何が補償されるのか?
多くの人が『火災保険=火事』というイメージを持っています。
しかし、自然災害などでも火災保険が適用されます。
火事、洪水、泥棒が入った時などでも、自分で火災保険会社へ申請することができます。
雪や風などで受けた被害や屋根の上の被害は自分では気づかないことが多いんです。
他にも、水災、飛来、物体の落下、水濡れ、破損なども対象です。
火災保険の内容ってどんなの?基本補償は火災だけじゃない!
火災保険の補償内容には、火災や落雷、水濡れなどの補償があるということは、各保険会社の火災保険の紹介の中で説明してきました。
しかし、 火災の補償はイメージつくけど、落雷とか水濡れの補償ってどんな時に補 ...
火災保険の契約期間の選び方
火災保険は契約期間によって支払う保険料が違います。
単純に1年間の保険料を毎年更新するパターン、ある程度の期間を一括して支払う場合、いろんなパターンで支払う保険料は大きく違ってきますので気を付けましょう。
火災保険の契約期間ですが、一般的には1年~5年の整数年で選択することが可能です。
一般的に1年以下の契約を短期契約、2年以上の契約を長期契約といいます。
火災保険の4つの支払方法
- 月払い(分割払)
- 年払い
- 長期年払い
- 長期一括払い
1. 月払い(分割払)
月払い(分割払)は他の支払い方法に比べ最も保険料が高額になります。
1年間の保険料を分割して支払うため、分割割り増しが適用されるためです。
分割割り増しは概ね5%となっています。
金利として非常に大きな負担となります。
2. 年払い
年払いは1年ごとに保険料を一括して支払います。
この場合、毎月の月払いよりも保険料は安くなります。
3. 長期年払い
長期年払いはある程度まとまった期間(契約期間2年~5年)までの年払いの場合、長期年払いとなり一般的な年払いよりも保険料は安くなります。
4. 長期一括払い
長期一括払いは契約期間が2年以上の火災保険を一括で支払うことです。
他の支払方法よりも保険料は一番安くなります。契約期間が長ければ長いほど保険料は割安になります。
新築で火災保険を5年一括払いにするなど、最長5年の長期一括払いを選択できます。
最長5年の長期一括払いの場合は、毎年払いの更新タイプに比べてトータルの保険料が安くなります。
デメリットは、契約時にまとまったお金が必要だということですが、他の金融証券と比較を考えても、ぜひ検討したい支払方法です。
それぞれの契約方法にメリット・デメリットがありますので、自分にあった保険期間の選択が重要です。
長期契約は2022年10月の保険料値上げのタイミングで最長10年から5年に短縮されましたのでご注意ください。
契約期間による保険料の割引額は保険会社によって異なるので、詳しくは保険会社にお問い合わせください。
地震保険とは?
地震保険のポイントについて紹介していきます。
地震保険のポイント
- 地震による火災は火災保険だけでは対象外
- 地震保険は単独では加入できない
- 建物よりも家財の補償を厚くする必要がある
地震による火災の被害については火災保険ではカバーされないため、地震保険に入らなければならないところがポイントになります。
また、地震保険単独では加入ができません。
地震保険に加入する場合は、まず火災保険に入って付帯として地震保険に入ることになります。
地震保険には
- 火災保険+建物の地震保険
- 火災保険+家財の地震保険
というように加入することが可能です。
地震保険はいくらかける?
地震保険の保険金額については上限額があります。
主たる火災保険の50%が地震保険の上限となります。
火災保険の建物保険金額を3,000万円と設定した場合は、地震保険の上限保険金額は1,500万円。
火災保険の家財保険金額を1,000万円と設定した場合は、地震保険の上限保険金額は500万円となります。
地震保険の保険料はいくら?
地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営しています。
そのため、地震保険料は各火災保険会社で一律となっており、保険会社は利益を得ていません。
火災になれば、家財が先に燃えてしまいますし、地震でも家財が先に被害にあってしまいますので、建物だけでなく家財の補償を厚くする必要性があることを覚えておきましょう。
分譲マンションの火災保険の選び方
マンションの場合、火災保険はどのように選べばいいのでしょうか?
マンションといっても、分譲マンション、賃貸マンションなど内容によって大きく火災保険のかけ方に違いがありますが、今回は分譲マンションの火災保険のかけ方をご紹介します。
分譲マンションの保険金額の設定にご注意ください!
分譲マンションを3LDKを3000万円で購入された場合、3000万円を保険金額として契約される方が多いのですが、この場合、マンションの純粋な建物の評価と区分所有権(土地代)の合計額が3000万円ということになっています。
火災保険は土地代にはかからないため、建物部分のみに火災保険をかけるべきなんです。
そのため、3000万円を保険金額とすると火災保険をかけすぎてしまうことになります。
では、最も簡単な火災保険の設定方法をご紹介します。
もっとも簡単な方法とは、消費税を逆算する方法です。
なぜ消費税を逆算するだけで建物の金額がわかるかといいますと 消費税は建物部分にしかかかっていません。
つまり、消費税を10%割り戻すと建物の金額が計算できます。
例)消費税が80万円の場合
800,000÷10%で800万円 消費税が80万円の建物は800万円の価値であることがわかります。
このように、消費税から求めた建物の価値分のみ(例では800万円のみ)に火災保険をかけて保険の対象とすることが大切です。
他にもいろいろな方法から建物の金額を出すことができますが、こちらが一番簡単なので覚えておきましょう。
火災保険の補償内容にもご注意ください!
マンションは専有部分と共用部分の2つに分かれています。
マンションの窓ガラスや門扉は共用部分になります。
こちらの共用部分は管理組合で一括で火災保険に入っている可能性が高いため、さらに火災保険の補償内容に加える必要はありません。
このように分譲マンションの場合は、火災保険のかけ方に注意を払う必要があります。
分譲マンションの地震保険はどうするの?
地震保険は専有部分のみしかかけることができません。
しかし、共用部分にも地震保険をかけていることはまれでトラブルのもとになっています。
自己防衛として、必ず専用部分には地震保険をかけておきましょう。
家財は建物とは別に契約する必要があります。
分譲マンションの建物は内壁となるので、実際の被害はカーテンや家具、キッチンなどの家財が大半です。
そのため、建物だけでなく家財も火災保険に入ることが非常に大切です。
現在、火災保険に入っているという方は火災保険の証券を確認して、火災保険金額が適正な価格になっているか、共用部分を補償対象にしていないか、地震保険の加入ができているか、家財の火災保険を検討できているか見直してみてください。