金利

住宅ローンの優遇金利とは?仕組みを知って賢く住宅ローンを利用しよう

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

多くの人にとって、住宅ローンの金利は低いほうがいいでしょう。

しかし金利には「優遇金利」「店頭金利」などがあり、どう見るべきか迷う人もいるかもしれません。

特に「優遇金利」については、途中で適用金利が変わるものとそうでないものに分かれます。

金利の種類を確認するとともに、理解しにくい優遇金利について紹介します。

住宅ローンの優遇金利とは

優遇金利とは、名前の通り「優遇される金利」をいいます。では何を基準に、どの程度優遇されるのでしょう。

それを知るには、複数ある金利の種類を知ることが重要です。

金融機関にはさまざまな金利がありますので、意味を理解していきましょう。

1:店頭金利(基準金利)

住宅ローンの基準となる金利のことで、金融機関が任意に定めることが可能です。

「基準金利」「店頭表示金利」などとも呼ばれます。

なお、住宅ローン商品ごと、固定金利・変動金利といった金利タイプごとに、異なる基準金利が設定されています。

2:優遇金利

優遇金利は店頭金利から差し引く(優遇)ことができる金利のことです。

3:適用金利

適用金利は「店頭金利」から「優遇金利」を差し引いたものです。つまり、借り入れるときに実際に適用される金利で、「実効金利」とも呼ばれます。

4:実質金利(狭義)

手数料や保証料などの諸経費も金利に換算し、適用金利に加算したのが「実質金利」です。

適用金利も「実質金利」と呼ばれることがありますが、厳密にはこちらがより「実質金利」に近いでしょう。

狭義の実質金利は諸費用も含めた金利となるため、より総合的に金利を比較することが可能です。

ただし前述のとおり、適用金利を実質金利と呼ぶこともありますので注意が必要です。

住宅ローン選びの際に実質金利という言葉が出てきた場合はどちらの意味なのか確認しなければなりません。

このように、金利には多くの種類があります。実質金利は算出の手間がかかるため「迷ったときには適用金利で判断するといい」とも言われます。

確かに実際に適用される金利を見ておけば、間違いは少ないかもしれません。

しかし適用金利は「店頭金利-優遇金利」で算出されるため、算出過程として店頭金利や優遇金利がどう関わっているのか知ることは重要です。

例えば優遇金利の金利幅が大きくとも、もととなる店頭金利が高ければ適用金利もあまり低くは抑えられないからです。

また、優遇金利は返済途中で優遇幅が変わる可能性があります。優遇金利のタイプについても理解しておきたいです。

優遇金利の「当初型」と「通期型」

優遇金利は金利の優遇幅ですが、さらに「当初優遇」と「通期優遇」のタイプに分けられます。

それそれの特徴と違いを紹介します。

1:優遇金利 当初型

「借入れ当初〇年」のように、あらかじめ定められた期間が優遇されます。

期間が定められている分、当初の優遇幅が大きく、所定の期間が終了すると優遇幅が小さくなります。

「当初引下げ型」ともいわれます。

借入れ当初の返済額を抑えやすいため、返済リズムが整うまでは返済額を抑えたい場合や、将来的に年収アップが見込める人が当初の返済額を抑えたい場合などに向いているでしょう。

また、ある程度資金が貯まったら繰上返済をしたい、という人は優遇幅が縮小するタイミングで繰上返済をして返済額を抑えることも可能です。

また、繰上返済によって当初の借入期間よりも早く完済する見込みの人も、当初型のほうが優遇金利の恩恵を受けるやすくなります。

2:優遇金利 通期型

借入時から完済まで、同じ優遇を受けることができます。優遇幅は当初型に比べて小さいですが、完済まで優遇幅が変わらないため、返済の見通しが立てやすいです。

「全期間引下げ型」「通期引下げ型」などともいわれます。

返済額が途中で増えるのが不安な人、繰上返済の予定はなくコツコツ一定額を返済していきたい人は通期型が向いているでしょう。

当初型と通期型 返済額比較

繰り上げ返済を考慮せず漫然と返済した場合、当初型と通期型でどの程度返済額が変わってくるのでしょう。

【借入額と返済期間】
借入額 3500万円
返済期間 35年

【住宅ローン種類】
10年固定型
当初店頭金利は3%、11年目以降の店頭金利は4%とする(11年目以降は金利変動を考慮しない)

