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パーソナルアシスタントの雇い方|月額費用・求める人材・契約の流れ

パーソナルアシスタント(PA)とは、雇用主個人に専属し、秘書業務とプライベート支援を同時に担う専門職です。一般的な秘書が企業の業務時間内のビジネス支援に留まるのに対し、PAはメール対応や会議調整に加え、家族の病院予約、旅行手配、別荘管理、子息の学校関連の手配まで、生活全般を引き受けます。
月額相場は30万〜80万円で、契約形態と業務範囲、機密レベルによって必要な予算と人材要件が変わります。

費用の内訳、求める人材像、採用ルート、リモートPAと常駐PAの違いまで、PA採用で押さえるべき実務情報を以下にまとめます。

パーソナルアシスタントの費用は月額30万〜80万円

パーソナルアシスタントを雇う費用は、契約形態と業務範囲によって月額30万〜80万円の幅があります。

PAの契約形態別月額費用の目安(2026年時点)
契約形態 月額費用 含まれる費用
業務委託(リモート中心) 30万〜50万円 稼働時間分の報酬のみ(月60〜100時間想定)
派遣社員 40万〜60万円 時給+派遣会社手数料
直接雇用(正社員) 50万〜80万円 給与+社会保険料+福利厚生

※上記はカテゴリ別の目安です。正式な費用は各人材紹介会社・エージェントへの問い合わせが必要です。

直接雇用の場合、給与以外に健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険等の事業主負担(月額給与の約15%前後、年度ごとに改定)が加わります。年収600万円のPAを雇用した場合、月額給与部分の社会保険料事業主負担で年間約90万円、賞与と40歳以上の介護保険料を加味すると、実質人件費は年間約690万〜720万円の幅で見込むのが実務的です。
参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)日本年金機構

Elbrus Concierge
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費用だけで契約形態を選ぶと失敗します。業務委託は稼働時間の柔軟性がある反面、突発的な依頼への対応力は正社員に劣ります。まずは「週何時間、どんな業務を任せたいか」を書き出すことから始めてください。週20時間未満なら業務委託、フルタイムで長期的に任せるなら直接雇用が基本的な目安となります。

費用に影響する3つの要素

PAの費用を左右する主な要素は以下の3つです。

  • 語学力:ビジネスレベルの英語運用能力がある人材は、目安として相場より2割〜3割高くなる傾向があります
  • 専門スキル:経理・法務の知識、富裕層向けサービスの経験などで報酬が上振れします
  • 稼働時間:24時間対応や休日稼働が必要な場合は追加報酬が発生します

PAは秘書の延長ではなくファミリーオフィスの一部

パーソナルアシスタントは、経営者や資産家の「時間を生み出す」専門職です。秘書が主にスケジュール管理や来客対応を担うのに対し、PAは仕事とプライベートの両面をカバーします。

ここで重要なのが、超富裕層のPAは「ビジネス系PA」と「ファミリーオフィス系PA」に分かれるという視点です。ファミリーオフィスとは、特定の富裕一族の資産運用・税務・承継・ライフスタイル管理を一元的に担う専門組織を指します。ビジネス系PAは企業の執行役員秘書の延長で、経営判断のスケジュール最適化が中心となります。一方、ファミリーオフィス系PAは資産・家族・ライフスタイルの3領域を横断し、プライベートバンク、税理士、信託銀行、子息の学校、別荘管理会社など複数のステークホルダーとの接続点として機能します。

純金融資産5億円以上の超富裕層の場合、PAを単独のビジネス秘書として設計するよりも、既存のファミリーオフィス機能(資産管理会社、プライベートバンクのリレーションシップマネージャー、顧問税理士等)と連携する「ハブ」として位置づけるほうが実務に適します。

PAが担う主な業務領域

PAの業務領域(ビジネス・プライベート横断)
業務領域 具体的な業務例
スケジュール管理 会議調整、移動手配、リマインド
コミュニケーション代行 メール対応、電話取次、各種連絡
リサーチ・情報収集 出張先の情報、サービス比較、市場調査
プライベート支援 旅行手配、ギフト選定、家族の予定管理
資産管理サポート 請求書処理、経費精算、各種届出の代行

