基礎知識

メガバンクと地銀の違いを紹介 住宅ローンにも差がある?

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(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

住宅ローン選びにおいて、全国的に知名度があるメガバンクと地域の銀行(地銀)のどちらを選択すべきか迷っている人もいるかもしれません。

メガバンクと地銀は同じ銀行ではありますが、持っているイメージが違う人も多いでしょう。

実際にメガバンクと地銀は基本的に経営の在り方が異なりますし、住宅ローンにおいても特徴が異なることがあります。

両者の違いを知って住宅ローン選びに役立てていきましょう。

メガバンクと地銀の概要

メガバンクと地銀の違いについて、漠然と「メガバンクは規模が大きい銀行」と認識している人は少なくないでしょう。

規模の違いや立ち位置について紹介します。

メガバンクとは

実は「メガバンク」には厳密な定義はありません。しかし、2021年4月においては、「みずほフィナンシャルグループ」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャルグループ」の3行を指すことが多く、一般に「3メガバンク」と呼ばれます。

メガバンクを端的にいえば、資金規模が非常に大きく全国展開している銀行のことです。

ここでは住宅ローンをメインとした国内の活動に目を向けて行きますが、海外にも複数の拠点を持っていることもメガバンクの特徴の1つです。

メガバンクの歴史は比較的浅く、バブル崩壊後に複数の都市銀行等が合併や統合などを繰り返して巨大な組織が生じることで成立しました。

メガバンクが企業規模によって定義されている以上、今後も編成や統合によってメガバンクの状況は変わっていくことと考えられます。

地銀とは

地方銀行、いわゆる「地銀」は各都道府県に本店がある銀行で、全国地方銀行協会に加入する(第一)地方銀行と、第二地方銀行協会に属する第二地方銀行があります。

地銀は地域金融の担い手として存在しており、ここで言う「地域」には住民だけでなく、地域に根ざした事業者も含みます。

つまり地域住民や地域企業への安定した金融サービスや融資によって地域経済の活性化を支援する役割を担うのです。

店舗やATMは地盤とする地域に複数の拠点を設け、地域住民や地域企業等、クライアントの多様なニーズに応えます。

また、その地域の地方自治体や企業と協力して地域住民を対象としたイベントやセミナーを行うなど、地域支援を積極的に行う地銀も少なくありません。

このように、メガバンクと地銀は規模感が異なります。また地銀は地域を軸に下明確な経営方針を有しています。

立ち位置の違いがサービスや住宅ローン商品への違いとして現れることがあるため、理解しておくといいでしょう。

メガバンクと地銀の住宅ローン

一般に、メガバンクと地銀の住宅ローンは次のような点で違いがあるとされています。

  • メガバンクの方が資金力はあるので大きく借入しやすい、また、金利も低い傾向
  • メガバンクの方が金利種類や団信の種類など、商品が豊富な傾向
  • 審査はメガバンクの方が定型的で地銀の方が柔軟

全てのメガバンクと地銀に当てはまるとは限りませんが、一般的な特徴を押さえておくと、住宅ローン選びの初期段階において参考になるでしょう。

メリットとデメリットをもう少し詳しく見ていきます。

メガバンクのメリット・デメリット

メガバンクの審査においては、年収や勤続年数、年齢など所定の条件について確認がなされます。

各メガバンクで設定した「条件」をクリアしているか定型的に判断したうえで融資の可否を判断します。

審査が事務的であるため、審査スピードが速いメリットがありますが、個別事情は考慮されにくいです。また、金利が低い特徴があるメガバンクですが、審査結果によっては適用金利が高めになる可能性がある点にも注意が必要です。

そのほかメガバンクは住宅ローンに限らずサービスが多彩ですので、住宅ローン以外においてサービスの恩恵を受けられるかもしれません。

住宅ローンの返済期間は長いため、倒産リスクが少ない点も安心材料です。

総合的にメガバンクの住宅ローンは審査要件に比較的余裕があり、かつ経営安定性やサービスの充実度を重視する人に向いていると言えるでしょう。

地銀のメリット・デメリット

地銀は資金力ではメガバンクに及ばないため、金利水準は高くなりがちです。

しかし審査は個別事情を汲みながらの丁寧な対応が期待できます。

例えば比較的難しい案件でも、「借入額を抑えることで融資を行う」「金利がやや高くなることと引き換えに融資を行う」など、柔軟な対応をしてくれることがあります。

また一般に、収入が安定しにくい自営業者や会社経営者などは住宅ローンの審査が厳しくなりますが、地元を地盤としている自営業・会社経営者なら自社の実績を評価してもらいやすいでしょう。

