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執事(バトラー)を雇う方法|日本での探し方・費用・契約の全手順

執事(バトラー)を日本で雇う場合、年間600万〜1,500万円の人件費がかかります(日中帯・1名体制の目安)。探し方は国内エージェント経由が最も現実的で、問い合わせから雇用開始まで3〜6ヶ月が目安です。契約形態別の費用内訳から、面接で確認すべき5項目まで、執事を雇う全手順を網羅しています。

執事を雇う費用|契約形態別の年間相場

執事1名を日中帯で雇用する場合の年間費用は、直接雇用で600万〜1,500万円、エージェント経由の業務委託で900万〜1,800万円が目安です。

執事(バトラー)とは、家族のライフスタイル全体を管理する専属パーソナルマネージャーです。スケジュール調整、来客対応、資産管理の補助、旅行手配、家事スタッフの統括まで、家庭運営のすべてを任せられる存在といえます。

費用は契約形態によって大きく異なります。以下がカテゴリ別の相場です。

契約形態 年間費用 月額換算 備考
正社員雇用(住み込み) 800万〜1,500万円 67万〜125万円 住宅手当・食費・福利厚生費込み
正社員雇用(通い) 600万〜1,200万円 50万〜100万円 社会保険料の雇用主負担含む
業務委託・派遣 900万〜1,800万円 75万〜150万円 エージェント手数料込み

※上記は日中帯・執事1名体制の目安です。24時間常駐・交代制の場合は大幅に増加します(参考:3交代制で月額750万円程度の事例もあります)。正式な費用は各エージェントへの問い合わせが必要です

正社員雇用の場合:年収300万〜1,000万円超+福利厚生費

正社員として直接雇用する場合、給与は経験とランクにより大きく変動します。

ランク 年収の目安 月額換算
ジュニアバトラー(経験3年未満) 300万〜400万円 25万〜33万円
バトラー(経験3〜7年) 430万〜700万円 36万〜58万円
シニア/チーフバトラー(経験7年以上) 700万〜1,000万円以上 58万〜83万円以上

日本バトラー&コンシェルジュ「執事の年収とは?」に基づくランク別の一例。語学力・担当業務の範囲によっても変動します

これに加えて以下の雇用主コストが発生します。

  • 賞与:年2回、計2〜4ヶ月分が一般的
  • 社会保険料(雇用主負担分):給与の約15%

住み込み型の場合は、住宅手当(月額5万〜15万円)または個室の現物支給、および食費補助(月額3万〜5万円相当)が加算されます。経験豊富なシニアクラスを住み込みで雇用すると、年間総コストは1,000万〜1,500万円に達します。

業務委託・派遣の場合:月額75万〜150万円

エージェント経由で派遣・業務委託として契約する場合、月額料金にはエージェントの管理費・手数料が含まれます。直接雇用より割高になりますが、以下のメリットがあります。

  • 1〜3ヶ月のトライアル契約が可能
  • 相性が合わない場合の交代がスムーズ
  • 労務管理・給与計算をエージェントが代行
Elbrus Concierge
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初めて執事を雇う場合は、まずエージェント経由のトライアル派遣から始めることをお勧めします。「家族との相性」は書類や面接だけでは判断できません。費用は割高でも、長期雇用のミスマッチを防ぐ保険と考えてください。

執事の役割と1日のスケジュール

執事は「家のCEO」として、ドライバー・シェフ・ナニーなど複数のスタッフを統括し、家庭運営のすべてを任せられる存在です。

野村総合研究所(NRI)の推計によれば、2023年時点で日本の超富裕層(純金融資産5億円以上)は11.8万世帯、富裕層(同1億〜5億円未満)は153.5万世帯に達しています。2005年以降の最多を更新しており、2021年比で約11%の増加です。資産規模の拡大に伴い、家庭運営を包括的に任せられる専門人材への関心も高まっています。

