金ETF(1540)と銀ETF(1542)はNISA成長投資枠の対象で、年間240万円までの枠を使い、成長投資枠の生涯上限である1,200万円(NISA全体では1,800万円)の範囲内で売却益が非課税になります。ただし売却後の枠復活は翌年1月で、復活するのは購入時の取得価格分です。
本記事では、この枠の使い方と、銀ETFの値動きの大きさを踏まえた注意点、そして商品と口座の組み合わせ戦略までをご紹介していきます。
金銀ETFはNISA成長投資枠で非課税運用できる|枠の基本ルール
金銀ETF(金ETF:1540、銀ETF:1542)はNISA成長投資枠の対象商品です。購入すると売却益が非課税になります。年間投資枠は240万円、生涯非課税保有限度額のうち成長投資枠は1,200万円まで使えます。
ただし、売却後の枠復活は翌年1月です。売った年の枠はそのまま減ったままで、同じ年に買い直すことはできません。また復活するのは売却価格ではなく購入時の取得価格です(この金額のことを簿価といいます)。
このルールを知らないと、銀ETF(1542)で利益が出たから利確しよう、その後また買い直そうと思ったときに枠が足りないという事態が起こり得ます。
売却後の枠復活スケジュールを時系列で整理する
NISA制度の枠復活ルールを整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠(成長投資枠) | 240万円 |
| 生涯非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 売却後の枠復活タイミング | 翌年1月 |
| 復活する枠の計算基準 | 売却価格ではなく購入時の取得価格(簿価) |
枠復活の具体例を数字で確認する
2024年に30万円で購入した金ETF(1540)を、2024年中に40万円で売却したとします。
この場合、2024年の枠は減ったままです。追加で30万円分の購入枠が戻ることはありません。そして2025年1月に30万円分の枠が復活します。売却益の10万円は枠の計算に影響しません。
この仕組みを知っておくと、今年売るか来年売るかという判断軸が増えます。たとえば年末に近い時期に売却を考えている場合、年明けまで待てば翌年すぐに枠が使えるという計算ができます。
金銀ETFをNISA枠で持つ際の注意点3つ
金銀ETFをNISA枠で運用する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
まず、金ETF(1540)も銀ETF(1542)も分配金がありません。つまり非課税メリットは売却益のみに適用されます。配当金を非課税で受け取りたいという目的には合いません。
次に、銀ETFは値動きが大きいため、短期売買を繰り返すと枠を消費しやすい特性があります。買って売ってまた買うを繰り返すと、年間240万円の枠をあっという間に使い切る可能性があります。
そして金ETFは長期保有向き、銀ETFは部分利確を想定した使い方が現実的です。金は持つもの、銀はトレードするものという性質の違いを意識しておくと、枠の使い方で迷いにくくなります。
銀ETFをNISA枠で買うリスクを理解しておく
銀は金より価格変動が激しい資産です。一般に金より値動きが大きく、過去には1日で10%以上動いた日もあります。購入後に30%以上下落するシナリオも十分にあり得ます。
直近の例では、銀ETF(1542)は2026年1月29〜30日に65,000円台の史上最高値に到達した直後、1日で約31%の歴史的暴落を記録しました。1980年以来約46年ぶりの規模の下落です。銀価格の急落は海外市場で発生することが多く、日本の取引時間が始まった頃にはすでに下落が進んでいるケースもあります。タイミングを予測することはできない前提で、買う金額を決めておくことが重要です。
下落後に損切りすると、NISA枠の非課税メリットを活かせないまま枠だけ消費することになります。特定口座であれば、損失を他の投資の利益と相殺できる仕組み(損益通算といいます)が使えますが、NISA口座ではこの仕組みが使えません。
銀ETFをNISA枠で買う場合は、売らない覚悟か部分利確ルールのどちらかを事前に決めておくと、判断軸が定まりやすくなります。
注意ポイント
銀ETFは1日で30%以上下落することがあり、暴落後に元の水準に戻らない可能性もあります。失っても生活に困らない金額で投資することが前提です。最終的な売買判断はご自身で行ってください。
金ETFと銀ETFは口座の使い分けで考える
金ETF(1540)と銀ETF(1542)は性格が違うので、NISA口座と特定口座をどう使い分けるかも変わってきます。組み合わせの考え方をご紹介します。
金ETFは長期保有向きで、値動きも銀より穏やかです。NISA成長投資枠で買って、何年も持ち続けるという使い方と相性がいい商品です。一方、銀ETFは値動きが大きく、利益が出たときに一部だけ利確するような使い方が現実的です。利確と買い直しを繰り返す可能性があるなら、特定口座のほうが損益通算ができる分、リスク管理がしやすくなります。
