住宅ローンジャーナル

2022年住宅ローン控除はどうなる?住宅ローンの動向・変化について

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

マイホーム購入を考えるうえで、住宅ローン控除の存在が大きいと考える人は多いです。

特に近年は消費税が10%に引き上げられたことや新型コロナウィルスの影響により住宅ローン控除の要件が緩和されたり、効果が大きくなったりしていました。

しかし2022年度税制改正により、住宅ローンの恩恵は縮小されるかことになりそうです。

今後マイホームを購入する予定ならば、改正内容と住宅購入に与える影響を知っておきたいです。2021年12月時点での概要を紹介します。

2021年における住宅ローン控除とは

2021年12月現在の住宅ローン控除を端的に言えば「年末の住宅ローン残高の1%が所得控除されるもの」となります。

一般的な住宅の場合、1年の最大控除額は40万円ですので、10年間最大控除を受ければ400万円(40万円×10年)もの控除を受けることが可能です。

効果が大きいため、住宅購入を検討する際の背中を押す制度としても知られています。

しかし、2022年度の税制改革において制度改正が見込まれています。

2021年12月現在、控除率や限度額の引き下げが検討されているのです。

変更点を理解するために、現行(2021年12月現在)における住宅ローン控除の基本的な要件を確認します。

1:控除期間
原則10年

2:住宅ローン残高の上限
一般的な住宅の場合 4000万円
省エネ住宅等の場合 5000万円

3:申込者の所得要件
その年の合計所得金額が、3000万円以下であること

4:物件要件
新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であること

経済状況に応じて変化する住宅ローン控除

2022年度税制改正が注目されていますが、もともと住宅ローン控除は控除上限や控除率の見直しや特例措置が多い制度なのです。

例えば2020年から2021年には消費税が10%に引き上げられたことや新型コロナウィルスによる経済状況の悪化などをうけ、次のような特例措置が設けられました。

【控除期間の延長】

・控除期間が10年間から13年間へと延長
・11年目から13年目は控除額の計算方法は住宅取得価格も考慮して決まる(住宅ローン年末残高×1%ではない)
・適用のための入居期限は原則2020年12月31日まで(※)

※新型コロナウィルスの影響によって期限までに入居できなかった場合に限り「2021年12月31日まで」期間が延長しました。ただし、適用を受けるための「契約期限」と「引渡し入居居期限」はそれ以前に済ませている必要があります。

【新型コロナウィルスによる特例措置】

・床面積要件の緩和
・本来住宅ローン控除を受けるための床面積要件は50平方メートルだが、床面積が40平方メートル以上に緩和された。ただし本特例の適用を受ける場合は、所得要件が「1,000万円以下」となるので注意

※適用のための入居期限は2022年12月31日まで

国税庁「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」より

この後、2022年税制改革について見ていきますが、その内容も今後の経済状況によって更なる改変がなされるかもしれないことを理解しておくといいでしょう。

2022年度税制改革で住宅ローン控除はどうなる

住宅ローン控除見直しの背景と、2022年税制改革の内容を紹介します。

住宅ローン控除見直しの背景

2021年12月現在の住宅ローン控除には、次の問題点が指摘されています。

1:条件によっては適用金利以上の控除を受けられる

本来は、住宅ローン返済に係る金利負担の軽減を目的とした制度です。

しかし住宅ローン金利が低くなり、支払う金利よりも住宅ローン控除による減税額の方が大きな金額になる事態が発生するようになりました。

俗に「逆ザヤ」と呼ばれる状態で、本来の趣旨から逸脱が生じていました。

2:高所得者の方が、恩恵が大きくなりがち

住宅ローンは原則として購入する物件が高額で、かつ、所得税を多く支払っているほど恩恵が大きくなります。

そのため高所得者ほど減税効果を得やすい制度として、公平性を疑問視する声も上がっていました。

2022年税制改革の内容

前述の問題点を考慮し、2022年税制改革では住宅ローン控除制度が見直されます。2021年12月10日に発表された「令和4年度税制改正大綱」から、主な論点を紹介します。なお、こちらはあくまで大綱であり内容は変わる可能性があります。