階層 純金融資産 世帯数(2023年) 資産総額(2023年)
超富裕層 5億円以上 11.8万世帯 135兆円
富裕層 1億〜5億円未満 153.5万世帯 334兆円

出典:野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯」(2025年2月13日)

執事とコンシェルジュ、ハウスキーパーの違いを正確に理解することが、適切な人材選びの第一歩です。

役職 主な役割 権限の範囲
執事(バトラー) 家庭運営全体の統括・スタッフ管理 予算執行・人事・対外交渉の代行
コンシェルジュ 予約手配・情報収集・依頼対応 手配業務に限定(管理権限なし)
ハウスキーパー 家事全般・清掃・整理整頓 家事作業に限定

住み込み執事の1日タイムライン(例)

住み込み執事の典型的な1日を紹介します。以下は都内在住の4人家族(夫婦+子ども2人)に仕える執事の例です。

  • 6:00:起床・邸内の点検・当日のスケジュール最終確認
  • 7:00:家族の朝食準備の監督・新聞・郵便物の整理
  • 8:00:子どもの送迎手配・当主の出発準備
  • 9:00〜12:00:業者対応・買い物手配・来客準備
  • 12:00:昼食準備の監督・自身の休憩
  • 13:00〜17:00:経費精算・旅行手配・翌日以降のスケジュール調整
  • 17:00:子どものお迎え手配・夕食準備の監督
  • 18:00〜20:00:夕食のサービス・来客対応
  • 20:00〜22:00:翌日の準備・当主への報告・就寝準備

週休は1〜2日が一般的です。休日は別の執事または信頼できる家政婦が代行します。長期休暇の設計も契約時に明確にしておく必要があります。

通い型執事の稼働パターン

住み込みではなく通い型で雇う場合、週3日〜週5日の稼働パターンが選べます。

  • 週5日フルタイム:9:00〜18:00勤務。住み込みに近いサービスを日中に集約
  • 週3日パートタイム:特定曜日のみ勤務。イベント対応・来客日に集中

通い型は、子どもが独立した夫婦世帯や、プライバシーを重視する家族に適しています。

日本で執事を探す3つのルート|エージェント・海外スクール・直接採用

国内エージェント経由が最もスムーズで、問い合わせから採用決定まで2〜4ヶ月が目安です。海外スクール卒業生や直接採用はそれ以上の期間を要します。

ルート 初期費用 所要期間 メリット デメリット
国内エージェント 年収の30〜35% 2〜4ヶ月 候補者の事前スクリーニング済み 手数料が高額
海外スクール卒業生 年収の20〜35%+渡航費 4〜8ヶ月 正統な訓練を受けた人材 ビザ手続きが必要
直接採用 求人広告費のみ 3〜12ヶ月 コストを抑えられる 候補者の質にばらつき

※上記はカテゴリ別の目安です。正式な費用は各社への問い合わせが必要です

国内エージェント経由の採用について

国内で執事・バトラーを紹介するエージェントを利用する場合、紹介手数料は年収の30〜35%が一般的な相場です。派遣形態の場合は月額管理費が別途かかります。エージェントによって対応エリアや得意分野が異なるため、複数社に問い合わせて比較検討することをお勧めします。

Elbrus Concierge
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エージェント選びでは「過去に何人の執事を紹介したか」「トラブル時の対応体制」を必ず確認してください。実績が年間5件未満のエージェントは、候補者のプールが限られている可能性があります。

海外バトラースクール卒業生を採用する方法

正統な執事訓練を受けた人材を求めるなら、海外のバトラースクール卒業生を採用する選択肢があります。代表的なスクールは以下の通りです。

  • The International Butler Academy(オランダ):8週間・800時間の集中訓練プログラムを提供。世界各地からの卒業生を輩出
  • Magnums Academy(オーストラリア拠点):世界各地でバトラー訓練を実施。ヨット・ホテル業界にも強み
  • British Butler Academy(英国):UHNW向けプライベートサービスに特化した訓練を提供

