ロールス・ロイスのビスポークとは、顧客の要望を一から形にするオーダーメイド制作システムです。ベース車両価格は約3,900万〜6,050万円、ビスポーク追加費用は数百万円から数億円まで「どこまでカスタマイズするか」で決まります。正規ディーラーでの初回相談は無料で、素材サンプルを手に取りながら方向性を固め、契約後は英国グッドウッド本社で制作が進みます。
ロールス・ロイス ビスポークの価格帯と予算別にできること
ロールス・ロイスを購入する際、最初に理解すべきは「ベース車両価格」と「ビスポーク追加費用」の二層構造です。ベース車両だけでも約3,900万円以上しますが、ビスポークを依頼すると追加で数百万円から数億円が上乗せされます。
エントリーモデルのゴーストが約3,900万円〜、フラッグシップのファントムが約6,050万円〜で、ここにビスポークの内容に応じた追加費用が発生します。ビスポーク費用には上限がなく、オーナーの構想次第でいくらでも膨らみます。
予算別にできること:500万円・2,000万円・1億円超の3段階
ビスポーク費用は「何を変えるか」で明確に区分されます。予算ごとの対応範囲と、同じ予算帯で実現したオーナーの実例を踏まえた目安は以下のとおりです。
| 追加費用 | 対応範囲 | 具体例 |
|---|---|---|
| 300万〜500万円 | 内装素材・色の変更 | レザー色の指定、ステッチカラー変更、ウッドパネルの樹種選択 |
| 1,000万〜2,000万円 | 専用装飾の追加 | スターライト・ヘッドライナー、専用刺繍、ダッシュボードへの家紋彫刻 |
| 3,000万〜1億円 | 専用塗装・アート作品 | ワンオフ塗装色の開発、フェイシアパネルへの手描きアート |
| 1億円超 | 外装デザイン変更 | ボディライン変更、特注パーツ制作 |
| 10億円超 | コーチビルド | 完全オリジナル車両の制作(ボートテイル等) |
※上記はカスタマイズ内容に応じたカテゴリ別の目安です。正式な費用は正規ディーラーへの相談が必要です
500万円程度の追加費用でも、内装の印象は大きく変わります。一方、1億円を超えるビスポークでは、世界に1台だけの車両が実現します。
ビスポーク vs 他ブランドのカスタマイズ制度を比較する
超高級車のカスタマイズ制度は、ブランドごとに対応範囲・制作体制・費用構造が異なります。ロールス・ロイスのビスポークを、ベントレーのマリナー、フェラーリのテーラーメイドと比較すると、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | ロールス・ロイス ビスポーク | ベントレー マリナー | フェラーリ テーラーメイド |
|---|---|---|---|
| 対応範囲 | 内外装フルカスタム〜コーチビルド | 内外装カスタム+限定車 | カラー・素材・ステッチ中心 |
| 外装デザイン変更 | 可(コーチビルド) | 限定的(パーツ追加中心) | 不可 |
| 追加費用目安 | 300万〜数億円 | 200万〜数千万円 | 100万〜2,000万円 |
| 制作期間 | 4ヶ月〜4年超 | 3ヶ月〜1年 | 2ヶ月〜6ヶ月 |
| 専任デザイナー | あり(グッドウッド本社) | あり(クルー本社) | あり(マラネロ本社) |
| ベース車両価格帯 | 約3,900万〜6,050万円 | 約2,500万〜4,000万円 | 約3,500万〜6,000万円 |
※上記はカテゴリ別の目安です。ベントレー・フェラーリの価格は日本市場での概算であり、為替変動やモデル構成により異なります。正式な費用は各ブランドの正規ディーラーへの問い合わせが必要です
ロールス・ロイスのビスポークは、対応範囲の広さと制作の自由度で他ブランドを圧倒しています。外装デザインまで変更できる「コーチビルド」はロールス・ロイスだけのサービスであり、これがビスポーク費用の上限がない理由でもあります。超高級車ブランドの購入手順を比較したい方は、フェラーリは新規客でも買えるのか?も参考にしてください。
現行ラインナップとビスポーク対応範囲
ロールス・ロイスの全4車種でビスポークに対応しており、ベース価格は約3,900万〜6,050万円です。日本市場では年間528台が新規登録され、超高級車セグメントで国内最多の販売実績を持ちます。
モデル別ビスポーク費用・制作期間
| モデル | ベース価格(税込目安) | ビスポーク追加費用目安 | 制作期間 |
|---|---|---|---|
| ファントム | 約6,050万円〜 | 500万〜3億円 | 6ヶ月〜4年 |
| ゴースト | 約3,900万円〜 | 300万〜1億円 | 4ヶ月〜2年 |
| スペクター | 約4,800万円〜 | 500万〜2億円 | 6ヶ月〜3年 |
| カリナン | 約4,650万円〜 | 500万〜2億円 | 6ヶ月〜3年 |
