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金ETF・現物・純金積立の税金を比較|確定申告が必要なケース

金投資の税金は、商品の種類によって課税方式・税率・確定申告の要否が大きく異なります。金ETF(金の価格に連動する上場投資信託)は申告分離課税で株式と損益通算(赤字と黒字を相殺すること)が可能、現物金や純金積立は譲渡所得(資産を売って得た利益にかかる所得)として総合課税になります。

たとえば100万円の利益が出た場合、金ETF(特定口座)で約20万3,150円が税金となるのに対し、現物金で5年超保有・特別控除内なら税金ゼロになるケースもあり、商品選びで税引後の手残りが大きく変わります。
この記事では、4種類の金投資商品の税制を比較しながら、口座選びや確定申告で迷ったときの判断材料をご紹介していきます。

金投資4種類の税制を課税方式・申告要否・損益通算で比較する

金投資の税金を理解するには、まず商品ごとの課税方式の違いを押さえる必要があります。以下の表で4商品の税制を比較します。

商品 課税方式 税率 損益通算
金ETF(1540等) 申告分離課税 20.315% 株式等と可能
純金積立 譲渡所得(総合課税)※ 所得に応じて5〜45% 不可
現物金 譲渡所得(総合課税) 所得に応じて5〜45% 不可
CFD(差金決済取引) 申告分離課税 20.315% 先物取引等のみ

※純金積立は通常、金地金を引き出す前提の契約であれば譲渡所得(総合課税)として扱われます。ただし、契約形態が「金投資口座」「金貯蓄口座」に該当する場合は源泉分離課税20.315%となります。利用前に契約書面で課税区分を確認してください。

出典:国税庁 タックスアンサーNo.3161(金地金の譲渡による所得)国税庁 タックスアンサーNo.1522(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)

申告分離課税とは、給与など他の所得と分けて、利益に対して一律の税率を計算する方式です。総合課税は、給与所得などと合算して累進課税(所得が高いほど税率が上がる仕組み)で計算する方式です。金ETFとCFDは税率が固定で計算しやすい一方、現物金と純金積立は給与などと合算されるため、所得が高い人ほど税負担が重くなります。

FP
FP
税率の数字だけ見ると金ETFとCFDは同じ20.315%ですが、CFDはレバレッジ(少ない元手で大きな金額を取引する仕組み)がかかり、損失も拡大しやすい商品です。税制が同じだから同じ感覚で扱えるわけではないので、表の左側だけで判断しないでくださいね。

給与所得者が確定申告をする必要があるケース

給与所得者が金投資で利益を得た場合、確定申告が必要かどうかは口座の種類と利益額で決まります。

特定口座(源泉徴収あり)とは、証券会社が利益から税金を自動的に差し引いて納税まで代行してくれる口座です。この口座で金ETFを保有している場合、利益額に関わらず申告不要を選択できます。

一方、以下のケースでは確定申告が必要です。

確定申告が必要なケース

  • 一般口座・源泉徴収なしの特定口座で年間利益20万円超
  • 現物金・純金積立で譲渡益50万円超(特別控除後)
  • CFDで年間利益20万円超

現物金と純金積立には年間50万円の特別控除があります。利益が50万円以下なら課税されませんが、超えた分は総合課税の対象です。

出典:国税庁 タックスアンサーNo.3161(金地金の譲渡による所得)

特定口座・一般口座・NISAの税務上の違いを比較する

金ETFを購入できる口座は3種類あり、それぞれ税務上のメリット・デメリットが異なります。

口座種別 メリット デメリット
特定口座(源泉徴収あり) 申告不要、手間がない 20万円以下でも課税される
特定口座(源泉徴収なし) 20万円以下なら課税対象外となる場合がある 申告の手間が発生
NISA成長投資枠 利益が完全非課税 損益通算不可、損失繰越不可

出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト

NISA成長投資枠では金ETF(1540等)が購入可能で、年間240万円まで投資でき、利益は非課税です。ただし、NISA口座で発生した損失は他の口座の利益と相殺できないという制約があります。

FP
FP
NISA口座で金ETFを持つと利益は非課税になりますが、下落時の損失を他の利益と通算できない点は見落とされがちです。長期保有なら税制メリットが大きく出やすいため、短期売買と長期保有のどちらの想定かで使い分けると良いです。

口座種別と投資商品の組み合わせで税負担を最適化する

口座選びは投資スタイルによって最適解が変わります。

長期保有を前提にするなら、NISA成長投資枠での金ETF保有が選択肢に入ります。売却益に税金がかからないため、5年・10年単位で保有する場合に税制メリットが効いてきます。

短期売買を想定するなら、特定口座が向いています。利益が出た場合の税率は20.315%ですが、株式の損失と損益通算できるため、複数銘柄を売買する人には実質的な税負担軽減につながります。

純金積立や現物金は証券口座の枠組み外の取引のため、利益が特別控除を超えた場合は確定申告での管理が必須です。

金ETFの税金以外のリスクも合わせて押さえる

税金が同じ20.315%だからといって、金ETFとCFDが同じ感覚で扱える商品というわけではありません。税負担を比較する前に、各商品のリスクの違いを理解しておく必要があります。

金ETFは保有コストと為替の影響を受ける

金ETFは株式と違い配当が出ません。代わりに信託報酬(ETFを保有している間、毎年かかる運用コスト)が継続的に発生します。1540(純金上場信託)の信託報酬は年0.440%程度で、長期保有では保有額に対してじわじわと費用が積み上がります。

