医療保険

妊娠中に生命保険へ加入できる?妊娠と公的医療保険のリスクとは

児島 裕子 ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(AFP、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社で5年務勤務し、バス運行請負業をおこなう企業に営業職として入社。40歳のときにコロナワクチン接種時の後遺症により左手麻痺を発症。2022年7月に会社員を退職し、2023年11月よりFP事業やライター事業を主として起業。W&D-Writer&Design-の代表となる。FP講師やメディアで執筆活動中。

妊娠中でも加入できる生命保険はあります。

しかし、妊娠中に生命保険に加入する時は、リスクと保障について理解し、よく比較しながら検討することが必要です。
本記事では、「妊娠中に生命保険が必要な理由」や「妊娠中のリスク」を踏まえてメリットやデメリットを詳しく解説します。

妊娠中に生命保険が必要な理由とは

妊娠するとさまざまなリスクを伴い、治療が必要となった場合には医療費が高額になる可能性があります。

治療を受ける時には、妊娠中であっても公的医療保険の適用になるため、生命保険に加入していれば医療費や万が一の死亡保障にも備えることができます。
生命保険の必要性を考える時は、まず妊娠中の医療費について理解することからはじめてみましょう。

公的医療保険が適用されるケース

公的医療保険とは、すべての人が加入する健康保険のことで、妊娠中でも保険が適用され自己負担を軽減できるケースがあります。
病気ではない通常妊娠は「自由診療」のため公的医療保険が適用されませんが、なんらかの異常により医療行為が必要となった時には、自由診療から「保険診療」が可能になります。

妊娠中に公的医療保険が適用になるのは、以下のような異常に治療をおこなった時です。

  • 切迫早産
  • 重度の貧血
  • 重度のつわり
  • 帝王切開、吸引・鉗子分娩
  • 陣痛促進剤

これらに対する入院や手術費用は、保険診療として一般的に3割負担の医療費の自己負担で済みます。
医療費が高額となった場合には、高額療養費制度を利用することもできますが申請してから払い戻しまでは、一般的に1~2ヶ月ほど要します。

自己負担となってしまうケース

入院や手術が公的医療保険が適用になったとしても、入院中に発生する一部の費用には、保険診療適用外となるものがあります。
一般的な病気やケガの治療であっても、入院中の食事や差額ベッド代は全額自己負担となります。

令和4年における差額ベッド代の平均は1日あたり6,620円となっており、部屋別の費用は以下のとおりです。

差額ベッド代 1日あたりの平均額
1人部屋 8,322円
2人部屋 3,101円
3人部屋 2,826円
4人部屋 2,705円

参照:中央社会保険医療協議会(第548回) |厚生労働省

切迫流産では、出産まで入院が必要となってしまうこともあり、90日入院した場合は1人部屋だと748,980円、4人部屋なら243,450円と高額な差額ベッド代を支払わらなけれななりません。

さらに入院中の食事代として1食あたり460円の負担が発生し、90日の入院では124,200円の自己負担が必要です。

妊娠にまつわる健康リスクとは?

妊娠自体は病気ではありませんが、妊娠が原因で健康に影響を及ぼす可能性があります。
治療が必要となった場合には保険診療となりますが、自己負担額を考え、妊娠中や出産時のリスクを知っておくことが大切です。

入院や手術が必要となった時のリスクを解説します。

妊娠中の入院や手術リスク

妊娠中は、初期と後期では入院に対するリスクの種類が異なります。

  • 初期:切迫流産・早産、重度のつわり、重度の貧血
  • 後期:切迫早産、前置胎盤、高血圧症候群

特に切迫流産や早産は、20~30%の確立で発生し、妊娠中の人にとって他人事ではありません。
34週未満で妊娠高血圧症候群を発症すると重症化する可能性があり、母子ともに危険なため入院が必要となり、約5%の確立で発症リスクがあります。

また、虫垂炎や卵巣膿疱、腸閉塞などを妊娠中に発症し重症化すると手術となり、早産を招く恐れがあるため、長期入院となってしまうリスクもあります。

出産時のリスク

正常分娩の予定であっても、胎児の状態によっては緊急帝王切開となる可能性があります。

令和4年4月時点の緊急帝王切開における手術費用は、診療報酬早見表(参照:産婦人科社会保険診療報酬点数早見表|日本産婦人科医会編)をもとにすると222,000円(3割負担:66,600円)で、10日以上の入院が必要となっています。