【優遇金利】
1:当初型(引き下げ率:当初優遇金利10年2% 11年目以降優遇金利1.5%)
2:通期型(引き下げ率:優遇金利全期間一律で1.85%)

【適用金利】

当初10

11年目以降

店頭金利

3%

4%

当初型

1%

2.5%

通期型

1.15%

2.15%

■1:当初型の返済額

当初10

11年目以降

当初型

1%

2.5%

毎月返済額

98,799

117,608 

年間返済額

1,185,588

1,411,296

総返済額

47,138,318

■2:通期型の返済額

当初10

11年目以降

当初型

1.15%

2.15%

毎月返済額

101,265

113,799

年間返済額

1,215,180

1,365,588

総返済額

46,291,678

このケースでは次のようなシミュレーション結果となりました。

  • 当初10年間の返済額は「当初型」の方が少ない
  • しかし11年目以降は「通期型」の方が返済額は少なくなった
  • 総返済額を比較すると、「通期型」の方が低く抑えられた

「通期型」の総返済額が抑えられた理由として、当初10年間よりも11年目以降(11年~35年目までの25年)の期間の方が長いため、後の金利が低い型の方が有利になるのでしょう。

しかし、10年目以降繰り上げ返済を予定している場合は当初型の方が有利になる可能性もあります。

また、もともと返済期間が短い場合も、当初型の方が有利になりやすいです。

金利選択別注意点

優遇金利だけで判断するならば、繰上返済の有無やそもそもの返済期間などによって有利かどうかが変わってきます。

しかし、変動金利や固定金利といった、金利タイプによる影響も考えなければなりません。

例えば変動金利を選択した場合、完済まで店頭金利が変動します。

優遇金利の「優遇幅」が変わらずとも、店頭金利が大きく上昇すれば適用金利が大きくなってしまいます。変動金利の金利水位は固定金利よりも低いですが、その分金利変動リスクがあることを理解しておきます。

一方、金利変動リスクがない分、金利水準が高めなのが全期間固定金利です。原則として金利変動はありませんので、優遇幅以外の金利変動要因はありません。

全期間固定金利と通期型の優遇金利を選択すれば、返済額を完済まで一定とすることができます。

ただし、住宅金融支援機構のフラット35Sを利用した場合は住宅が一定の基準を満たすと金利優遇を受けることができます。

「長期優良住宅」「省エネルギー性」「耐震性」などいくつかの基準がありそれらを満たすと次の金利優遇を受けることができます。

【フラット35S】
金利Aプラン:当初10年 金利引き下げ幅0.25%
金利Bプラン:当初5年 金利引き下げ幅0.25%

優遇金利のタイプと金利選択の双方を理解して住宅ローンの金利と住宅ローン商品を選択していくことが求められます。

さらに住宅ローンでは「お得かどうか」ではなく返済できる額を借り入れる姿勢が重要です。

金利選択や優遇金の種類については、今後の返済にどう影響するかをよくシミュレーションして、返済に無理がないか見極める材料として活用してきましょう。

優遇金利の注意点

優遇金利の適用を受けるには、金融機関特有の適用条件を満たす必要があることがあります。

適用条件には次のようなものです。

  • 借入金融機関の口座が、給与振込先となっている
  • 借入金融機関の口座が公共料金振替先となっている
  • 借入金融機関のクレジットカードを持っている
  • 年収や働き方(正社員であること)など、申込者の属性による条件

「優遇金利を受けられるつもりでいたら条件を満たしていなかった」といったことがないよう、優遇金利条件は事前に確認しておきましょう。

まとめ 金利の仕組みを理解したうえで賢く住宅ローンを借りよう

住宅ローンを選択する際に金利は非常に重要な要素です。

適用金利は優遇金利のタイプによって変わってきますので、確実に理解しておきます。

そのうえで変動金利や全期間固定金利といった金利選択をしていくといいでしょう。

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  • この記事を書いた人

Harumi Yokoyama

ライフプラン応援事務所代表 企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信にも力を入れている。»ライフプラン応援事務所

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