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資産運用は初心者こそ放置が最強|1万人の中で勝てる人の共通点

資産運用の放置戦略とは、インデックスファンドなどを購入後、売買せずに長期保有する投資手法です。金融経済学の研究では、売買頻度が高い投資家ほどリターンが低いことが確認されており(Barber & Odean, 2000)、初心者こそ放置が合理的な選択といえます。

投資で成功している人は才能やセンスがあると思っていませんか?実はSNSで見かける成功者は生き残った一部だけ。仮に資産運用を始めた初心者が1万人いたとして、最後に資産を増やしているのは派手な売買をした人ではなく、退屈な積立を放置した人です。

投資の成功者はなぜ一部だけに見えるのか

投資系のSNSやYouTubeを見ていると、FXで月100万円、デイトレで資産3倍といった成功談ばかり目に入ります。しかし、ここには大きな落とし穴があります。

生存者バイアスが作り出す幻想

生存者バイアスとは、成功した人だけが目立ち、失敗した人が視界から消える現象です。FXやデイトレで退場した人はSNSを更新しなくなり、成功者だけが発信を続ける傾向があります。

金融先物取引業協会が2018年9月に公開した実態調査(2017年の取引が対象)では、FX取引で年間利益を出した個人投資家は全体の約60%でした。一見多く見えますが、回答者の約45%が経験5年以上のベテラン層に偏っており、初心者を含めた実態はさらに厳しいと考えられます。

FP
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よくあるのは、SNSで見た手法を真似して損失が膨らんだというケースです。発信者と同じ資金力・時間・情報源がない状態で真似しても再現できません。発信者の環境まで見る習慣をつけてください。

才能やセンスという誤解が生まれる仕組み

生き残った人だけを見ていると、投資には特別な能力が必要という誤解が生まれます。しかし実際には、たまたま相場の波に乗れた運の要素が大きいケースも少なくありません。短期売買で継続的に勝ち続けることは、プロのファンドマネージャーでも困難とされています。

資産運用の放置が有利だと言えるデータ

では実際のデータはどうでしょうか。保有期間を長くとるほど結果が安定する研究があります。

売買頻度が高いほどリターンが下がる

金融経済学者のブラッド・バーバーとテランス・オディーンが2000年にJournal of Financeに発表した研究では、売買頻度が高い個人投資家ほどリターンが低いことが確認されています。頻繁に売買すると、手数料・税金・タイミングのずれが積み重なり、放置した場合より成績が悪化するのです。

つまり「もっと良いタイミングがあるはず」と動くほど、結果的に損をしやすくなります。投資で勝ち残る人の共通点は、才能ではなく動かない忍耐力にあるといえます。

長期保有が有利な理由

株式市場は短期的には上下に大きく振れますが、10年・20年と保有期間を延ばすと、値動きの振れ幅は小さくなっていきます。米国の代表的な株価指数S&P500でも、1年単位で見ると大きくマイナスになる年がある一方、15年以上保有すると過去のどの期間を切り取ってもプラスになる傾向が確認されています。

長期保有のポイント

  • 売買頻度が高いほどリターンは低下する(Barber & Odean, 2000)
  • 保有期間が長いほど元本割れリスクは下がる傾向がある
  • 最適なタイミングを狙う行為自体がコストになる

初心者が衝動売買を防ぐ仕組みの作り方

放置が有利と分かっても、暴落ニュースを見ると不安になるのが人間です。そこで、物理的に触れない仕組みを3ステップで作りましょう。

STEP1:証券アプリの配置を変える(5分)

証券アプリをスマホのトップ画面から削除し、フォルダの奥に移動します。パスワードを複雑にして自動ログインもオフにすると、衝動的にアプリを開くハードルが上がります。

STEP2:資産確認の日を決める(5分)

資産確認は月1回と決め、カレンダーに記録します。それ以外の日は相場を見ないとルールを課すだけで、余計な売買の大半を防げます。

STEP3:暴落を想定内にする(10分)