| 組み合わせ | 向いている人 | 理由 |
|---|---|---|
| 金ETF(1540)× NISA成長投資枠 | 長期で資産防衛したい人 | 分配金がなくても売却益が非課税。長期保有で複利的に効く |
| 銀ETF(1542)× 特定口座 | 値動きを取りに行きたい人 | 損失が出ても他の利益と損益通算できる。枠を気にせず売買できる |
| 銀ETF(1542)× NISA成長投資枠 | 銀を長期で持つと決めた人 | 売らない前提なら非課税メリットを活かせる。短期売買は枠の消費が早い |
NISA成長投資枠が足りなくなる失敗パターン3つ
枠の使い方で失敗しやすいパターンをご紹介します。事前に知っておくだけで、回避しやすくなります。
失敗1:銀ETFで短期売買を繰り返して枠を消費する
銀ETF(1542)は値動きが大きいので、利益が出るたびに利確して買い直すと、その都度240万円の年間枠を消費していきます。たとえば50万円分を3回売買すれば、それだけで150万円の枠を使ったことになります。
売却した分の枠が復活するのは翌年1月。同じ年に売買を繰り返すと、枠が想像以上に早く尽きます。
失敗2:金ETFと銀ETFを両方フルに買おうとして枠が足りない
金ETF(1540)も銀ETF(1542)も欲しい、というケースで意外と陥るパターンです。金ETFを200万円分買った時点で、その年の成長投資枠は残り40万円。銀ETFをまとまった額で買おうとすると、すぐに枠の上限に届きます。
両方持ちたい場合は、年をまたいで分散して買うか、片方を特定口座で買うかの選択が必要です。
失敗3:年末の含み益を見て利確、翌年すぐに買い直せると思い込む
12月に売却した場合、その年の枠は減ったままです。翌年1月に枠が復活するので、1月の購入には使えますが、復活するのは売却価格ではなく購入時の取得価格分です。
たとえば30万円で買って50万円で売却した場合、復活するのは30万円分。翌年1月に50万円分を買い直そうとすると、20万円は別の枠から出すことになります。
金銀ETFをNISAで運用する際のよくある質問
Q1. 金ETFと銀ETFはどちらもNISA成長投資枠で買えますか?
はい、金ETF(1540)も銀ETF(1542)もNISA成長投資枠の対象商品です。年間240万円・生涯1,200万円までの非課税枠で運用できます。ただし、つみたて投資枠の対象ではないため、毎月の積立で買うには成長投資枠を使う必要があります。
Q2. 金銀ETFをNISAで持つと配当金は非課税になりますか?
金ETF(1540)も銀ETF(1542)も分配金がありません。そのためNISAの非課税メリットは売却益にのみ適用されます。配当金を非課税で受け取りたいという目的には合わないため、その点を理解した上で選択するのが安心です。
Q3. NISAで買った銀ETFが下落した場合、損益通算はできますか?
NISA口座での損失は、他の特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。損失の繰越控除も使えません。値動きの大きい銀ETF(1542)をNISA枠で買う場合は、この点を踏まえた上で金額を決めることが重要です。
Q4. NISAの枠が復活するタイミングはいつですか?
売却した分の枠は翌年1月に復活します。同じ年に売買を繰り返すと、枠が二重に消費される形になるので注意が必要です。たとえば30万円分を売却して同じ年に30万円分を買い直すと、その年の使用枠は60万円分となります。枠を効率的に使いたい場合は、売却は年末、買い直しは翌年1月以降が一つの考え方です。
Q5. 金ETFと銀ETFを両方NISA枠で持つことは可能ですか?
可能です。年間240万円・生涯1,200万円の枠内であれば、何銘柄でも組み合わせられます。ただし金ETFは長期保有、銀ETFは部分利確という性質の違いがあるため、配分は事前に決めておくと枠管理がしやすくなります。
明日から変えるのは枠の残りを意識する習慣だけでいい
金ETF・銀ETFをNISA成長投資枠で購入すると、売却益が非課税になります。ただし売却後の枠復活は翌年1月で、復活するのは購入時の取得価格分です。銀ETF(1542)は値動きが大きいため、枠の使い方と売却タイミングを事前に整理しておくことが重要です。
月に1回、証券口座の管理画面で今年の残り枠がいくらかを確認する習慣をつけるだけで十分です。
金銀ETFを購入する前に、この金額を使うと残り枠がいくらになるかを1度だけ計算してみてください。確認のタイミングを決めるだけで、枠の使い方が整理されます。
枠のルールを知った上で、今のペースで問題ないかを自分で判断できる状態がゴールです。特に銀ETFは値動きが大きいため、利益が出た時点で一部を利確するルールを自分で決めておくと、枠の管理もしやすくなります。