手術や差額ベッド代など自己負担額が多くなってしまうだけでなく、母体の回復状態によっては、更なる負担が増えるリスクがあります。

妊娠中に生命保険に加入するメリット・デメリット

妊娠中の生命保険に加入する時、なんのために生命保険へ加入するのかによって、メリット・デメリットが変わります。

妊娠中のリスクに備えるなら、条件がついてしまうためデメリットですが、他の病気やケガに備えるならメリットだと考えられます。
妊娠中に生命保険へ加入した場合、付加される条件や保障される内容について解説します。

通常の生命保険では条件がつく

通常の生命保険に加入すると、妊娠中であることが原因で子宮に対して「部位不担保」が付加されます。
これは妊娠から出産までの高いリスクに対して、保険会社が保険金や給付金を支払わないという条件のことです。

つまり、妊娠中に生命保険に加入しても、切迫早産や帝王切開で入院・手術を受けた場合は、医療費に対する給付金が支払われないことになるのです。

一般的に子宮に対する部位不担保は、5年間適用される傾向にあり、この不担保期間に2人目も帝王切開した場合についても保障されないので注意しておきましょう。

妊娠中のリスクに備えられる

妊娠中に加入する生命保険では、ケガやがんなどへのリスクに備えられます。
部位不担保が付帯されてしまった場合でも、子宮に関係しない病気やケガなら保険金や給付金の支払い対象となるのです。

妊娠中にがんが見つかった場合は、母体や胎児への影響が少なければ、治療をしながら妊娠を継続できるケースもあり、出産後にがん治療を始める事例もあります。
がんと診断されてからでは生命保険に加入できませんが、診断される前に加入した生命保険なら、不担保となっている部位以外のがん治療は保障の対象となるのです。

妊娠・出産にかかわる病気やケガに備えたいなら、妊娠中でも生命保険を検討すべきだと言えるでしょう。

妊娠中に加入できる生命保険とは?

妊娠中に加入できる生命保険には、以下のようなものがあります。

保険種類 特徴 加入の可否
一般的な生命保険
  • 保障範囲が幅広い
  • 必要な保障を選びやすい
子宮に対して不担保の条件を付ければ加入できる
引受基準緩和型保険
  • 保険料が割高
  • 保障範囲が狭い
  • 持病も保障される
加入できる
無告知型保険
  • 保険料が高い
  • 保障内容が限られる
  • 持病は保障されない
加入できる

前述で解説したように、妊娠中でも一般的な生命保険に加入できますが、子宮に対する不担保条件がついたとしても妊娠以外のリスクに備えることができます。

また、よくある「妊娠中でも加入できる保険」は引受基準緩和型保険です。
一般の生命保険に比べて保険料が割高に設定されていますが、妊娠中に加入することができ、切迫早産や緊急帝王切開になった時にも入院や手術給付金が支払われます。
ただし、引受基準緩和型保険の種類も多く、なかには加入後1年間は保険金や給付金が半額しか保障されない種類もあるので、しっかり保障内容を比較しながら検討することが大切です。

なお、無告知型保険は職業の告知のみで入れますが、保険料は高く保障内容も限られているため、よほどのことがない限り加入のおすすめはできません。

妊娠予定のある女性は早めに生命保険へ加入しよう

妊娠中に生命保険へ加入することはできますが、保険料や保障内容は、通常よりも不利になってしまいます。
出産が終わっても子宮に対する不担保により給付金が支払われなかったり、一般的な生命保険より保障は少ないのに保険料が割高だったり、充実した保障を準備することができなくなってしまうのです。

しかし、妊娠が発覚する前なら、妊娠中のすべてのリスクに対して生命保険で備えることができるようになります。

今妊活中の人だけでなく、これから妊娠を予定している人は早めに生命保険へ加入し、妊娠やその後の育児へのリスクに備えるようにしておいてください。

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ファイナンシャルプランナー(AFP、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社で5年務勤務し、バス運行請負業をおこなう企業に営業職として入社。40歳のときにコロナワクチン接種時の後遺症により左手麻痺を発症。2022年7月に会社員を退職し、2023年11月よりFP事業やライター事業を主として起業。W&D-Writer&Design-の代表となる。FP講師やメディアで執筆活動中。

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