- 先進医療の治療費ってどれくらいかかる?
- 先進医療の治療費は全額負担になるって本当?
- 先進医療特約の注意点を知りたい
医療保険やがん保険を検討しているときに「先進医療特約」を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。先進医療特約は、全額負担しなければならない先進医療の治療費の負担を軽減してくれる特約です。
「本当に先進医療特約って必要なの?」と疑問を持っている方もいるでしょう。
この記事では、先進医療の基本や先進医療特約の保険料や保障範囲について解説します。記事の最後には先進医療特約を付加する上で知っておきたい4つの注意点についても解説するので、将来の万が一の事態に備えたいという方は参考にしてください。
先進医療とは?
先進医療とは、厚生労働大臣が認定した保険給付の対象とならない医療技術です。
医療技術は日々研究・開発されており、新しい治療法が生まれています。
日本の保険制度では安全性と有効性が確認された治療法のみが、公的医療保険の給付対象となっています。日々新しい治療法が誕生しているため、定期的に保険給付となる治療法の見直しは必要です。
この公的医療保険の対象とするかどうかの段階にあるのが「先進医療」です。2024年3月18日時点で78種類の先進医療があり、先進医療Aと先進医療Bの2種類に大別されています。
先進医療Aは未承認の医薬品や医療機器を用いない、人体への影響が極めて小さいもののことです。
一方で先進医療Bは、未承認の医薬品や医療技術を用いる、または承認された医薬品や医療技術のみを使用するとしても、実施環境や有効性については重点的な観察・評価を必要とされるもののことを言います。
参考:厚生労働省「先進医療の概要について」 厚生労働省「先進医療 A 及び先進医療 B の分類に係る考え方について」
先進医療について詳しく理解するために、以下の2つを解説します。
- 先進医療に関する費用は全額自己負担
- 先進医療を受けられる方
先進医療に関する費用は全額自己負担
厚生労働省は、先進医療にかかる費用は「全額自己負担」としています。
また先進医療は、医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超過分として給付を受けられる「高額療養費制度」の対象外です。
詳しくは後述しますが先進医療を選択すると、治療費が数百万円以上と高額になるケースもあります。そのため高額な治療費を用意できずに、先進医療を選択できない方もいるでしょう。
先進医療を受けるには患者が希望し医師の判断が必要
先進医療の手続きは、一般的な保険診療と変わりません。
ただし先進医療は患者が希望し、医師が必要と認めなければなりません。
また先進医療を受ける前には、医療機関より治療内容や費用について説明を受け、納得の上で同意書への署名が必要です。
先進医療の費用負担
先進医療にかかる費用は高額になるケースが多く、不安を感じている方も多いでしょう。ここでは先進医療の費用負担について以下2つを解説し、どの程度の費用が発生するのかシミュレーションします。
- 先進医療に該当する治療法
- 先進医療の自己負担額の計算例
先進医療に該当する医療技術
はじめに先進医療に該当する医療技術を2つ紹介します。厚生労働省が公表している「【先進医療A】令和5年6月30日時点における先進医療に係る費用」の中から、一部抜粋します。
| 治療法 | 先進医療総額(円) | 年間実施件数(件) | 1件あたりの費用(円) |
| 陽子線治療 | 2,191,024,100 | 824 | 約2,659,000 |
| 重粒子線治療 | 1,448,673,000 | 462 | 約3,135,655 |
出典:厚生労働省「【先進医療A】令和5年6月30日時点における先進医療に係る費用」
公表されたデータをもとに1件あたりの費用を計算すると、がん治療に用いられる「陽子線治療」は、約265万円の費用がかかります。また重粒子線治療の1件あたりの費用は313万円です。
先進医療を選択すると治療法によっては、20代から30代の平均年収額に相当する費用が発生します。
先進医療の自己負担額の計算例
実際に先進医療の自己負担額がどの程度になるのか計算してみましょう。
前提として先進医療は、公的医療保険との「混合診療」が認められています。
そのため先進医療を選択したとしても、医療費全額を負担するというケースは多くありません。総医療費のうち、公的医療保険の対象になるものと先進医療の費用を分け、それぞれ負担額を計算します。
では下記の条件をもとに先進医療にかかる医療費をシミュレーションしてみましょう。
- 総医療費:300万円
- 公的医療保険の対象:240万円
- 先進医療の費用:80万円
- 公的医療保険の窓口での負担割合は3割
今回設定した条件の総医療費は300万円ですが、そのうち240万円は公的医療保険の対象です。そのため240万円のうち実際に負担する金額は、72万円(240万円×30%)になります。
また先進医療にかかる費用である80万円は全額自己負担です。これらを合算すると152万円が自己負担するべき金額になります。
ただし、保険給付の対象となる72万円は高額療養費制度が適用されるため、実際の負担額はシミュレーションよりも少額になります。
「先進医療特約」で費用負担を軽減できる
先進医療にかかる治療費の負担を軽減できるのが「先進医療特約」です。
