英国の富裕層を対象とした最新調査により、次世代への資産承継において、従来のプロフェッショナルアドバイザーよりも同世代の経営者仲間からの助言を重視する傾向が強まっていることが判明しました。調査対象となった純資産100万ポンド(約1億8,000万円)以上の富裕層のうち、63%が同世代のピア(同業者・同世代の経営者)からの意見を最も信頼できる情報源として挙げています。
一方で、プライベートバンクやファミリーオフィスが提供する標準的な承継プランニングサービスの費用は、管理資産に対して年率0.5%から1.5%が一般的とされています。しかし実際の意思決定プロセスでは、これらの有償サービスよりも、無償で得られる同世代ネットワークからの実体験に基づくアドバイスが、より大きな影響力を持っていることが明らかになりました。

同世代アドバイザーが重視される理由
調査結果によると、富裕層が同世代の経営者からの助言を重視する主な理由として、以下の点が挙げられています。まず実際の経験に基づく具体的なアドバイスが得られることです。理論的な知識ではなく、実際に承継を経験した経営者からの生の声は、机上の計画では想定できないリスクや課題について貴重な洞察を提供します。
また、利害関係のない中立的な立場からの意見であることも重要な要素です。ウェルスマネージャーや税理士などのプロフェッショナルアドバイザーは、サービス提供による報酬が発生するため、時として過度に複雑なスキームを提案する傾向があります。これに対し、同世代の経営者は純粋に相談者の利益を考えた助言を行う傾向が強いとされています。
プロフェッショナルサービスとの使い分け
ただし、同世代アドバイザーの活用は、従来のプロフェッショナルサービスを完全に代替するものではありません。法的な手続きや税務最適化については、依然として専門家のサービスが不可欠です。信託設定費用は案件規模により300万円から1,000万円程度、国際的な税務ストラクチャーの構築には年間500万円以上の費用がかかることが一般的です。
効果的な活用方法として、承継計画の初期段階では同世代ネットワークから大枠の方向性や優先順位について助言を得て、具体的な実行段階でプロフェッショナルサービスを活用するという段階的なアプローチが推奨されています。
日本における同世代ネットワークの構築方法
日本の富裕層が同様のネットワークを構築する場合、いくつかの手法が考えられます。経営者団体や業界団体の幹部として活動することで、同レベルの資産規模を持つ経営者との接点を増やすことが基本的なアプローチです。
また、プライベートクラブや高額な趣味のコミュニティへの参加も有効です。名門ゴルフクラブの会員権(1,000万円から5億円規模)や、ヨットクラブ(年会費100万円から500万円)、収集家コミュニティなどがこれに該当します。これらのコミュニティでは、自然な形で同程度の資産レベルを持つ人脈が形成されやすい環境があります。
信頼できるネットワーク形成の注意点
同世代アドバイザーネットワークを構築する際には、機密保持の観点から慎重な選択が必要です。承継に関する情報は極めてセンシティブな内容を含むため、信頼関係の構築には長期間を要することが一般的です。
また、助言者の専門性や経験レベルの見極めも重要です。承継の規模や複雑さは個別性が高いため、自社と類似した規模や業種での経験を持つアドバイザーを選ぶことで、より実務的で有用な助言を得ることが可能になると考えられます。