生命保険

収入保障保険と就業不能保険の違いとは?間違いやすい保険も紹介

児島 裕子 ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(AFP、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社で5年務勤務し、バス運行請負業をおこなう企業に営業職として入社。40歳のときにコロナワクチン接種時の後遺症により左手麻痺を発症。2022年7月に会社員を退職し、2023年11月よりFP事業やライター事業を主として起業。W&D-Writer&Design-の代表となる。FP講師やメディアで執筆活動中。

生命保険の保障を比較するとき、収入保障保険と就業不能保険の違いで悩んだことはありませんか?
専門用語の多い生命保険では、「似た言葉が使われた保険なのに、まったく違う保障内容だった」というケースは多くあります。

この記事では、収入保障保険の特徴や、間違われやすい就業不能保険について詳しく解説していきます。

これから生命保険に加入しようとしている人や、見直しを考えている人は加入してから後悔することがないよう、しっかり覚えておきましょう。

収入保障保険と就業不能保険の違いとは?

まずは、収入保障保険と就業不能保険の違いを簡単に解説します。
収入保障保険と就業不能保険の大きな違いは、「どんなときに保険金が支払われるか」です。

収入保障保険は被保険者が死亡または高度障害状態になった場合、就業不能保険は被保険者が働けなくなった場合に保険金を受け取れる仕組みとなっています。

それぞれの特徴を一覧で比較してみました。

特徴のちがい 収入保障保険 就業不能保険
加入目的 遺族の生活費に備える 働けなくなったときに備える
保険金が支払われる場合 被保険者の死亡または高度障害になったとき 被保険者が病気やケガで働けなくなり一定期間が経過したとき
保険金の受け取り方 年金または一時金 毎月支払いまたは一時金

どちらも生命保険会社で販売されている保険商品であるため、保障内容の比較をするときに間違われやすい保険となっていますので、注意して確認するようにしてください。

収入保障保険とは?

収入保障保険は「死亡保険」の一種ですが、生命保険の受け取り方や定期保険と大きく異なる保険商品です。
その特徴から、しっかりした加入目的を持っていなければ、加入後に後悔してしまう恐れがあるので、注意すべき保険商品とも言えます。

収入保障保険を検討するときに必要なポイントを解説するので、ぜひ覚えておいてください。

生命保険の受け取り方が特徴的な収入保障保険

収入保障保険は、万が一のことがあったとき、遺族の生活費を確保するための保険です。
収入保障保険の特徴は、3つあります。

  • 保険期間が長い
  • 死亡保険金は年々減少していく
  • 死亡保険金の受け取り方は年金と一時金

一時金タイプの定期保険と存在意義は同じですが、65歳までや20年間など保険期間を長く設定する特徴があります。
特に注意すべき点は、受け取る死亡保険金が減っていくことです。
収入保障保険の契約時に設定した死亡保険金は、年数の経過とともに死亡保険金の総額が経過年月の割合で減っていきます。

たとえば、毎月20万円の生活費を確保するために30年間の収入保障保険に加入した場合、加入後すぐに死亡したときには保険金総額7,200万円ですが、10年後に死亡すると4,500万円になるのです。
ポイントは、保険期間の満了までどれくらい残して死亡保険金が支払われたかであり、一般的な死亡保険の受け取り方とは異なっています。

また、死亡保険金を一時金受け取りだけでなく、年金方式で毎月保険金を受け取ることが可能です。

定期保険と収入保障保険の違い

死亡保険といえば、同じ保険金額が一定期間続く「定期保険」や、一生涯の保障として備える「終身保険」がよく知られています。
収入保障保険と類似する保険として、保障期間が一定期間となる定期保険が考えられますが、異なる点が2つあるので注意しておきましょう。

  • 死亡保険金の受け取り方のちがい
  • 死亡保険金の違い
  • 保障期間の長さ

一定期間、おなじ保障が継続する死亡保険と考えると「定期保険」と「収入保障保険」は同じ性質を持っていますが、死亡保険金の受け取り方が異なることに注意しておいてください。

定期保険では、死亡保険金は一括受け取りが原則です。また、保険期間中に万が一のことが起きたとき、契約時に決めた死亡保険金額が支払われます。

一方、収入保障保険は年金方式と一括受け取りのどちらかを選んで、死亡保険金を受け取ります。死亡保険金は、契約時からの経過年月によって受け取れる金額が異なることが特徴です。

また、定期保険は一般的な保険期間が10年~20年ですが、収入保障保険では、20年や30年更新や、60歳や65歳満期など保険期間が長いことも特徴の1つだと言えるでしょう。

就業不能保険とは?