なお、地銀の住宅ローン金利はメガバンクより高くなる傾向にあると紹介しましたが、特定のキャンペーンや、融資条件を通常よりも厳しくすることでメガバンクに引けを取らない低金利の商品を提供していることもあります。

気になる地銀がある場合、該当する地銀の情報を正確に集めることが重要です。

また地銀には対応地域が設定されていますので、事前にマイホームの所在地が対応区域であるか確認しておきたいです。

総合的に地銀の住宅ローンは対面でのコミュニケーションを重視する人や、きめ細やかな対応を望む人に向いているでしょう。

メガバンクの住宅ローンと地銀の住宅ローンを紹介

最後に、メガバンクと地銀における実際の住宅ローン商品を見ていきます。

※2021年3月29日現在の情報です

1:メガバンク:三菱UFJ銀行「ネット専用住宅ローン(事務手数料型)」

金利(変動金利)年 0.475 %
融資額 500万円以上1億円以内(10万円単位)
主な手数料 事務手数料 借入金額の2.2%を借入時に支払い

※三菱UFJ銀行「ネット専用住宅ローン(事務手数料型)」

2:メガバンク:みずほ銀行「ネット住宅ローン」

金利(変動金利)年 0.475 %
融資額 50万円以上1億円以内(1万円単位)
主な手数料 保証料 金利上乗せ型の場合は適用金利に2.0%上乗せ

※みずほ銀行「みずほネット住宅ローン商品概要」

3:地銀:横浜銀行「変動金利」

金利(変動金利)年0.470 %
ただし、給与振込先を横浜銀行としている“さらにおトクな金利プラン”の併用でさらに年▲0.03%となる
融資額 1億円以内、かつ必要資金の範囲内
主な手数料(保証料)
標準型で、かつ金利上乗せ型の場合は適用金利に2.0%上乗せ。事務手数料型は借入時に「借入金額の2.2%」を支払い

※横浜銀行「商品概要説明書(住宅ローン 変動金利型(固定金利指定型3年・5年・10年))」

4:地銀:静岡銀行 住宅ローン(固定・変動ミックス型)

金利(変動金利)年0.625%
融資額 1 億円以内(10 万円単位)
主な手数料1(保証料)
審査にもよるが、融資額1,000万円あたりでは15年返済で「119,820円」、30年返済で「191,370円」程度が目安
主な手数料2(事務手数料)
来店契約の場合は「55,000円」、インターネット支店による郵送契約の場合は「84,700円」

※静岡銀行「カスタムFLEX」

【メガバンクと地銀の住宅ローンまとめ】

メガバンク(インターネット専用) 地銀(地方銀行)
三菱UFJ銀行 みずほ銀行 横浜銀行 静岡銀行
変動金利の金利 0.475 0.475 0.470 0.625
融資額 500万円以上1億円以内10万円単位) 50万円以上1億円以内(1万円単位) 1億円以内、かつ必要資金の範囲内 1 億円以内(10 万円単位)

※2021年3月29日現在の情報です

メガバンク2行はどちらもインターネット専用住宅ローンです。

コストカットの面からか、どちらのメガバンクも近年インターネットによる住宅ローンに力を入れており、対面の場合は手数料等が割高になるケースが見られます。

「実店舗を多く持つメガバンクで住宅ローンを組むなら、店舗での対面手続きしたい」といった人もいるでしょう。

メガバンクを希望し、かつインターネットでのやり取りに抵抗がある人は対面でやり取りが可能な住宅ローンについて、金利や手数料を確認しましょう。

上記を比較する限り、メガバンクと地銀で融資額や金利は大きな違いは見られません。

メガバンクや地銀といった大きなくくりではなく、個々の住宅ローン商品を見ていくことと、実際に「サイトを見る」「店舗に足を運ぶ」などして銀行のカラーを肌で感じることも重要といえそうです。

メガバンクと地銀の違いを見極め、ニーズに合った住宅ローンを選択しよう

メガバンクと地銀は立ち位置に違いがあり、住宅ローンの商品性にも違いが生じることがあります。

そのため「知名度があるからメガバンク」「前々から口座があるから地方銀行」などと、イメージや流れで住宅ローンを決めるのではなく、商品性を確認したうえで選んでいきましょう。

また住宅ローンは長い付き合いになりますので、その金融機関とどのように付き合っていきたいのかを踏まえ、長期的な視野で「合う・合わない」を判断したいです。

銀行の印象や住宅ローンの特徴を比較し、自身に合った住宅ローンを選択していきましょう。

参考【住宅ローンの選び方】初心者でも迷わないための比較ポイントと必須知識を解説!

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  • この記事を書いた人

Harumi Yokoyama

ライフプラン応援事務所代表 企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信にも力を入れている。»ライフプラン応援事務所

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