金価格は2020年から2026年にかけて1オンスあたり約1,500ドルから4,600ドル台へと約3倍に上昇し、2026年1月28日には史上最高値となる1オンスあたり5,405ドルを記録しました。円建てでは円安効果も加わり、過去5年で約4倍の水準に達しています。2026年に向けて金価格が上昇を続ける構造的な理由は、中央銀行による継続的な買い増し、米ドルへの信頼が揺らぐ動き、新規鉱床の減少による供給制約の3つが重なっているためです。
これらは短期的なブームではなく、10年単位で継続する可能性が高い要因です。
金価格を押し上げる4つの構造的要因をご紹介します
| 要因 | 持続性 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 中央銀行の買い | 高い | 10年単位の長期戦略のため継続性あり |
| 米ドルへの信頼低下 | 高い | 米国の財政赤字拡大が背景 |
| 供給制約 | 高い | 新規鉱床の発見が減少傾向 |
| 地政学リスク | 中程度 | 紛争終結で後退する可能性あり |
中央銀行が金を買い続ける構造的な理由
世界の金需要は、2026年1〜3月期に前年同期比で2%拡大しました。同期の総需要は1,231トン、価値ベースでは1,930億ドルと過去最高を記録しています。投機筋による利益確定売りで価格が乱高下する中でも、個人による地金(インゴット、金の延べ棒のこと)需要や中央銀行の買いが堅調に推移しました。
出典:World Gold Council「Gold Demand Trends Q1 2026」
中央銀行による金の購入は2025年通年で863トンに達しました。2025年の最大の買い手はポーランド国立銀行で102トンを購入し、保有量を550トンまで増やしています。続いてカザフスタン(57トン)、ブラジル(43トン)、トルコ(27トン)、中国(27トン)が買い越しました。新興国を中心に、外貨準備(国が万一に備えて持っているドルや金などの資産)に占める金の比率を引き上げる動きが続いています。
出典:World Gold Council「Gold Demand Trends Full Year 2025 - Central Banks」
これらの中央銀行が米ドル資産への依存度を下げる動きは、米国の財政悪化と米ドルへの信頼低下への対応という側面があります。これは数年で終わるブームではなく、10年単位の構造変化として進行しています。
供給制約という見落とされがちな要因
金の鉱山生産量は年間約3,600トン前後で推移しており、需要の伸びに対して供給が大きく増えていません。新規鉱床の発見が減少し、採掘コストも上昇傾向にあります。需要が増えても供給が簡単に増えない構造が、価格の下支え要因になっています。
出典:World Gold Council「Gold Supply」
金価格が5年で約3倍になった3つの時期をご紹介します
金価格の上昇は一直線ではなく、異なる要因が各時期で主役を務めてきました。この流れを把握することが、2026年以降の予測の出発点になります。
| 時期 | 主な上昇要因 | 1オンスあたりの価格の動き |
|---|---|---|
| 2020〜2021年 | 実質金利のマイナス化 | 1,500ドル→1,800ドル台(2020年8月に2,075ドルを一時突破) |
| 2022〜2023年 | 地政学リスク(ウクライナ侵攻) | 1,800ドル→2,000ドル突破 |
| 2024〜2026年初 | 中央銀行の買い・米ドル信認低下 | 2,000ドル→4,600ドル台(2026年1月に5,405ドルを記録) |
2020〜2021年の上昇局面|実質金利マイナス化が引き起こした変化
新型コロナ対応で各国の中央銀行が量的緩和(中央銀行が大量にお金を市場に流す金融政策)を実施し、米国の実質金利(名目金利からインフレ率を引いた値)がマイナス圏に突入しました。
金は利息を生まない資産ですが、実質金利がマイナスの状況では、現金を持っているとインフレで価値が目減りしてしまいます。そのため、利息がつかなくても価値が安定している金を持つほうが有利という状況が生まれました。この構造が金価格上昇のきっかけを形成し、2020年8月には1オンスあたり2,075ドルまで急騰する場面もありました。
2022〜2023年の上昇局面|地政学リスクが加速させた価格上昇
2022年2月のウクライナ侵攻により、安全資産としての金需要が急増しました。欧州エネルギー危機とインフレ加速が同時進行し、地政学リスク発生時に金価格が上昇するという過去の傾向が再び見られた局面です。この時期は価格変動も激しく、1日で50ドル以上動く場面もありました。
2024〜2026年初の上昇局面|中央銀行の買いが押し上げた史上最高値圏
最も注目すべき変化は、中央銀行が金の買い手として存在感を増したことです。ポーランド・カザフスタン・中国・トルコをはじめとする新興国の中央銀行が、外貨準備に占める金の比率を引き上げました。これは短期的な投機ではなく、米ドルへの依存リスクを軽減する長期戦略です。