もしも今、病気やケガで働けなくなってしまったら・・・
働けなくなってしまっても、家賃や食費、教育費などは変わらず支出が続いていきます。

働き方が多様化した近年、病気やケガで働けなくなってしまったときに備える保障として販売されている保険商品が「就業不能保険」です。
できたら加入しておきたいという人は多くいますが、注意しておくべきポイントがあるので、ぜひ覚えておいてください。

生きていくために備える就業不能保険

就業不能保険は、病気やケガで働けなくなったとき、給与(収入)の代わりに保険金を受け取れる「生きるために備える保険」です。
保険会社によって多少異なるものの、一般的には働けなくなってしまったときに毎月どれくらい必要かを計算して、保険金額に設定します。

たとえば、毎月20万円や25万円など、5万円単位で設定できることが多くありますが、上限額は保険会社により40万円や50万円など、相違する点があるので比較しながら検討することが大切です。
なお、「働けなくなったとき」に該当しても、すぐに保険金が支払われるわけではないので、注意しておかなくてはなりません。

どの保険会社でも免責期間を設けており、60日や180日など様々で働けなくなった状態が免責期間中継続すれば、同じ障害状態が継続している限り、保険期間中は毎月保険金を受け取れる仕組みなのです。

ただし「働けなくなった状態」については、保険会社ごとに異なるので、こちらも注意しておいてください。
入院中や在宅療養が継続している場合が保険金支払いの対象となっていることが多いですが、在宅療養の場合は保険会社ごとに定められている基準が異なっているのです。
精神疾患により働けなくなった場合においては、一部の保険会社で取り扱う就業不能保険では、入院を伴った場合のみ保険金支払いの対象となっていますが、保障の対象外となっていることが多いので、加入前にはよく確認しておきましょう。

類似する保険に注意しておこう

就業不能保険に類似する保険として「所得補償保険」があり、病気やケガで働けなくなった場合に保険金を毎月受け取ることができます。
2つの違いを以下の表で比較してみました。

特徴のちがい 就業不能保険 所得補償保険
取扱い保険会社 生命保険 損害保険
免責期間 60日や180日など 7日間など
保険期間 20年や60歳までなど 1~2年
保険金額 月額20万円や25万円など 月収の50%~70%ほど

保険会社の違いだけでなく、免責期間や保険期間、保険金額の違いには注意しておいてください。

就業不能保険の方が、免責期間は長いものの、保障される期間が長く、働いているときの月収と近い金額を設定することができます。

所得補償保険のほうが、免責期間が短く魅力的に感じやすいですが、補償される期間も短く、個人事業主なら月収の70%、会社員や公務員なら月収の50%程度しか保険金額として設定できないのです。

このように比較すると、働けなくなったとき、毎月必要な収入を確保するなら就業不能保険の方が、障害状態が続いてしまっても保険期間が長いので安心できると言えるでしょう。

収入保障保険や就業不能保険は必要?

万が一に備え、収入保障保険や就業不能保険に加入すべきか悩んだとき、まずは加入目的が何だったのか今一度考えてみてください。
収入保障保険と就業不能保険の必要性は、人それぞれ家庭の状況によって異なります。

それぞれおすすめの人を紹介するので、参考にしてみてください。

収入保障保険がおすすめな人は?

収入保障保険がおすすめな人

  • 子育て中の世帯で大黒柱となる人
  • 一定期間、安い保険料で高額な保障を準備したい人
  • 遺族に生活費を準備しておきたい人

なかでもマイホームを持ち、子育て世帯の人で合理的な生命保険を求めている人には、収入保障保険がおすすめです。

住宅ローンは、死亡や高度障害になると団体信用生命保険によってローン支払いが免除されますが、子どもの教育費は成人するまで必要ですよね。

しかし、教育費の総額で考えると、子どもの成長とともに減っていきます。

つまり遺族の生活費に対する必要保障額は年々減少していくため、定期保険よりも割安な収入保障保険の方が、合理的な保障を準備できると考えられるのです。

就業不能保険がおすすめな人は?

就業不能保険がおすすめな人

  • 働けなくなった時、収入の面で頼れる人がいない人
  • 自営業を営んでいる人
  • 住宅ローンの返済がある人

病気やケガで働けなくなったときに困るのは、独身や自営業者など、自分自身が働いて生活費を稼がなくてはならない立場にある人です。
また、住宅ローンの支払いが団体信用生命保険によって免除になるのは、死亡もしくは高度障害に該当した場合ですので、ケガや病気で働けなくなったときでも支払わなければなりません。

毎月の収入が途絶えてしまうと困るという人は、就業不能保険を検討するとともに、免責期間の収入をどのようにしておくかを考えておくことが大切です。

会社員なら傷病手当金制度があり、通算1年6ヶ月(約540日)まで手当金を受け取れますが、自営業者は国民保険のため傷病手当金制度がありません。
免責期間分の貯蓄を確保しておくか、免責期間の短い所得補償保険を検討するなど、対策を考えておくことが重要となります。

収入保障保険を検討するときは保障内容の違いに注意しよう!

収入保障保険は、万が一の死亡保険金を年金のように毎月受け取れる、一定期間の死亡保険です。一般的な死亡保険である定期保険ではできない、年金方式で死亡保険金を受け取るため「遺族の生活費」を確実に準備することができます。

しかし、定期保険のように一定の死亡保障ではないことや、就業不能保険のように働けなくなったときの保障ではないことを、しっかり理解したうえで検討するようにしましょう。

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児島 裕子 ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(AFP、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社で5年務勤務し、バス運行請負業をおこなう企業に営業職として入社。40歳のときにコロナワクチン接種時の後遺症により左手麻痺を発症。2022年7月に会社員を退職し、2023年11月よりFP事業やライター事業を主として起業。W&D-Writer&Design-の代表となる。FP講師やメディアで執筆活動中。

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