ここでは先進医療特約を理解するために、以下の3つを解説します。
- 先進医療特約を付加できる保険
- 先進医療特約の保険料
- 先進医療特約をおすすめできる方
先進医療特約を付加できる保険
先進医療特約は、医療保険やがん保険に付加できるケースが多いです。
保険には主契約と特約があります。主契約とは保険のメインとなる契約で、主契約は単独での契約ができます。
一方で特約は保障内容を補完するオプションのような存在で、単独での契約が認められていません。
また主契約を解消すると、自動的に特約も解約となるため注意が必要です。たとえば、がん保険に先進医療特約を付加しているとしましょう。この場合がん保険を解消すると、自動的に先進医療特約も解約となります。
先進医療特約の保険料
先進医療特約の保険料は被保険者の年齢や健康状態によって異なりますが、おおむね月額100円~200円です。費用負担が非常に軽く、高額な先進医療の治療費に備えられます。
先述したように先進医療の治療費は高額になることも珍しくありません。そのため十分なお金の蓄えがないと、治療の選択肢が狭まってしまいます。万が一に備えて治療法の選択肢を広げたいという方は、先進医療特約の付加を検討してみてください。
先進医療特約をおすすめできる方
先進医療特約をおすすめできる方は、万が一の事態に備えたい方です。
将来、先進医療が必要な病気やけがを負うのかは誰にもわかりません。万が一先進医療が必要になったとき十分なお金がないと、選択肢を狭めてしまいます。また先進医療を選んだ結果、貯蓄がなくなってしまい生活に支障をきたしてしまう可能性もあります。
先進医療特約は、上記のような万が一の事態を避けるために加入します。先進医療特約のコストはおよそ月額100円~200円と非常に軽いです。
そのため万が一の事態に備えるためのお守りとして、先進医療特約の付加を検討しても良いでしょう。
先進医療特約を付加する際の4つの注意点
最後に先進医療特約を付加する際の4つの注意点も知っておきましょう。
- 保障の上限金額を確認する
- 保障範囲を確認する
- 更新型か終身型かを確認する
- 医療費の支払い方法を確認する
保障の上限金額を確認する
先進医療特約を付加しても、先進医療にかかる医療費の全額が保障されるわけではありません。各保険会社ごとに上限金額を設けているため、必ず確認しましょう。
上限金額は一般的に通算で1,000万円~2,000万円とされているケースが多いです。上限金額が2,000万円の場合、2,000万円まで保険金を請求できます。しかし2,000万円を超えた分は自己負担しなければなりません。
ただし、治療費が高額とされる陽子線治療や重粒子線治療であっても一件あたりの費用はおよそ200万円~300万円のため、自己負担が必要となるケースはあまりないでしょう。
保障範囲を確認する
先進医療に該当する治療法や医療機関は都度見直しされます。療養を受けた時点で先進医療に該当しているものが保障の対象です。
保険加入ときには先進医療に該当した治療法であっても、療養を受ける時点では対象外になっていることも考えられます。このような場合は先進医療特約の保障対象外となるため注意が必要です。
また先進医療特約の保障範囲は主契約となる保険に依存します。先進医療特約の保障範囲を広くしたい場合は、保障範囲の広い保険を主契約にしなければいけません。
医療保険は病気やけがに伴う手術や入院に備えられる保険です。一方でがん保険は、がんにかかわる診断や手術などが保障範囲となります。そのため保障範囲を広くするならば、医療保険の特約として先進医療特約を付加するのが合理的です。
更新型か終身型かを確認する
先進医療特約には「更新型」と「終身型」の2種類があります。
更新型は、定期的に特約保険料や保障内容の見直しを行います。見直しの際には特約保険料が値上がりする可能性があるため、これからの支払いに無理がないかのチェックは欠かせません。一方で終身型は、特約保険料と保障内容が一生涯変わりません。
主契約となる保険は「終身型」で、特約を「更新型」にもできます。この場合は主契約の保険が継続されれば特約も自動更新となるのが一般的です。ただ更新型は年々保険料が値上がりする傾向にあります。そのため、更新のたびに保険料は必ず確認しましょう。
医療費の支払い方法を確認する
医療費の支払いは次の2パターンがあります。
- 保険会社から直接医療機関に支払う
- 自分が医療費を立て替え、後に保険金を受け取る。
保険会社から直接医療機関に支払われるならば、高額なお金を用意する必要はありません。一方で医療費の立て替えが必要な場合は、事前にまとまったお金を準備しなければいけません。
また保険会社から医療機関への支払いは可能であっても、支払い対象となる医療機関を指定されていることもあります。そのため事前に保険会社からの直接医療機関への支払いは可能か、支払い対象となる医療機関は制限されていないかは必ず確認しましょう。
万が一の事態に備えるなら先進医療特約を付加しよう
本記事では、先進医療や先進医療特約について紹介しました。
先進医療を受けると数百万円以上の治療費がかかることもあります。先進医療にかかる費用は全額自己負担です。十分な貯蓄がないと先進医療を選べず、治療の選択肢が狭まってしまいます。
先進医療特約は低コストで、万が一の事態に備えられる特約です。万が一の事態の選択肢を広げる手段として、先進医療特約の負荷を検討してはいかがでしょうか。