超富裕層のケースでは、1日の依頼がビジネスとプライベートを横断します。たとえば都内在住・企業オーナーのPAの1日は、以下のような多層構造になります。

超富裕層PAの1日の業務例
時間帯 業務例 領域
8:00 海外出張の航空券変更、現地ホテルとプライベートジェット会社への連絡 ビジネス
10:00 税理士からの相続関連書類を受領し、配偶者のスケジュールと調整 資産管理
12:00 配偶者の診察予約と、子息のインターナショナルスクールの面談調整 家族
14:00 別荘管理会社からの修繕見積もりを確認し、承認のうえ発注 資産管理
16:00 翌週の会食に向けたレストラン予約、ワイン選定のコンシェルジュ連絡 プライベート
18:00 プライベートバンクのリレーションシップマネージャーと翌月面談の日程調整 資産管理

このように1日の業務がビジネス・資産管理・家族・プライベートを跨ぐため、PAは単一領域の知識だけでは機能しません。複数のステークホルダー(税理士・プライベートバンク・学校・別荘管理会社など)との接続点として動ける調整能力が求められます。

スーパーパワーファミリーの台頭とPA需要の拡大

野村総合研究所の推計によれば、2023年時点で日本の富裕層・超富裕層は合計165.3万世帯(富裕層153.5万世帯・超富裕層11.8万世帯)、純金融資産総額は469兆円に達し、2021年比で世帯数は11.3%、資産総額は28.8%増加しました。同推計では、新たに台頭してきた層として「スーパーパワーファミリー」(都市部居住で世帯年収3,000万円以上の大企業共働き世帯)を定義しており、40歳前後から金融資産が急速に積み上がり、50歳前後に富裕層となる可能性があると分析しています。

富裕層・超富裕層の世帯数と純金融資産総額の推移
区分 2019年 2021年 2023年
超富裕層 世帯数 8.7万世帯 9.0万世帯 11.8万世帯
富裕層 世帯数 124.0万世帯 139.5万世帯 153.5万世帯
合計 純金融資産 333兆円 364兆円 469兆円

出典:野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日発表、2023年データ)

PAの需要は、従来の「経営者個人」から「高年収共働き世帯」「相続により資産を保有した世代」へと拡張しています。スーパーパワーファミリー層では、夫婦とも多忙で子育てを外部に委ねる必要があるため、ビジネス支援よりも家族・教育・生活設計の比重が高いPAが求められる傾向があります。超富裕層では、資産管理を含むファミリーオフィス系PAの需要が中心となります。

PAに求めるスキルと機密レベル別の人材要件

優秀なPAを採用するには、求めるスキルを明確にしておく必要があります。厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」の秘書職の項目でも、コミュニケーション関連スキルが中核能力として挙げられています。PAにはこれらに加え、マルチタスク処理と機密保持意識がより強く求められます。

PAに求められるスキル要件の重要度
スキル区分 内容 重要度
コミュニケーション力 傾聴力、口頭表現力、文書作成力 必須
マルチタスク処理 複数の依頼を優先順位付けして同時進行 必須
機密保持意識 個人情報・資産情報の厳格な管理 必須
語学力 英語(ビジネスレベル以上) 推奨
ITリテラシー クラウドツール、オンライン会議の操作 推奨
業界知識 富裕層向けサービス、プロトコルの理解 あれば尚可

参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」秘書

Elbrus Concierge
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スキルシートだけで判断すると失敗します。PAは雇用主の行動パターンを読み、先回りして動く「察する力」が重要です。面接では「想定外の依頼にどう対応したか」を具体的に聞いてください。過去のエピソードに対応力が表れます。

機密レベル別の人材要件と調達ルート

PAに任せる情報の機密度は一律ではありません。業界標準の区分があるわけではありませんが、実務上の整理として、扱う情報を3段階に分けて採用方針を設計すると、過剰な採用コストを避けつつ必要な信頼性を確保できます。以下は本稿で用いる便宜的な区分です。

機密レベル別の採用ルートと契約条件
機密レベル 扱う情報の範囲 推奨調達ルート 契約条件
レベル1 スケジュール・出張手配・一般連絡 オンラインアシスタント、派遣 NDA、業務委託
レベル2 家族の個人情報、医療情報、教育情報 エグゼクティブ専門の人材紹介 NDA+競業避止、試用期間3ヶ月
レベル3 資産運用状況、相続関連、法人の重要情報 リファラル、プライベートバンク経由、ファミリーオフィス内部 NDA+競業避止+退職後守秘義務、直接雇用推奨

レベル1とレベル2は別人材に分離できます。たとえば航空券やレストラン予約はオンラインアシスタントで処理し、家族の医療記録や教育関連はエグゼクティブ向け紹介会社から採用した常駐PAが担当する、という棲み分けです。レベル3は原則としてリファラルまたはプライベートバンクのコンシェルジュ経由で、数年単位の信頼関係を前提に配置します。