為替の影響については、金ETFのタイプによって受け方が異なります。1540のような東証上場の円建て金ETFは、円建ての国内金価格に連動するため、保有時に為替差損益が直接発生することはありません。ただし、円建ての国内金価格はロンドンのドル建て金価格と為替レートの両方が反映されて決まるため、為替の動きが間接的に基準価格に影響します。一方、海外上場のドル建て金ETF(GLDなど)を直接保有する場合は、保有期間中の円ドルレートの変動が手取りに直接反映されます。

出典:三菱UFJ信託銀行 純金上場信託(金の果実)公式サイト ※2026年4月時点の信託報酬。最新の数値は公式サイトで確認してください

CFDはレバレッジで損失が拡大するリスクがある

CFDは少ない証拠金で大きな金額の取引ができるレバレッジ取引です。利益も大きくなりますが、損失も同じ倍率で拡大し、相場が逆方向に動いた場合は追加証拠金(追証)の入金を求められたり、強制的に損切りされたりする可能性があります。税率が金ETFと同じ20.315%だからといって、初心者がいきなり手を出す商品ではありません。

FP
FP
税金の表だけ見て「CFDも金ETFと同じくらい手軽」と判断してしまう方をたまに見かけますが、レバレッジの仕組みは全く別物です。最初に金投資を始めるなら、現物保有・金ETF・純金積立のどれかから入るのが現実的だと思います。

投資額・利益額別の税引後リターンを試算する

実際の手残り額を試算すると、商品選びの判断がしやすくなります。以下の表では、給与所得者が金投資で利益を得たケースを想定し、各商品ごとの税引後リターンを試算しています。

投資額・利益 金ETF(特定口座) 金ETF(NISA) 現物金(5年以下保有)
100万円投資、10万円利益 約79,685円 100,000円 100,000円(特別控除内)
500万円投資、50万円利益 約398,425円 500,000円 500,000円(特別控除内)
500万円投資、100万円利益 約796,850円 1,000,000円 所得税率により変動

※金ETF(特定口座)は20.315%の税率で計算。現物金は給与所得者の合計所得・他の譲渡益との合算で税率が変動するため、具体的な金額は個別に試算が必要

現物金は50万円の特別控除があるため、利益50万円以下なら課税されません。50万円を超えた場合は、超過分が総合課税の対象となり、給与所得などと合算して所得税率が決まります。

5年超の保有で売却した現物金は長期譲渡所得として、課税対象額が1/2に軽減されます。たとえば、利益が100万円・特別控除後50万円が課税対象の場合、5年超保有なら25万円分のみが課税所得に加算される計算になります。

出典:国税庁 タックスアンサーNo.3161(金地金の譲渡による所得)

金投資の税金に関するよくある質問

金ETFの利益はNISAで完全非課税になりますか

はい、非課税になります。NISA成長投資枠で金ETF(1540等)を保有した場合、売却益・分配金は非課税です。ただし、損失が出た場合に他の口座の利益と損益通算できない、損失の繰越控除(最大3年間損失を翌年以降に繰り越す制度)が使えないという制約があります。

純金積立は確定申告が必要ですか

譲渡所得扱いの純金積立で、年間の譲渡益が50万円を超えた場合は確定申告が必要です。50万円以下であれば特別控除内のため課税されません。給与所得以外の所得が20万円以下でも、譲渡益50万円超は申告対象です。なお、契約形態が「金投資口座」「金貯蓄口座」の場合は源泉分離課税となり申告不要です。

現物金を5年以上持っていれば税金が安くなるのは本当ですか

はい、本当です。保有期間が5年を超えた現物金の売却益は長期譲渡所得として扱われ、特別控除50万円を引いた後の金額の1/2が課税対象となります。短期と比べて税負担が大幅に軽減されます。

金ETFと現物金、どちらが税金面で有利ですか

利益額や他の所得状況によって変わります。利益が小さく特別控除内に収まるなら現物金が非課税で済みますが、利益が大きく所得税率が高い人は申告分離課税20.315%固定の金ETFのほうが税率を抑えられる傾向があります。試算してから判断するのが現実的です。

NISA口座で買った金ETFを売却して損失が出た場合、他の利益と相殺できますか

いいえ、できません。NISA口座内で発生した損失は、他の特定口座・一般口座の利益と損益通算できず、損失の繰越控除も使えません。これがNISAで金ETFを保有する際の最大のデメリットです。

金投資の税金は商品と口座の組み合わせで決まる

金投資の税金は、ETFなら申告分離課税20.315%で損益通算可能、現物金・純金積立なら総合課税で50万円の特別控除あり。NISAで金ETFを持てば非課税ですが損益通算不可。口座選びは投資スタイルと他の投資状況で決まります。

ご自身の状況に当てはめるときに役立つ判断基準を、以下にまとめてご紹介します。

口座・商品選びの判断基準

  • 年間利益20万円以下で他に株式投資をしていない→特定口座(源泉徴収なし)で申告不要のメリットを活用
  • 年間利益50万円超を想定→ETFの固定税率20.315%か、現物金の特別控除+長期譲渡所得1/2のどちらが税負担が小さいかを試算
  • 株式で損失が出る可能性がある→損益通算可能なETF(特定口座)が選択肢
  • NISA枠に余裕がある→金ETFをNISAで保有し非課税メリットを受ける
FP
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どれが正解かは投資額・他の所得・他の投資状況によって変わります。この記事の表を手元に置いて、ご自身の状況に当てはめて試算してみてください。税制は改正される可能性があるため、最新情報は国税庁や金融庁のサイトでも確認することをおすすめします。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。税制は改正される可能性があるため、最新の情報は国税庁・金融庁の公式サイト等でご確認ください。

  • この記事を書いた人

ウィズマネ編集部

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