ここ数年間で通院の患者数は増加しているため、
「通院の時にしっかりと保障してくれる保険に入りたい。」
「入院しなくても、通院だけで保障される保険はないの?」
などと通院の出費に備えたいと考える方が多いのではないでしょうか。
しかし、さまざまな方法があるので、どうやって備えておけば良いのか分からない人も多いでしょう。
そこで、本記事では通院保障の種類やその他の方法について解説していきます。
自分に最適な方法を理解でき、通院にかかる出費への対策を考えやすくなるはずです。
医療保険は通院のみで保険金が支給されない
「病気やけがで通院する時の出費、医療保険で賄えないかな?」と考えている人は多いでしょう。しかし、保険の性質上、通院だけで保険金を受給できる医療保険はほとんどありません。
なぜなら、保険はそもそも「低確率・高リスク」に備えるためのものだからです。
軽症の風邪やけがでの通院は高確率で起きるため、保険には向いていません。
実際、厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省」によると、以下の表のように通院患者数は入院患者数の約6倍と推計されています。
| 患者数 | |
| 入院患者 | 1,211,300人 |
| 通院患者 | 7,137,500人 |
したがって、通院患者の数はあまりに多いため、保険サービスとして成り立ちにくいのです。
ただし、入院前後の通院については、通院保障という特約をつければ、医療保険でも保険金を受給できます。
通院保障を受けられる3つの保険
通院保障は、以下の3つの保険で条件を満たせば受けられます。
- 医療保険
- がん保険
- 傷害保険
それぞれの内容と、どのような条件を満たせば通院保障を受けられるのかについて解説します。
医療保険:入院が伴う場合に受給できる
医療保険の通院保障は、入院前後の通院日数に応じて保険金が支給されるというものです。通院日数あたりの給付額を高く設定すれば、通院に手厚く備えられます。
保険加入時に1日あたりの給付額を定めることができ、3,000円~10,000円が一般的です。
給付額が高く設定するほど、支払う保険料も割高になります。
医療保険の通院保障の条件は、例えば以下のように定められています。
- 退院の翌日から120日以内
- 入院前の60日以内・退院の翌日から180日以内
- 1回の通院での保障限度日数は30日
- 保険期間通算の限度日数は1,000日
保障期間や限度日数が決められており、通院すればするほど給付金を受け取れるわけではないので注意しましょう。
がん保険:がんであれば入院が伴わなくても良い
がん保険に加入していれば、入院を伴わない通院であっても保険金が支給される場合があります。
ただし、がんに罹患していることが条件となります。
入院しなくても保険金を受け取れるのは、がんにかかる確率が保険が成り立たないほど高確率ではないからです。
ここ十数年でがんによる入院日数は減少し、通院日数が増加してきました。理由は、医療の進歩によって通院しながらがんの治療が可能になったからです。化学療法や内分泌療法などのクスリによる治療が普及し、患者の身体の負担が軽減されてきたことが背景にあります。
がんの治療は、一般的な病気よりも長期化しやすいため、通院費の負担が大きくなりがちです。そのため、治療期間の医療費や生活費が心配な人は、がん保険の通院保障を手厚くしておくのがおすすめです。
傷害保険:突発的なけがでの通院に備えられる
突発的なけがや事故で通院するリスクに備えたいのであれば、傷害保険がおすすめです。傷害保険は、けがや事故に備える保険なので病気は保障の対象外となりますが、入院を伴わない通院でも保険金が支払われます。
例えば、足首をひねって14日間にわたって通院したとします。通院保障を3,000円としていた場合、3,000円×14日で42,000円が保険金として支給されます。
傷害保険は、健康状態や年齢、性別によって保険料が変化しません。また、医療保険と違い、病歴や現在の健康状態を告知する義務もないので、加入しやすい保険です。
ただし、支払い対象となる限度日数が定められているので、いつまでも保険金を受け取れるわけではありません。一般的に、傷害保険の限度日数は30日程度です。
通院患者数の増加で高まる通院保障の必要性
入院患者数が少なくなっている一方で、退院後の通院患者数は増えています。そのため、通院保障のニーズが高まっています。
例えば、厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」によると、がん種の入院・通院患者数の推移は以下の通りです。
| 入院患者数 | 通院患者数 | |
| 平成17年 | 144,900人 | 140,100人 |
| 平成20年 | 141,400人 | 156,400人 |
| 平成23年 | 134,800人 | 163,500人 |
| 平成26年 | 129,400人 | 171,400人 |
| 平成29年 | 126,100人 | 183,600人 |
入院しなくてもがんの治療ができるようになったため、入院患者数が減る一方で通院患者数が増えています。
したがって、通院保障の必要性が高まっているといえるでしょう。
通院保障以外でリスクに備える方法
通院保障以外で通院のリスクに備える方法は以下の3つです。
- 傷病手当金
- 就業不能保険
- 所得補償保険
それぞれについて具体的に解説します。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気やけがで働けない期間に標準報酬月額の3分の2にあたる額が支給されるというものです。公務員や会社員などの健康保険の加入者が対象となっており、自営業者やフリーランスは受給できません。
傷病手当金を受け取るには以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
これらを満たせば、所定の金額を最長1年6ヶ月のあいだ受け取ることが可能です。健康保険の被保険者であれば、休職中でも傷病手当金で医療費をまかなうことができます。
就業不能保険
就業不能保険は、病気やけがなどで働けない期間の収入減に備えるための保険です。定められた条件を満たせば、給付金を受け取れるので、通院にかかる負担を軽減できるでしょう。
特に、自営業者やフリーランスの人は、先ほどお伝えした傷病手当金を受給できないので、就業不能保険で万が一の際に備えておくことをおすすめします。ただし、働けなくなった状態から所定の「免責期間」があり、すぐに給付金を受け取れない場合があるので注意が必要です。
所得補償保険
就業不能保険と似ていますが、所得補償保険というものもあります。就業不能保険と同様に、病気やけがで働けなくなった時のための保険です。
異なる点は、免責期間と補償対象となる期間の長さにあります。就業不能保険は、免責期間が60日?180日と長いです。一方、所得補償保険は免責期間が7日間ほどと比較的短いといえます。
また、就業不能保険は数年単位で保険が適用される一方で、所得補償保険は数ヶ月?1年間と、短い期間のみ補償されます。
したがって、短期間だけ働けなくなるリスクに備えたい人は、所得補償保険に加入しておくといいでしょう。
通院の支出に適した対策をとろう!
ここ数年、入院日数が減少する一方で、通院日数が増加しています。そこで、「通院に手厚い保険に加入したい」という人は多いでしょう。しかし、保険の性質上、通院だけで保障される保険はほとんどなく、入院を伴わなければ給付金を受け取れません。
通院にかかる出費を通院保障で備えたいのであれば、医療保険やがん保険、傷害保険に加入する必要があります。ただし、医療保険は入院、がん保険はがんの罹患が伴わないといけないなど、それぞれ条件が定められています。
通院保障以外にも、傷病手当金や就業不能保険、所得補償保険などで通院にかかる負担を軽減できます。
通院にかかる支出を賄う方法はさまざまなので、ご自身の状況や考えによって適した方法を選択しましょう。