1:控除率

控除率1%から0.7%への引き下げ

2:申込者の所得要件

その年の合計所得金額が「3000万円」から「2000万円」への引き下げ

3:控除期間

原則10年
ただし、新築住宅については13年

4:ローン残高の上限

一般的な新築住宅は住宅ローン残高の上限額が「4000万円」から「3000万円」に引き下げ

ただし、省エネ住宅等の場合、上限額の上乗せがなされる

5:その他

住宅の床面積の要件の緩和は継続する模様

自民党「令和4年度税制改正大綱(PDF)」より

控除率や住宅ローン残高の上限が引き下げになる点は、インパクトが大きいです。単純に「住宅ローン上限×控除率」で計算すると、次のように恩恵が変わります。

  • 現行 上限4000万円×1%=400万円
  • 改正後 上限3000万円×0.7%=210万円

住宅ローン残高の上限と控除率の引き下げについて残念に感じる人も少なくないでしょう。

しかし、住宅ローン控除の本来の趣旨に沿う形になりましたので、制度としては健全性が増したといえます。

また新築住宅は控除期間が13年となることや、省エネ住宅は住宅ローン残高の上限に上乗せがあることから、価格が大きくなりがちな住宅への一定の配慮もなされています。

2022年税制改革による住宅ローン控除の影響は

控除率は引き下げられましたが、住宅ローン控除は支払った所得税(一部住民税)からの還付を受ける制度です。

そのため、所得によってはあまり影響を受けない人もいるでしょう。

住宅ローン残高の上限も引き下げられましたが、これは上限額を超えて借入する人にしか影響を与えません。

例えば、借入額3000万円で新築を購入する人であれば、住宅ローン控除上限引き下げの影響は受けません。

そう考えると、マイナスの影響を大きく受けるのは高所得者であるといえます。

ただ高所得者の場合も、住宅ローンを夫婦それぞれで組めば、夫婦で住宅ローン控除を受けることができるため、工夫次第で世帯当たりの恩恵を大きくできるかもしれません。

それよりも注意したいのは、申込者の所得要件(合計所得金額)が「3000万円」から「2000万円」への引き下げられたことです。

もしもこれに該当すると、その年は一切住宅ローン控除の恩恵を受けることができないからです。

最大100万円の「こどもみらい住宅支援事業」とは

住宅ローン控除の変化とあわせて、住宅購入にかかる新しい事業を紹介します。

国土交通省は2021年11月19日に「こどもみらい住宅支援事業」の創設を発表しました。簡単に言うと、次の場合に一定の補助金が受け取れる制度です。

  • 一定の省エネ性能を有する住宅の新築する場合
  • 一定の要件を満たすリフォームを行う場合

新築住宅については、子育て世帯・若者夫婦世帯が対象とはなりますが、最大100万円の補助金が交付されます。

一方リフォームについては、全ての世帯が対象です。リフォームの補助金は最高で30万円ですが、子育て世帯・若者夫婦世帯の場合などは上限引上げられる可能性があります。

2021年12月時点の発表では、次のような条件があります

  • 「2021年11月26日~2022年4年10月31日まで」に契約の締結等を行うこと
  • 住宅を整備・分譲する事業者が所定の手続により事務局(今後国が選定)の登録を受ける
  • 登録後に工事に着工し、所定の「完了報告期限」までに工事完了すること

今後、要件や具体的な手続きが住宅購入を検討している方は、押さえておきたい制度です。

まとめ 全体として縮小傾向だが、影響は世帯ごとに異なる

2022年の住宅購入に関する変化として「住宅ローン控除改正」の方向性を紹介しました。住宅ローン控除上限や控除率は縮小しますし、所得要件も厳しくなります。

しかし中間層や借入額がそう大きくない人であれば、控除期間が13年になることもあり、そこまで大きなマイナスにはならないでしょう。

住宅ローン控除は今後も改変が予想されます。そのため、現行規定と比較して損得を考えるのではなく、自身の住宅取得においてどの程度の恩恵があるのかを理解していくといいでしょう。

そのうえで、制度に振り回されることなく自身や自身の家族と話し合い、購入時期を検討していきましょう。

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  • この記事を書いた人

Harumi Yokoyama

ライフプラン応援事務所代表 企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信にも力を入れている。»ライフプラン応援事務所

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