採用前に明確にすべき3つの条件

  • 業務範囲:ビジネスのみか、プライベートも含むか、ファミリーオフィス機能との連携があるか
  • 稼働時間:平日9-18時か、夜間・休日も対応が必要か
  • 機密レベル:上記3段階のうち、どのレベルを任せるか

PAの採用ルートは4つ

PAの採用ルートは大きく4つあります。機密レベルと業務範囲に応じて、適した方法を選ぶことが出発点となります。

エグゼクティブ専門の人材紹介会社

経営者・富裕層向けのPA専門紹介サービスを利用する方法です。事前に候補者のスクリーニングが行われるため、質の高い人材に出会いやすい利点があります。費用目安は年収の30〜35%(成功報酬型)で、年収600万円のPAを採用する場合、紹介手数料は180万〜210万円になります。初期費用は高いものの、採用にかける時間を大幅に削減できます。

ファミリーオフィス・コンシェルジュサービス経由

すでにファミリーオフィスやプライベートバンクのコンシェルジュサービスを利用している場合、そこから人材を紹介してもらう方法があります。資産状況や生活スタイルを理解したうえでの紹介となるため、ミスマッチが少ない傾向があります。機密レベル3の採用に適したルートです。

オンラインアシスタントサービス

リモート前提のアシスタントサービスを利用する方法です。月額5万〜15万円程度から始められ、法人向けの包括的プラン(チーム体制・月40〜50時間稼働相当)では月額10万〜30万円程度が目安です。必要に応じて稼働時間を増やせる柔軟性があり、法人向けの運営会社が複数存在します。ただし、プライベートな依頼や機密性の高い業務(レベル2以上)には原則向きません。

リファラル(紹介)採用

経営者仲間や知人からの紹介で採用する方法です。すでに富裕層のPA経験がある人材を紹介してもらえることもあり、信頼性の面で他のルートに優位性があります。機密レベル3の採用で最も適しています。

Elbrus Concierge
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採用ルートに迷ったら、まず「機密情報をどこまで任せるか」で判断してください。資産情報や家族のプライバシーに深く関わる業務が中心ならリファラルか人材紹介会社、タスクが明確で機密性が低いならオンラインアシスタントから始める選択肢もあります。複数のルートを組み合わせて、業務ごとに別の人材に任せるのも有効な設計です。

リモートPAと常駐PAの使い分け

PAの働き方は「リモート型」と「常駐型」に大別されます。2020年以降、リモートワークの普及によりリモートPAの選択肢が広がりました。

リモートPAと常駐PAの比較
項目 リモートPA 常駐PA
月額費用 30万〜50万円 50万〜80万円
物理的な業務 対応不可(郵便物処理など) 対応可能
即時対応 限定的 可能
人材プール 全国・海外から採用可能 通勤圏内に限定
信頼関係構築 時間がかかる 築きやすい
勤務場所 不要 確保が必要

以下の質問に「はい」が多い場合は常駐PAが適しています。

  • 郵便物や宅配便の処理を日常的に任せたい
  • 突発的な依頼(当日の来客対応など)が頻繁にある
  • 自宅やオフィスでの立ち会いが必要な業務がある
  • 家族のサポートも依頼したい

一方、スケジュール管理やリサーチ、オンラインでの手配業務が中心であれば、リモートPAで十分対応可能です。超富裕層の場合、常駐PAを1名配置し、繁忙期のみ追加でリモートPAに業務を分散させる「ハイブリッド型」も有効です。

PA採用は業務棚卸しから契約締結まで5ステップ

PA採用を成功させるには、事前準備から契約締結まで、以下のステップを踏むことが推奨されます。

STEP1:業務の棚卸し(所要期間:1〜2週間)

まず1〜2週間、自分の業務を記録します。「人に任せられる業務」「自分でやるべき業務」を分類し、PAに依頼する業務リストを作成します。

STEP2:採用要件の明確化(所要期間:3〜5日)

業務リストをもとに、必要なスキル・経験・稼働条件を明文化します。必須スキル(例:ビジネス英語、Excel中級以上)、歓迎スキル(例:富裕層向けサービス経験)、稼働時間(例:平日10-18時、月20時間程度のリモート稼働)、契約形態(業務委託または直接雇用)を明文化してください。

STEP3:候補者との面談(所要期間:2〜4週間)

人材紹介会社やリファラルで候補者が見つかったら、最低2回は面談を行います。1回目は経歴・スキルの確認、2回目は実際の業務を想定したケーススタディを実施します。面談で確認すべきポイントは、過去に担当した業務の具体的な内容、機密情報の取り扱い経験、想定外の依頼への対応事例、コミュニケーションスタイルの相性の4点です。