※各モデルの日本発表時価格に基づく参考価格(ゴースト・シリーズII:2025年2月発表、カリナン・シリーズII:2024年8月発表)。為替変動・オプション構成により変動します。正式な見積もりはディーラーへの問い合わせが必要です
フラッグシップのファントムは、ビスポークの自由度が最も高く、制作期間も長くなる傾向があります。一方、ゴーストは比較的短期間での納車が可能です。
日本市場での販売実績
日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)のロールス・ロイス新規登録台数は528台で、前年度の389台から35.7%増加しています。同価格帯のベントレー(482台)やアストンマーティン(458台)を上回り、超高級車セグメントでは国内最多の登録台数です。
| ブランド | 2025年度(台) | 2024年度(台) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| ロールス・ロイス | 528 | 389 | +35.7% |
| ベントレー | 482 | 556 | −13.3% |
| アストンマーティン | 458 | 536 | −14.6% |
参考:日本自動車輸入組合(JAIA)「輸入車新規登録台数(速報)」2025年度(2025年4月〜2026年3月)発表資料
年間528台は、国内での希少性の高さを示しています。ビスポーク仕様はこのうちのさらに一部であり、オーナー同士が同じ仕様に遭遇する可能性は極めて低いといえます。
2025年にはファントム発売100周年を記念した特別モデルが発表されました。
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、ファントム100周年を祝して、ビスポーク・クラフツマンシップに焦点を当てた特別イベントを東京で開催しました。
出典:ロールス・ロイス公式サイト(2025年)
オーダーから納車までの全フロー
ビスポークの全工程は6段階で、最短6ヶ月・フルビスポークでは4年以上です。初回相談は無料、契約時にベース価格の30〜50%をデポジットとして支払います。
STEP1〜3:相談・デザイン決定・見積もり確定(1〜6ヶ月)
STEP1:正規ディーラーへの初回相談(無料・1〜2時間)
国内正規ディーラーに来店または電話で予約し、希望モデルと予算感を伝えます。この段階では具体的なビスポーク内容が決まっていなくても問題ありません。ディーラーが過去の事例を提示しながら、方向性を一緒に探ります。
STEP2:ビスポークデザイナーとの打ち合わせ(1〜3ヶ月)
本格的なビスポークを希望する場合、英国グッドウッド本社のビスポークデザイナーとオンラインまたは対面で打ち合わせを行います。素材サンプル(レザー、ウッド、糸など)を取り寄せ、色味や質感を確認しながらデザインを詰めていきます。
STEP3:最終見積もり・契約締結(2〜4週間)
デザインが確定したら、正式な見積書が発行されます。契約時にはデポジット(手付金)として車両価格の30〜50%を支払います。5,000万円の車両であれば、1,500万〜2,500万円のデポジットが必要です。
STEP4〜6:制作・品質検査・納車(6ヶ月〜4年超)
STEP4:英国グッドウッド工場での制作開始(3ヶ月〜3年)
契約完了後、英国サセックス州のグッドウッド工場で制作が始まります。ビスポーク内容によっては、専用素材の調達や職人の手配に数ヶ月を要することもあります。
STEP5:完成・品質検査・輸送(2〜3ヶ月)
車両完成後、グッドウッドで最終品質検査が行われます。その後、日本への海上輸送で約6〜8週間かかります。航空輸送を希望する場合は追加費用(数百万円)で対応可能です。
STEP6:日本到着後の最終整備・納車式
日本到着後、正規ディーラーで最終整備と車両登録手続きが行われます。納車時には、オーナー向けの取扱説明や、ビスポーク内容の詳細説明が実施されます。希望すれば、自宅への納車や特別な納車式の演出も可能です。
ビスポークの仕組みとリセールバリューの現実
グッドウッド本社の専門チーム「ビスポーク・コレクティブ」が、レザー・ウッド・メタル・アートまであらゆる素材に対応します。ただし、ビスポーク追加費用の全額が中古価格に反映されることはなく、汎用性の高いカスタマイズほどリセールバリューが維持されやすい傾向があります。
グッドウッド本社には「ビスポーク・コレクティブ」と呼ばれる専門チームが常駐しています。デザイナー、素材専門家、エンジニア、職人で構成され、顧客の要望を技術的に実現可能な形に翻訳します。
素材選定の範囲は極めて広く、以下のような対応が可能です。
- レザー:多彩なカラーから選択可能で、特定の色を新規開発することもできます
- ウッド:ウォールナット、オーク、バンブーなど多種。顧客所有の木材を使用した事例もあります
- メタル:ゴールド、シルバー、チタンなどの装飾パーツ制作に対応しています
- アート:画家による手描きアート、彫刻作品の埋め込みも可能です