中央銀行買いを背景に、金価格は2025年に1オンスあたり3,000ドル、4,000ドルの節目を相次いで突破しました。2026年1月には米国とイランの緊張が高まる中で5,405ドルの史上最高値を記録し、その後は4,600ドル台で推移しています。
2026年以降も金価格は上がり続けるのか
2026年以降も金価格の上昇基調が続く可能性は高いものの、3つの下落条件が揃えば反転するリスクもあります。
金価格が下落に転じる3つの条件をご紹介します
金価格下落の条件
- 米国実質金利の大幅なプラス転換:インフレが落ち着き、金利が高止まりする場合(ただし2024年以降は中央銀行買いの影響で実質金利との連動が弱まっている指摘もあります)
- 主要紛争(中東情勢・ウクライナなど)の沈静化:安全資産需要が後退する場合
- 中央銀行が売却に転じる:米ドルへの信認が回復し、金保有を減らす動きが出る場合
現時点でこれらの条件が同時に揃う可能性は低いと考えられますが、将来的にいずれかが実現する可能性はゼロではありません。
金ETFを保有する際に意識したいリスク管理
金ETFは配当を生まない資産です。保有しているだけでは現金収入は発生せず、価格上昇による値上がり益のみが利益の源泉となります。また、信託報酬(ETFを保有している間、毎年かかる運用コスト)が継続的に発生します。
代表的な金ETFである純金上場信託(銘柄コード1540、愛称「金の果実」、運用:三菱UFJ信託銀行)の信託報酬は2026年4月時点で年率0.440%(税込)です。最新の数値は運用会社の公式サイトでご確認ください。
出典:三菱UFJ信託銀行「純金上場信託(金の果実)」(2026年4月時点)
リスク管理の観点では、全額を一度に投入せず、買い増し用の資金を残しておく考え方が一般的です。価格が下落した局面で追加投資ができるよう、ある程度の余裕を持って始めることが推奨されます。
銀ETFと組み合わせる視点もあります
ウィズマネでは「金は持つもの、銀はトレードするもの」という二軸の考え方をご紹介しています。金ETFは長期保有を前提にした守りの資産、銀ETFは値動きの大きさを活かす短期売買の対象として、性格が大きく異なります。
ただし銀ETF(1542・純銀上場信託)は値動きが金より大きく、短期間で大きく下落する可能性があります。実例として、2026年1月29〜30日には1542が65,000円の史上最高値に到達した直後、1日で約31%の歴史的暴落が発生しました。1980年以来46年ぶりの規模の下落です。組み合わせる場合は失っても生活に困らない金額で始めることが推奨されます。
金価格 上がる理由 2026のよくある質問
金価格はなぜ2026年も上がっているのですか
中央銀行による継続的な買い増し、米ドルへの信頼低下、新規鉱床の減少による供給制約という3つの構造的要因が重なっているためです。これらは10年単位で継続する可能性が高い要因です。
中央銀行はなぜ金を買い続けているのですか
新興国を中心に、外貨準備に占める米ドル資産の比率を下げる動きが続いているためです。米国の財政赤字拡大により米ドルへの信頼が揺らぐ中、金は信用リスクのない資産として選ばれています。2025年通年で世界の中央銀行は863トンを購入し、最大の買い手はポーランド国立銀行(102トン)でした。
金価格が下落するのはどんな時ですか
米国の実質金利が大幅にプラスに転換した時、地政学リスクが沈静化した時、中央銀行が金売却に転じた時の3つです。現時点でこれらが同時に揃う可能性は低いと見られていますが、将来的にいずれかが実現する可能性はあります。
金ETFと現物の金、どちらが良いですか
それぞれ特徴が異なります。金ETFは少額から購入でき、保管コストや盗難リスクがありません。現物の金は手元に持つ安心感があり、長期保有の譲渡所得計算で税制上の優遇があります。投資目的や金額に応じて選択することが推奨されます。
円建ての金価格と米ドル建ての金価格はどう違いますか
円建て価格は米ドル建て価格と為替レートの両方の影響を受けます。米ドル建てで金価格が横ばいでも、円安が進めば円建て価格は上昇します。逆に円高局面では、米ドル建ての上昇分が円建てでは打ち消されることがあります。
2026年の金投資をどう判断するか
金価格が上がる理由は、中央銀行の買い増し、米ドルへの信頼低下、供給制約という3つの構造的要因に集約されます。
2026年以降もこれらの要因が継続する可能性は高いものの、実質金利の上昇や地政学リスクの後退で下落に転じるシナリオも存在します。最終的な投資判断は、ご自身のリスク許容度と照らし合わせて決定してください。
この記事でご紹介した4つの上昇要因と3つの下落条件を比較し、どの要因が今後も継続しそうかを判断する材料としてご活用ください。金ETFを検討する場合は、長期保有を前提に、失っても生活に困らない金額で始めるという考え方が一般的です。