STEP4:試用期間の設定(所要期間:1〜3ヶ月)

いきなり長期契約を結ぶのではなく、1〜3ヶ月の試用期間を設けることが推奨されます。業務委託であれば、まず3ヶ月契約でスタートし、相性を確認してから継続判断するのが一般的です。

STEP5:契約締結と機密保持契約(所要期間:1〜2週間)

本採用が決まったら、業務委託契約書または雇用契約書を締結します。PAは個人情報や資産情報に触れる立場のため、必ず機密保持契約(NDA)を別途締結してください。機密レベル3の業務を任せる場合は、退職後の守秘義務・競業避止条項も盛り込むことが実務上一般的です。

PA採用でつまずきやすい5つのパターン

採用時に多い失敗パターンは以下の5つです。いずれも事前設計の欠如が原因で、採用後のミスマッチや信頼関係の崩壊に直結します。

  • 業務範囲を曖昧にしたまま契約した:業務委託契約に「PA業務全般」と記載して発注すると、想定外の依頼が発生するたびに追加報酬交渉が必要になります。STEP1の業務棚卸しで洗い出した項目を契約書に別表形式で明記することが有効です
  • 機密レベルを分離せず1人に集約した:資産運用情報から子息の学校情報までを1名のPAに集中させると、退職時のリスクが過大になります。レベル1〜3を別人材に割り振る設計が推奨されます
  • NDAを形式的に結んで終わりにした:NDAは締結だけでなく、アクセス権限の段階的付与・退職時の情報引き上げ手順までをセットで設計する必要があります
  • 試用期間なしで長期契約した:スキルシートで高評価でも、実際の行動パターンとの相性は3ヶ月程度働いてみないと判断できません。いきなり年間契約を結ぶと、ミスマッチ時の解除コストが大きくなります
  • 家族との関係性を事前に調整しなかった:ファミリーオフィス系PAは配偶者や子息との日常接触が発生します。雇用主本人だけでなく家族とも事前面談を行い、コミュニケーションスタイルの相性を確認することが必要です
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特に多いのが、契約書に業務範囲を書かずに口頭合意で始めてしまうパターンです。PA側も「頼まれたから対応」を繰り返すうちに業務が膨張し、数ヶ月後に疲弊して退職するケースがあります。契約時に業務項目を書き出す作業は、雇用主とPAの双方を守るための投資だと考えてください。

検討時に確認すべきポイント

PAの雇い方について、費用は契約形態により月額30万〜80万円、採用ルートは人材紹介会社・ファミリーオフィス経由・オンラインサービス・リファラルの4つが主流です。採用前に業務範囲と機密レベルを明確にすることが成功の鍵となります。以下、検討時に確認しておきたいポイントをまとめます。

Q1. PAと執事(バトラー)・家政婦の違いは

執事(バトラー)は邸宅運営の統括と家事・給仕全般を担う住み込みの職種、家政婦は家事実務(清掃・料理・洗濯)が中心の職種です。PAはこれらと異なり、家事ではなくスケジュール管理・手配・情報処理といった知的業務と、家族の予定調整・旅行計画などの生活実務を担当します。超富裕層の家庭では、執事が邸宅全体を統括し、PAが雇用主個人の業務と予定を担当し、家政婦が家事を実行する、という三職種の並立が一般的です。

Q2. 英語ができるPAの費用は

ビジネスレベルの英語運用能力があるPAは、相場より2割〜3割高くなる傾向があります。月額50万円が目安のポジションであれば、60万〜65万円程度を想定するのが実務的です。

Q3. 業務委託と直接雇用のどちらを選ぶべきか

週20時間未満の稼働であれば業務委託、フルタイムで長期的に任せたい場合は直接雇用が適しています。業務委託は柔軟性が高い反面、突発的な依頼への対応力は直接雇用に劣ります。

Q4. 採用にかかる期間は

人材紹介会社を利用する場合、要件定義から採用決定まで1〜2ヶ月が目安です。リファラル採用の場合は、紹介のタイミング次第で2週間〜1ヶ月程度で決まることもあります。

Q5. 機密情報の管理はどうすべきか

必ず機密保持契約(NDA)を締結してください。また、資産情報や健康情報など特にセンシティブな情報については、アクセス権限を段階的に付与することが推奨されます。信頼関係が構築されてから、徐々に範囲を広げていく方法が安全です。

The summit reveals a life yet unseen.

まだ見ぬ景色を、その手に。

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