コーチビルドとは
ビスポークの最上位に位置するのが「コーチビルド」です。内装だけでなく、ボディ外装まで完全にオリジナルで制作するサービスで、制作費は10億円超、制作期間は4年以上が標準です。
2021年に発表されたボートテイルは、ヨットの船尾をモチーフにしたリアデザインで、英語圏の複数メディアでは制作費が推定約2,800万ドル(約40億円前後)と報じられています。世界で3台のみ制作され、オーダーが受け付けられるかはブランド側の判断によります。
ビスポーク車両のリセールバリュー
ビスポークに数千万円を投じた場合、その追加費用が中古市場でどの程度評価されるかは、オーナーにとって重要な判断材料です。
結論から言えば、ビスポーク追加費用の全額が中古価格に反映されることはありません。カスタマイズは「前オーナーの好み」であり、次のオーナーの好みと一致するとは限らないためです。ただし、以下の傾向があります。
- 価値が維持されやすいビスポーク:スターライト・ヘッドライナー、上質なレザー色の組み合わせなど、汎用性の高い装飾は中古市場でもプラス評価されます
- 価値が反映されにくいビスポーク:個人の家紋彫刻、特定テーマの手描きアートなど、オーナー固有のカスタマイズは次の買い手の選好と合致しにくく、追加費用に見合う評価を得にくい傾向があります
- 希少性がプレミアムになるケース:コーチビルドや世界限定モデルは、制作費を大幅に上回るプレミアムがつくことがあります
ビスポークの費用対効果は「投資回収」ではなく「所有期間中の満足度」で測るのが現実的です。リセールバリューを重視する場合は、汎用性の高いカスタマイズに予算を集中し、個人的な要素は控えめにするのが合理的な判断です。
日本の正規ディーラーへの相談方法
日本国内には東京・横浜・名古屋・大阪・福岡・広島の6拠点に正規ディーラーがあり、初回相談は無料です。並行輸入業者ではビスポークオーダーに対応できないため、必ず正規ディーラーを利用してください。
各拠点の所在地・連絡先は変更になる場合があるため、最新情報はロールス・ロイス公式サイトのディーラー検索で確認してください。
予約方法は、電話・公式サイトの問い合わせフォーム・既存オーナーからの紹介の3通りです。初回相談は無料で、1〜2時間程度を見込んでください。
初回相談で伝えるべき情報
初回相談を効率的に進めるために、以下の情報を事前に整理しておくと良いでしょう。
- 希望モデル:ファントム、ゴースト、スペクター、カリナンのいずれか
- 予算感:ベース価格+ビスポーク費用の総額イメージ
- 納車希望時期:いつまでに必要か(記念日、イベントなど)
- カスタマイズの方向性:色、素材、テーマなどのイメージ
- 使用シーン:ショーファードリブン(運転手付き)か自ら運転するか。ショーファーの雇用を検討している方は専属ドライバーの雇い方ガイドも参考にしてください
具体的なイメージがなくても問題ありません。ディーラーは過去の事例写真や素材サンプルを用意しており、一緒に方向性を探ることができます。
ビスポークオーダー前に確認すべきポイント
ロールス・ロイスのビスポークとは、ベース車両(約3,900万〜6,050万円)に対し、内装・外装・装飾を顧客の要望どおりにオーダーメイドするサービスです。追加費用は数百万〜数億円で、制作期間は6ヶ月〜4年以上、日本の正規ディーラー6拠点で無料相談が可能です。
Q1. ビスポークなしで購入できますか?
はい、可能です。標準仕様(メーカーオプション選択のみ)での購入も可能で、その場合は納期も短くなります。ただし、ロールス・ロイスオーナーの多くは何らかのビスポークを依頼しています。
Q2. ビスポークの相談は無料ですか?
初回相談は無料です。契約前であれば、複数回の相談・見積もり取得まで費用は発生しません。契約時にデポジット(車両価格の30〜50%)を支払う形式です。
Q3. 途中でキャンセルできますか?
契約後のキャンセルは、原則としてデポジットが返金されません。特にビスポーク要素が多い場合、専用素材の調達が始まると全額キャンセル不可となるケースもあります。契約前に条件を必ず確認してください。
Q4. 中古のビスポーク車両は購入できますか?
正規ディーラーの認定中古車プログラムで、過去のビスポーク車両が販売されることがあります。ただし、他者のためにカスタマイズされた車両のため、自分の好みに合うかは運次第です。
Q5. 納車後のアフターサービスはどうなりますか?
正規ディーラーで購入した車両は、定期メンテナンス・修理・ビスポークパーツの補修すべてに対応可能です。ビスポーク素材の経年劣化に対する補修も、本社と連携して対応してもらえます。
ビスポーク費用の全額が中古市場で回収できるとは限りませんが、汎用性の高いカスタマイズを選ぶことでリセールバリューの低下を抑えることは可能です。まずは正規ディーラーでの無料相談で、予算とカスタマイズ内容のバランスを確認するところから始めてください。