これらのスクールには卒業生紹介サービスがあり、日本への派遣も対応可能です。ただし、外国人を雇用する場合は在留資格の取得が必要です。一般的には「技術・人文知識・国際業務」または「特定活動」のビザを申請します。在留資格認定証明書の標準処理期間は1〜3ヶ月です(在留資格の種類により変動)。その後のビザ申請・渡航期間も見込み、全体で3〜5ヶ月の余裕を持ってスケジュールを組んでください。

直接採用のプロセスと難易度

エージェントを介さず直接採用する場合、以下の方法があります。

  • ハイクラス転職サイト(ビズリーチ・リクルートダイレクトスカウト)への求人掲載
  • 高級ホテルのコンシェルジュ経験者へのスカウト
  • 知人の紹介

直接採用は費用を抑えられますが、経験者の絶対数が少ないため、採用までに長期化するケースがあります。身元調査(バックグラウンドチェック)も自社で手配する必要があり、調査費用として5万〜20万円が別途かかります。

雇用開始まで全5ステップ|問い合わせから稼働まで3〜6ヶ月

問い合わせから執事が実際に稼働するまで、エージェント経由で平均3〜6ヶ月のプロセスを経ます。

STEP1 要件整理・エージェント問い合わせ(1〜2週間)

まず、どのような執事を求めるかを明確にします。以下のチェックシートを参考にしてください。

要件整理チェックシート

  • 家族構成(人数・年齢・生活スタイル)
  • 住み込み or 通い
  • 必要な語学力(英語・中国語・その他)
  • 運転免許の要否
  • 管理してほしい業務範囲
  • 他の家事スタッフの有無
  • 予算の上限

要件が固まったら、2〜3社のエージェントに問い合わせます。初回相談は無料のエージェントがほとんどです。

STEP2 候補者紹介・書類選考(2〜4週間)

エージェントから候補者のプロフィール(匿名)が提示されます。提出書類には以下が含まれます。

  • 履歴書・職務経歴書
  • 推薦状(前職の雇用主から)
  • 資格証明書(バトラー資格・語学資格など)

この段階で身元調査(バックグラウンドチェック)を依頼する場合、費用は1人あたり5万〜20万円です。調査内容は犯罪歴・信用情報・経歴詐称の有無が一般的です。

STEP3 面接・トライアル勤務(2〜4週間)

書類選考を通過した候補者と面接します。面接は雇用主の自宅で行うケースが多く、家の雰囲気や実際の業務環境を見せた上で判断します。

面接後、1〜2週間のトライアル勤務を設けることを推奨します。トライアル期間の報酬条件はエージェントと事前に確認してください。

STEP4 契約締結・就業条件の確定(1〜2週間)

トライアルで相性を確認できたら、正式な雇用契約を締結します。契約書に盛り込むべき項目は以下の通りです。

雇用契約書の必須項目

  • 雇用形態(正社員・業務委託)
  • 勤務時間・休日・休暇
  • 給与・賞与・昇給の条件
  • 住み込みの場合の住居条件
  • 守秘義務条項
  • 契約解除の条件・予告期間
  • 競業避止義務

STEP5 オンボーディング・業務引き継ぎ(2〜4週間)

契約締結後、実際に業務を開始するまでにオンボーディング期間を設けます。この間に以下を行います。

  • 家族全員との顔合わせ
  • 邸内の設備・ルールの説明
  • 取引先(かかりつけ医・弁護士・会計士など)の紹介
  • 既存の家事スタッフとの引き継ぎ

オンボーディング期間中も給与は発生しますが、業務負荷を徐々に上げていくことで、ミスマッチのリスクを減らせます。

面接で確認すべき5項目

執事は家族のプライバシーと資産に深く関わる存在です。採用面接では「守秘義務」「判断力」「語学力」「マネジメント経験」「長期勤務意向」の5項目を必ず確認してください。