株式市場では過去に何度も20%以上の下落が起きています。リーマン・ショック(2008年、S&P500は年間約38%下落)やコロナ・ショック(2020年、S&P500は約34%下落)がその代表例です。「こういうことは起きるもの」と事前に認識しておくだけで、狼狽売りを防げます。

FP
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暴落時に売らずに済んだ方の共通点は、下落幅を金額でなく割合で見る習慣です。100万円が70万円になると焦りますが、30%の調整と捉えると過去にも何度もあった現象だと気づけます。

放置する資産運用が最後に勝つ理由

資産運用の初心者が1万人いたとしたら、最後に資産を増やしているのは派手な売買をした人ではなく、退屈な積立を放置した人です。市場データと金融経済学の研究が、この結論を裏付けています。

FXやデイトレを避けるべき判断基準

以下に当てはまる場合、短期売買は避けたほうが賢明です。

短期売買を避けるべき人

  • 投資に使える時間が1日1時間未満
  • 損失が出ると夜眠れなくなる
  • 相場を見ていないと不安になる

これらに1つでも当てはまるなら、インデックス投資の積立設定をして放置するほうが、結果的に資産が増える確率は高くなります。

複利の力を10年で実感する

年利5%で毎月3万円を積み立てた場合、10年後の資産は約466万円(元本360万円+運用益約106万円)になります。20年後には約1,233万円(元本720万円+運用益約513万円)です。

この計算に才能やセンスは一切関係ありません。必要なのは、設定したら触らないという退屈さに耐える力だけです。

元本割れ経験とその受け止め方(2025年・二人以上世帯)
項目 数値
元本割れを経験した世帯 42.0%
経験した世帯のうち「自分の予想が外れたので仕方がない」と受け止めた割合 71.1%
経験した世帯のうち「リスクを理解していなかった」と感じた割合 21.4%
20代で元本割れを経験した世帯 38.6%
20代で「仕方がない」と受け止めた割合 39.4%

出典:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」2025年

元本割れを経験しても7割以上の世帯が「仕方がない」と受け止めて投資を続けています。一方、20代では約4割にとどまります。この差は投資経験の長さから来るもので、初心者こそ「元本割れは想定内」という心構えを最初に持つことが大切です。

FP
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頻繁にログインする方ほど余計な売買をしてしまいがちです。投資していることを忘れるくらいがちょうどいい、とお伝えすると驚かれますが、実はそれが一番の近道だったりします。

資産運用の放置に関するよくある質問

放置していたら暴落で大損しませんか?

暴落は過去に何度も起きていますが、長期保有を続けた場合、株式市場は歴史的に回復しています。大切なのは暴落時に売らないことで、そのために「触らない仕組み」を事前に作っておくことが有効です。

インデックス投資だけで本当に資産は増えますか?

本文のシミュレーションのとおり、年利5%・月3万円の積立でも20年で約1,233万円になります。派手さはありませんが、複利の効果は長期になるほど大きくなります。

FXやデイトレは全くやらない方がいいですか?

絶対にダメとは言えませんが、1日1時間以上の時間確保が難しい方や、損失で不安になりやすい方には向いていません。まずはインデックス投資で土台を作り、余裕資金の範囲で検討するのが現実的です。

放置投資は何年続けるべきですか?

最低でも10年、できれば15年以上が目安です。S&P500の過去データでは15年以上の保有で元本割れの可能性がほぼなくなる傾向があります。使う時期が決まっているお金は、そこから逆算して積立期間を設計してください。

新NISAと放置投資は相性がいいですか?

非常に相性が良い組み合わせです。つみたて投資枠は年間120万円まで非課税・非課税期間も無期限なので、インデックスファンドを毎月積み立てて放置する戦略にぴったりです。

  • この記事を書いた人

ウィズマネ編集部

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