①過去の勤務先と守秘義務の遵守実績

「前職の雇用主について、どの程度お話しいただけますか」と質問します。優秀な執事ほど、前職の詳細を明かしません。守秘義務を厳守する姿勢があるかどうかを確認します。

②緊急時の判断力とトラブル対応経験

「過去に対応した緊急事態と、どう解決したか」を具体的に聞きます。執事には、主人が不在のときでも適切な判断を下す能力が求められます。

③語学力・国際経験(海外別荘・出張対応)

海外出張や海外別荘の管理が想定される場合、語学力の確認は必須です。英語はTOEIC700点以上、またはビジネス会話レベルの実務経験が目安です。

④他スタッフとの連携経験(ドライバー・シェフ・ナニー)

執事は家事スタッフのマネジメントも担います。複数のスタッフを統括した経験があるか、人間関係のトラブルをどう解決したかを確認してください。

⑤長期雇用への意向とキャリアプラン

執事の採用・教育には多大なコストがかかります。「5年後、10年後のキャリアをどう考えていますか」と質問し、長期的に働く意思があるかを見極めます。

Elbrus Concierge
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面接では「この人に家の鍵を預けられるか」という直感を大切にしてください。経歴が完璧でも、家族との相性が悪ければ長続きしません。可能であれば、配偶者や子どもにも同席してもらい、家族全員の意見を聞くことをお勧めします。

執事の雇用で押さえておきたいQ&A

執事を日本で雇うには、エージェント経由で2〜4ヶ月、費用は年収の30〜35%の紹介手数料+年間600万〜1,500万円の人件費がかかります。

Q1 執事とハウスキーパーの違いは何ですか?

執事は家庭運営全体を統括し、他のスタッフを管理する権限を持ちます。ハウスキーパーは清掃・家事に特化した役割です。執事は「家のCEO」、ハウスキーパーは「家事担当者」と理解してください。

Q2 住み込みの場合、プライバシーはどう確保しますか?

執事用の独立した居住スペース(個室・専用バスルーム)を用意するのが一般的です。プライベートエリアと業務エリアを明確に分け、勤務時間外は互いに干渉しないルールを契約時に定めます。

Q3 外国人執事を雇う際のビザ手続きは?

「技術・人文知識・国際業務」または「特定活動」の在留資格を申請します。雇用主が招へい機関となり、出入国在留管理庁に在留資格認定証明書を申請します。標準処理期間は1〜3ヶ月です。行政書士に依頼する場合、費用は10万〜20万円が相場です。

Q4 契約解除・退職時のルールはどう決めますか?

契約書に予告期間(一般的には1〜3ヶ月前)と退職金の有無を明記します。守秘義務は退職後も継続する旨を必ず盛り込んでください。競業避止義務(退職後一定期間、同業での就業を制限する条項)を設けるケースもあります。

Q5 執事の人件費は経費計上できますか?

個人の場合、執事の人件費を所得控除することは原則できません。ただし、資産管理会社を設立し、その会社が執事を雇用する形態であれば、法人の経費として計上できる可能性があります。ただし、法人が雇用した場合でも、業務が法人の事業と無関係であれば経費として認められない場合があります。具体的な要件は税理士に確認してください。

Q6 まずは短期間だけ試してみたい場合は?

エージェント経由で1〜3ヶ月のトライアル派遣を利用できます。費用はエージェントや契約形態により異なりますので、複数社に見積もりを依頼してください。トライアル終了後、相性が良ければ正社員雇用に切り替えることも可能です。

Q7 執事を雇うのに適した家族構成は?

複数の住居(都内+軽井沢の別荘など)を持つ家族、子どもの教育や習い事の調整が複雑な家族、海外出張が多い経営者のいる家族に特にニーズがあります。単身者や夫婦のみの世帯でも、ライフスタイル全体を任せたい場合は有効です。

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